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探究心を刺激する環境をつくる【レッジョ・エミリアの教育】

昨年10月にイタリアのレッジョ・エミリア市を訪問し、現地の幼児教育について学んできました。このnoteでは、レッジョ・エミリア・アプローチについて、私が魅力的だと思ったところをお伝えしたいと思います。

レッジョ・エミリアはイタリアにある街の名前で、そこが発祥地となって広まった幼児教育があり、国内外で『レッジョ・エミリア・アプローチ』と呼ばれています。

レッジョ・エミリア駅はこんな感じ。

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街の中心部。

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滞在中には、『レッジョ・チルドレン』というレッジョ・エミリア・アプローチについて紹介する施設を見学しました。

こちらがレッジョ・チルドレンの敷地内。

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展示物の中で印象的だったのは、子どもの好奇心や探求心を刺激するたくさんの素材。

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ここで使われているのは、一見ガラクタに見えるような素材。光を当てたりスクリーンで映したりと、ちょっとした仕掛けがしてあります。

少し触ってみると、大人であってもそこにある光と影の世界に引き込まれます。そして、「これをこう動かすと、どうなるんだろう?」と、そんな風に自然と探求心が高まっていきます。これこそ学びの原点ではないかと、そう感じさせるような空間でした。


また、レッジョ・エミリアの先生のお話を伺う中で、教材について説明してくれる場面がありました。

一般的な子ども向けの「教材」というと、一つのボタンを押すとそれに対して一つの反応が返ってくるものが多くあります。それはそれで面白いし学ぶこともありますが、自分であれこれ試してみたり配置を変えてみたりと、探求していくことには限界があり、学びの幅も狭められてしまいます。それに対してレッジョ・エミリアにある幼児学校では、「玩具」や「作られた教材」ではなく、「素材」をそのまま教材として教育活動に使います。

子どもがその素材のどんなところに興味を持ち、どんなところに疑問を持つのか。そして、どう探求していくのか。その可能性は無限に広がっています。先生はそんな子どもの様子を見て、一緒にできることは何かを考えます。時間を気にするよりも、子どもを見ることの方が優先です。

レッジョ・エミリアの幼児学校では、どの子どもに対しても先生達みんなで同じ教育をする、ということはしません。当然のことですが、子どもと同じように先生だってみんな違うものを待っているからです。

探求者である子どもが持っている想像力と創造力をより豊かにするためには、どんな環境が良いのか?それらを考え、環境を整えること、つまり子ども達の「実験室」をつくることが先生の仕事なのです。

施設内には、他にもたくさんの素材が展示されていました。

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私が気になったのは、一体どのようにしてこれらの素材を集めているのか?というところでした。

実は、市内にはREMIDA(レミダ)というリサイクル施設があり、そこから素材を集めることができます。

施設内には、地域の工場から出た「新品の廃材」が並んでいます。教育関係者はレミダの年会費€30〜40(3,600〜4,800円くらい)を払うと、何度でも訪問し、必要な分だけ素材を学校に持ち帰って教育活動に使うことができます。

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施設内を見学している間にも多くの先生達が出入りし、素材を選んでいました。たまたまそこに居合わせた先生のお話だと、月に2回ほどここへ足を運んでいるそうです。

教育活動で使う素材がすぐに手に入れられる点を見ると、学校内に留まらず、地域で教育活動を尊重していることがわかります。

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今回はレッジョ・エミリアの素材と理念に焦点を当てて紹介しました。

どのような素材を教育活動に使うのかはもちろん大切なことですが、その根っこにある理念なしに素材は生かされません。恐らく、同じ素材を使っても、理念が違えば全く違う空間になるでしょう。

世界で注目される教育実践を見ると、どうしても目に見える活動や使っている物に目が行きます。ですが、大切なのは、何を使っているか?どう関わっているか?よりも、なぜそれをしているのか?という理念的な部分だと私は思っています。

レッジョ・エミリア市には、なぜレミダという施設があるのか?なぜ素材を使うのか?なぜ子どもを探求者として見るのか?
その答えを探ることが、レッジョ・エミリア・アプローチが大切にしている理念を知るためのヒントとなるかもしれません。

最後までお読みいただきありがとうございます(*´-`) また覗きに来てください。