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一輪の悪魔(キラキラ1)

「たっくん、一緒に帰ろう?」

下校中、赤信号につかまって足止めを食らっていた僕に声をかけてきた子がいた。

同じクラスの山本乙葉だった。

山本は普段から凄く明るい子で、いわゆる友達多い系キラキラ女子だ。
なので、どちらかというと僕が苦手なタイプだ。
そこまで仲良くもないのに、あだ名で呼んでくるところも正直あんまり好きじゃない。

信号が青に変わり、歩き出した僕に山本はついてきた。
特に何かを話すわけでもなく、ただただ隣で携帯をイジりながら歩いている。
友達多い系キラキラ女子が携帯で何を見ているのかが、少し気になったけど、僕は頑張って前を向くことに集中しながら歩いた。
集中しすぎて、変な歩き方になってたに違いない。

「たっくん」

山本が急に立ち止まって僕を呼んだ。携帯を気にしていたことがバレてたのか?と少し焦ったが、澄ました顔で僕は答えた。

「ん?どうしたの?」

すると山本はこういった。
「たっくん、私、財布持ってくるの忘れちゃったから奢ってくれない?お腹空いたー」

そこまで仲良くもない相手に奢らせるなんてどんな神経してんだ、怒りさえも込み上げてきた。


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