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『気候変動後の都市』:サステナブルな未来のための100のアイデア vol.9

サステナブルな未来のための100のアイデア(通称:サス100)』は、NPOグリーンズの植原正太郎が自学自習のために更新していくサステナビリティ探究マガジンです。

昨月、友人のオススメで東京ミッドタウンで開催されている「未来と芸術展」に足を運んできました。

「AI、ロボット、都市、生命――人は明日どう生きるのか」「豊かさとは何か、人間とは何か、生命とは何か」という深遠な問いに対してアートやテクノロジーの側面から考察できる展示企画でした。

特にセクション1の「都市の新たな可能性」は「気候変動後の都市はどうあるべきか?」というテーマで、世界で進む先端的な都市実験の計画が紹介されていました。まだコンセプトの段階だったり、建設途中のものが多かったですが、これからの都市のあり方を考える上で興味深かったです。

今日はその中で紹介されていたいくつかのプロジェクトを紹介したいと思います。

「マスダールシティ」 @ アラブ首長国連邦

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アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビ市の近郊の砂漠地帯で、究極のエコシティ計画が進んでいます。「CO2排出量ゼロ」「太陽光発電ですべてのエネルギーを供給」「風を取り込み建物を冷却」「移動はすべて電動コンパクトカー」「水は海水の淡水化プラントで生成」など野心的な計画が掲げられています。

マスダールシティの現時点の様子がわかる動画はこちら。

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近隣の砂漠エリアに設置されているメガソーラー発電所。

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都市内を走行する電動コンパクトカー。

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地上の風を取り込み、地中で冷ました空気を街に提供する空冷タワー。

2006年に220億ドルの予算で建設するというその計画が発表されてから14年、当初の完成予定は2015年だったそうですが、金融危機に資金調達の困難があったそうで、いまだに未完成。現在では2030年ごろの完成を目指して引き続き建設中。

「オーシャニクスシティ」

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国連は気候変動による海水面上昇の問題への一つのソリューションとして「水上都市」の可能性を模索しています。国連の人間定住プログラム「国連ハビタット」が、MIT海洋工学センターのニコラス・マクリス教授と海上都市開発を目指すスタートアップ「OCEANIX」のCEO マーク・コリンズチェンらと共に共同で研究を進めています。

海上で持続可能な生活を送るための水上都市は海洋生態系を損なうことなくエネルギー、水、食料のニーズを満たす目指しています。

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オーシャニクスシティは、300人が暮らせる1.8万平米の六角形プラットフォームがひとつのユニットになっており、それらを組み合わせて1万人が暮らせます。

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水上都市の日常。

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水上都市の下では食糧を生産するための「水中農業」なども考えられているとか。

なんともSF的な世界だし、まだコンセプト段階ではあります。ですが、人口増加によって海に近いエリアに人口集中が続いており、また気候変動によって陸地での洪水被害は増えているからこそ、国連でも真剣に検討されているアイデアなのでしょう。

「ReGen Village」 @ オランダ

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これは「未来と芸術展」では紹介されてませんでしたが、関連するプロジェクトなので紹介。ハイテクエコビレッジが、オランダのフレヴォラント州で構想されていました。100軒の家による村のような町で、住宅はソーラーパネルとパッシブ冷暖房が完備されており、家庭ゴミはコンポストに利用され飼料になったり、バイオガス発電に回される。食料はバーティカル農業やアクアポニクスといった、テクノロジーを活用したオーガニックファームで栽培。太陽光や、地熱、風力、バイオマスなどの発電所も村の中に配備するそうです。

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バーティカル農業で効率的に作物を栽培。

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当初は2016〜2017年にかけて建設予定だったが、こちらも資金調達に苦戦したそうで、現在1600万ユーロの資金調達ラウンドに挑戦中だと報じられています。マスダールシティ然り、エコな都市をつくるにはお金が必要ということですね…。

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そんなわけで今回のサス100は「気候変動後の都市」をテーマに書いてみました。次回もお楽しみに!

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