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『産業廃棄物の中間処理』:サステナブルな未来のための100のアイデア vol.7

サステナブルな未来のための100のアイデア(通称:サス100)』は、NPOグリーンズの植原正太郎が自学自習のために更新していくサステナビリティ探究マガジンです。

廃棄物リサイクルの現場に行ってきた

先週、産業廃棄物の中間処理を行っている「ナカダイ」の群馬本社&工場を見学してきた。防災ガールの田中美咲ちゃんの声かけのもと、大人10人で行く社会科見学。

「ナカダイ」は、様々な企業の工場の製造過程で発生する金属、プラスチック、木くず、使用済み機械などの産業廃棄物を回収し、分解・分別を行うことで、リユース・リサイクルできるように処理する企業だ。

利用可能な廃棄物に関しては中古品や素材(マテリアル)として販売し、産業廃棄物の「出口」までを事業としている。

ナカダイのリサイクル率は「99.5%」。産業廃棄物という取り扱いが困難な領域にも関わらず、驚異的なリサイクル率を誇っている。HPに掲載されている企業ミッションもカッコいい。

総合リサイクル業として培ったノウハウを生かし、モノの流れの最適化と環境負荷の低減を行うコンサルティング事業を行う。ビジネスアーティストと呼ばれる営業マンが、それぞれの企業で不要だと判断された“モノ”について、リユース、リサイクル、マテリアルとしての利用など、モノの最大価値を提案し、環境負荷の低減やコスト削減を実現する。また、さまざまなクリエイターとの共同プロジェクト、顧客や地域向けのワークショップの企画など、削減されたコストを次の企業価値へ転換する提案まで行う。(引用:ナカダイ

「中間処理」という大事な役割

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画像引用:日本産業廃棄物処理振興センター

産業廃棄物は発生から処分されるまでいくつかの「行程」がある。 企業&工場で排出されたゴミは、まずはその場で分別&保管される。それが収集&運搬され「中間処理」場に行き着く。

中間処理場で分解・分別され、リユース(再利用)やリサイクル(再資源化)される。それらが難しいゴミに関しては「最終処分」場で埋め立てられる。 

つまり、循環型社会の実現のためには、最終処分で埋め立てられる前に、産業廃棄物に新しい価値を与える「中間処理」という工程がとても重要なのだ。

手作業で行う分解・分別という作業

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驚異的なリサイクル率を誇るナカダイの中間処理技術なのだが、工場見学してその「凄さ」に感動することになった。

実は、工場を見学する限り「特別な技術」というものは、ほとんどなかった。その代わり、作業員の皆さんが地道に淡々と作業をし続けている風景がそこにあった。

交換されて利用価値のなくなった大量のエアコン室外機が運び込まれていた。 ナカダイの作業員さんはそれを手作業で分解し、鉄、銅、基盤、プラスチック、梱包資材、ダンボールといった素材ごとに細かく分別していくのだ。

中間処理では、素材ごとに分別されることがとにかく重要になる。素材が混ざった状態ではリユース、リサイクルが困難だからだ。

例えば「プラスチック」という素材ひとつとっても、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタラート(PET)など様々な種類がある。これらも「プラスチック」ということでごちゃ混ぜになっていると再資源化が難しい。そのためナカダイの中間処理では、プラスチックも種類ごとにきっちり分別される。

蛍光灯も一般的なものか?LEDなのか?ガラス面にフィルムが貼られているか?等、消費者にとっては些細な違いも、中間処理のためには重要な違いとなる。

当たり前だが、ひとつの製品が単一の素材で作られていることの方が少ない。様々な部品によってつくられる製品を、素材に分解・分別することで、資源として再利用される可能性が出てくるのである。

中間処理のリサイクルは大きく3種類

リサイクルは「マテリアルリサイクル」「ケミカルリサイクル」「サーマルリサイクル」の3つに分類されている。

「マテリアルリサイクル」は、銅やプラスチックなどを溶解して素材に生まれ変わらせて、再度製造に利用する方法。

「ケミカルリサイクル」は、プラスチックなどの素材を化学的に組成変更し、ガスや油などの原料にして燃料に再利用する方法。

「サーマルリサイクル」は、木くずなどをペレットにして焼却処分をしながらも、発生する熱で発電したり、温水施設に熱供給する方法。

※ケミカルもサーマルも燃やすことになるのだが「リサイクル」としてカウントされる。

近い将来、中間処理は基幹産業になる?

様々な企業でSDGsへの対応、ESG投資への説明責任が求められていくこれからの社会の中で、ナカダイのような中間処理の技術はさらに求められていくと感じた。製造の場面で「環境負荷の軽減」が強く求められるはずだからだ。

そして、世界の人口が増えつづけ資源が乏しくなっていく未来で、中間処理は基幹産業になっていくのではなかろうか?

そんなことを思いながら帰った「大人の社会科見学」でした。

p.s. 工場見学の最後は産業廃棄物を素材として活用して、オリジナルグッズをつくるワークショップも付いてきます。これも楽しかった。

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写真4枚目はWiFi普及に伴って利用されなくなった「LANケーブル」。これをアイロンで溶かしながらボールにして娘のおもちゃとしてお土産に。結果、全然気に入ってくれず遊んでくれませんでした。

工場見学の詳細はこちら↓

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そんなわけで今回のサス100は「産業廃棄物の中間処理」をテーマに書いてみました。次回もお楽しみに!

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