『国籍と遺書、兄への手紙―ルーツを巡る旅の先に』安田菜津紀著 2 LittleAutumn 2023年9月11日 13:33 父の死後、高校2年生のときに戸籍を見て父が韓国籍(在日コリアン2世)だったと知ったフォトジャーナリストの著者が、父、兄、祖父母などの足跡を探り、自身のルーツをたどる過程を語る本。思い出の家族写真や、著者が撮影したカラー写真も収録されている。本書冒頭から暗示され、後半で明示される、兄と父が相次いで自死した事実も重い。 この「もしも」を突き詰めると、複雑な思いになります。すべての時計を巻き戻し、戦争が起きて自分が生まれる世界の運命と、戦争が起きず私が生まれない道が選べるなら、私は後者を選びたい、と思うことがあります。『国籍と遺書、兄への手紙―ルーツを巡る旅の先に』p. 201 なぜ自分は、父をこの世につなぎとめるための「命の重し」になれなかったのか。絵本を読んでくれたとき、父に放った言葉もまた、父を追い詰めたのではないかーー私自身もそうした思いをぬぐえずに生きてきた。 そんなあるとき出会ったのが、兄への手紙にも綴った、自殺対策のポスターの標語だった。「弱かったのは、個人ではなく、社会の支えでした」 この言葉に触れて私は初めて、視点を変え、「社会」の側にも目を向けることができるようになった。『国籍と遺書、兄への手紙―ルーツを巡る旅の先に』p. 211自死はゼロにはならないかもしれないが、社会を変えることで防げていけたらと願う。 国籍と遺書、兄への手紙――ルーツを巡る旅の先に www.amazon.co.jp 2,090円 (2023年09月11日 13:30時点 詳しくはこちら) Amazon.co.jpで購入する ダウンロード copy #本 #写真家 #ジャーナリスト #在日コリアン #安田菜津紀 #国籍と遺書兄への手紙 2 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? サポート