英国ロイヤル・バレエ団『ウルフ・ワークス／Woolf Works』ウェイン・マクレガー振付
イギリスのロイヤル・バレエによる新作ダンス公演『ウルフ・ワークス／Woolf Works』が、期間限定で無料配信。
ウェイン・マクレガー振付。主演ダンサーは、アレッサンドラ・フェリ、フェデリコ・ボネッリ、エドワード・ワトソン、フランチェスカ・ヘイワード、サラ・ラム、高田茜と、スター勢ぞろい！
2015年初演。
作家ヴァージニア・ウルフの小説『ダロウェイ夫人』『オーランドー』『波』をモチーフとし、それぞれ第1幕、第2幕、第3幕で表現されている。約1時間45分。
イギリスのウルフは19世紀に生まれ、20世紀に活躍。「意識の流れ」という手法で有名な、モダニズム文学の作家だ。その小説はストーリーが明快な物語という体裁ではなく、このダンス作品も特定の粗筋がある感じではない。
ウルフはエッセイや日記なども出版されており、このダンスはそれらにもインスピレーションを得ているのだそう。
モチーフの3作品は以前、英語の原書で読み、好きだった。だからこそ、第1幕と第3幕の冒頭でナレーションが流れた、ウルフからの引用の朗読はなくてもよかったのではないかと思った。
第1幕の『ダロウェイ夫人』では、舞台に巨大な木枠のようなセットがあり、動く。「本」を表現しているのだろうか。
フェリは50代のようだが、足の甲というかポワントがすごい。第1幕では若々しく踊り、第3幕では老いや衰えを見せて踊る。演技力も高い。
第1幕では、ウルフの同性愛を思わせる踊りもあった。バレエらしい、手堅い感じの振付が多い。
第2幕の『オーランドー』は、数百年にわたり、主人公が何度も性転換をしたりする小説。エリザベス朝の服を基にした衣装で、両性具有的なところも思わせる踊り。
第2幕は、どことなくテクノ的な雰囲気のダンスだった。古さと新しさの対比がかっこいい。宇宙っぽい光線のような照明も面白い。
第3幕の『波』では、波打つ海（？）の映像が登場。多くのダンサーが現れ、波のように揺れ動く群舞を披露した。
始終、魅せられっ放し。映像ではあるが、くぎ付けになった。
ウルフの本を読んでいなくても、楽しめる作品だと思う。もちろん、きちんと読んでいて、ダンスを見ながらいろいろ考えられると、よりよいのだろう。
第1幕と第3幕は、音楽の物悲しさにもつられて少し泣ける。孤独や悲しみが強調されているようなのは、あまり好きではないかもしれない。確かに、ウルフの最期とかはつらそうではあるのだが。
2020年7月10日まで視聴できる（下にリンクあり）。
作品情報
Join The Royal Ballet for a Premiere stream of Wayne McGregor's Woolf Works, featuring music by Max Richter and inspired by the writings of Virginia Woolf
Cast & creative team:
Dancers: Alessandra Ferri, Federico Bonelli, Edward Watson, Francesca Hayward, Sarah Lamb, Akane Takada
Soprano: Anush Hovhannisyan
Orchestra of the Royal Opera House conducted by Koen Kessels
Direction and choreography: Wayne McGregor
Music: Max Richter
Designer: Ciguë, We Not I and Wayne McGregor
Costume Designer: Moritz Junge
Lighting Designer: Lucy Carter
Film designer: Ravi Deepres
Sound designer: Chris Ekers
Make-up designer: Kabuki
Dramaturgy: Uzma Hameed
Background:
Virginia Woolf defied narrative conventions to depict a heightened, startling and poignant reality. Wayne McGregor’s ballet triptych Woolf Works was inspired by the writings of Virginia Woolf and has an original score by Max Richter. It was created for The Royal Ballet in 2015 and met with outstanding critical acclaim, going on to win McGregor the Critics’ Circle Award for Best Classical Choreography and the Olivier Award for Best New Dance Production. The Observer described it as ‘a compellingly moving experience’; for The Independent it ‘glows with ambition… a brave, thoughtful work’; The Guardian concluded that ‘it takes both McGregor – and the concept of the three-act ballet – to a brave and entirely exhilarating new place’.
Woolf Works re-creates the emotions, themes and fluid style of three of Woolf’s novels: Mrs Dalloway, Orlando and The Waves. These inspirations are also enmeshed with elements from her letters, essays and diaries such that Woolf Works expresses the heart of an artistic life driven to discover a freer, uniquely modern realism. It brings to life Woolf’s world of ‘granite and rainbow’, where human beings are at once both physical body and uncontained essence.
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