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ダンス「黒田育世 再演譚」:『病める舞姫』鈴木ユキオ/『春の祭典』加賀谷香、BATIK

ダンスカンパニーのBATIKを主宰する振付家・ダンサーの黒田育世さんが過去作品を再演する公演。

『病める舞姫』は2018年初演(「ダンスがみたい!20」上演作品)。黒田さんが舞踏家の土方巽の著書『病める舞姫』を題材に自作自演したソロ作品だ。本公演では、振付家・ダンサーの鈴木ユキオさんが踊った。振付は初演から変えていないという。

『春の祭典』はストラヴィンスキー作曲の同名曲に振り付けた作品で、2014年の『落ち合っている』という作品の劇中劇として上演されたものを、今回、単独作品として再構築したとのこと。

『病める舞姫』は(寝不足だったため)眠気を誘われてしまったが、鈴木さんの鍛え上げられた身体に目が行く。終盤、命を絶ち、また動き出した(?)。死と再生(または死後の世界?)が描かれているのか?土方の著書を読んで、いつかまたこのダンス作品を見たい。

『春の祭典』は、前半はダンサーの加賀谷香のソロで、後半はBATIKのカンパニーメンバーたちが加わって踊る。

テーマは「母子」。無言で「ママ」と口を動かしたり、実際にそう叫んだりする。胸をさらけ出す場面も多い。

公演当日に配布されたパンフレットによると、黒田さんは『落ち合っている』の創作時、「妊娠中でとても幸せ」だったそうだが、その最中にこのようにすさまじい作品を振り付けるのが、やや恐ろしいというか、どういう発想なのだろうかと、興味を引かれる。

『春の祭典』は多くの振付家が作品を作っているが、腰を低く落として飛び上がったり、身体をねじったりするなど、最初のバレエ・リュスのニジンスキー振付(1913年)、および、モーリス・ベジャール振付(初演1959年)を思わせる。音楽がそうした動きを誘発するのかもしれないが。

激しく、切実で、痛く、強く、女性の身体が炸裂する。これまでいくつか見た黒田作品のイメージと重なるダンスだった。

公演情報

「黒田育世 再演譚」

日時:
2022年3月10日(木)19:00
3月11日(金)19:00
3月12日(土)15:30
3月13日(日)15:30

上演時間:約2時間(休憩15分含む)

会場:KAAT 神奈川芸術劇場 大スタジオ

料金:一般5000円、U25 3000円 ※全席指定

演出・振付:黒田育世
『病める舞姫』出演:鈴木ユキオ
『春の祭典』出演:加賀谷香、BATIK(大江麻美子、大熊聡美☆、岡田玲奈、片山夏波☆、熊谷理沙、相良知邑★、武田晶帆、政岡由衣子、三田真央★) ☆:10、12日のみ出演 ★:11、13日のみ出演

提携:KAAT神奈川芸術劇場
主催:一般社団法人黒田育世事務所


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