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音に就いて


文字を読みながら、そこに表現されてある音響が
いつまでも耳にこびりついて
離れないことがあるだろう。

太宰治「音に就いて」

▷小説と音楽


太宰とは逆の意見だし
作品とはまったく関係はないけれど
読書をするときに思い浮かぶ歌がある。

現代小説の多くでは
「なぜその音楽をつかうか」によって
作品の方向性とか今後を示唆するものが多い。

だからこそ、小説に音楽が出てくる場合には
必ずその音楽を聴きながら読みたくなる。
そんな気持ちになるのは私だけだろうか。

その世界観に入りやすくなるためには
視覚だけではなく、聴覚をつかって
同じ感覚を味わうことは素敵だと思う。

▷小説と海

18歳の夏。

どうしても読み進められない小説があって
今考えると『若きウェルテルの悩み』みたいに
これ以上読んだら「何か」が崩壊するような
言葉にできないけれど堰き止めるものがあって
ただ、今読んで大人になりたいという思いもあって
免許取り立ての友人の車にのって海へ行った。

日の出を見ながら、読んだ小説は今でも
私の心に残っていて、その時は海の波の音と
小説の世界観が目の前に広がった。

やっぱり本を読むときには海は憩いの場所になる。

一冊の本を持って気軽に海に行く。
そんな生活がしたいから、海のそばに住みたい。

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