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初めて聞いた言葉ラスナオロ(läsnäolo)とフィンランドの感情教育

先日、フィンランドの教育現場の取り組みのお話を聴いたり、実際に行われているグループワークを体験できる機会がありました。
なるほどなぁ、そうだよなぁと心の中で感心しつつ、日本とのギャップを感じたりしました。

【私の主観と解釈で書いた感心ポイント】

●その1
『支援者(先生など)が、自身に安心感を感じず、冷静で、余裕が無いと上司にたしなめられる。』
せわしなく、あせって仕事をしていると、なんで自分のできる仕事の範囲を把握しおらず、誰かに相談したり、ほかの人にうまく仕事を回せないのかと尋ねられ、自分があせって余裕の無い状態が、周りにどんな影響を与えるかわかっていますかとたしなめられる。
そして、まずは休憩して、コーヒーを飲みながらリラックスしましょうと言われる。
フィンランドでは、まず自分を大切にする、そして周りに対して落ち着きと余裕のある態度で接して、うまくコミュニケーションしていきましょうという意識が社会通念としてあるように私は感じました。

●その2
『小学校から、感情教育のグループワークが充実している』
2026年までの国の戦略としてフィンランド社会が求める人物像として、「自分の取り扱い説明書を持っている」などがあり、自分の感情の状態がどうであるか、それが周りにどういった影響を与えるか、どんな話し合いができるかをトレーニングする場があるとのことです。
ポジティブ心理学をベースに、様々な心理学的手法(私の中では、北欧のダイアローグ、アンガーマネジメント、システムコーチング、家族療法、モデリングなどのイメージが浮かんできました。)が、カードや絵を使ったグループワークの形式に落とし込まれており、道徳の授業や、普通の授業の中にも組み込まれて実践されているとのことです。
そして、道徳の授業は、主にNPOのような外部の専門家を呼んで行われるそうです。
おそらく、学校でこういった取り組みが習慣的に行われていると、感情を言語化して取り扱い、お互いの感情を知り合うことができ、その違いに多様性を感じるということが小学生の頃からできるようになると思いました。
そうすると、安心して学校に来られて、周りとの信頼関係もきっと築きやすくなるのだろうと私は思いました。

●その3
『文化でもあり、国の政策でもある「ラスナオロ」?』
ラスナオロ(läsnäolo)とは、その場で感じられるお互いの信頼感 というような意味だったように私は認識しました。
自分がその場所で落ち着いていて安心していることを大切にしており、それは、他者との信頼関係によってもたらされているというように私は捉えました。
そんな意識をフィンランド国民全体でぼわっと共有しているようです。
文化的な意識がベースにありつつ、国家戦略としても、自分の感情を取り扱えて、信頼関係が築けるようになることが掲げられるのは、これまた凄いなぁ。どうすれば、こういったことが日本でも意識化され、言語化され、共有され、政策にまで反映するプロセスを辿ることができるのだろうと思いました。

●スクールソーシャルワーカーの活動と重ねて思ったこと
私が普段やっていることが、自身への安心感と他者への信頼感が関係者の中で失われている中で、-10くらいの状態を0(ゼロ)に近づけることだと改めて思いました。
自身への安心感をもたらす他者への信頼感が、関係者の間のどこかで失われているので、生徒と先生の関係性、保護者と先生の関係性、生徒と保護者の関係性、生徒同士の関係性、先生同士の関係などの中で、うまくいっていないところに、「対話性」などを用いてうまく働きかけたいなと思っています。
フィンランドでは、それらを0から+10以上にしていく教育が国家戦略として、積極的に行われているとのことで、もし、日本でも感情教育が充実したら、私がスクールソーシャルワーカーとして関わっている課題が、ほとんど消滅し、不登校やいじめという言葉自体も消滅するのではないかと思いました。
特に、教室は、ネガティブな感情が反射しやすい場だなと私は感じており、自分に対する安心感や相手への信頼が無いと、陰性感情が発生し易かったり、トラウマの再演が起きやすかったり、投影同一視が起きやすかったり、色々と起こっているなぁと感じます。
個人的には、自分の気分や体調を共有する場が、学校の朝のホームルームでやれるといいなと思っており、提案したりしております。
それによって、自分の気分が知ってもらえてお互いに安心できたり、相手の不機嫌の原因が、自分のせいによるものでないし、自分に向けられているものではないというう安心感も生まれると思います。

ということで、
ふゆひこさん、けいこさんご招待してくださりありがとうございました!
ワークショップomenaの皆さん、とても貴重なお話しありがとうございました!

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