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VUCA時代を乗り越える工務店経営

デジタルシフトが叫ばれるなかで古臭いと言われるかもしれませんが、工務店のみならず経営において忘れてはならないのは、「私たちは何のために会社を経営しているのか」という事です。

現代はVUCA(ブーカ)【Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑さ)・Ambiguity(曖昧さ)】の四つの要因により、社会経済環境がきわめて予測困難な時代と言われています。これが何を意味するかというと、過去の成功体験や限定された手法だけでは成功の可能性が低いということです。まさに『せんみつ=1000あって3つ成功するかどうか』であり、工務店業界のように成熟・衰退産業においてそれは顕著であるといえます。

高度経済成長期のように戦後の焼け野原からの復興や人口増などを時代背景として、日本人のもつ勤勉さが相乗効果を生み大きな成果を残した。この時代は、トップの言う事を聞いて一つの方向に突進すれば業績が上がり、給料が上がる時代でした。大抵は成功しモノも売れました。逆に、現在のように(国内においては)人口減社会であり、また技術革新などで突然ゲームチェンジするような予測不能な時代では「待ちを広く」するための多様性が求められています。

従って、経営についても会社の在り方についても、多くの価値観を認め「みんな違ってみんな良い」という話になっています。

これは一見良いことのように見えます。しかし、その解釈を誤り、自分の立ち位置を見失っているとしたら、それはただ漂流している流木のようなもの。会社で言えば、周囲の環境に惑わされ方向性を見失い、無目的・無目標状態になる可能性があります。

当たり前ではあるのですが、自分の考えがあるから他を認める・違いが分かる状態になるといえるでしょう。そこで自身(自社)の考えを指し示すのが経営理念です。つまり、VUCA(ブーカ)時代ということを認識しつつ、だからこそあらためて経営理念を構築し、それに共感した人々が働く組織づくりをする必要があると考えています。

企業(経営者)がその基本的な考え方・価値観をまとめたものが「経営理念」です。

形式については固定されたものはありませんが、「ビジョン・ミッション・バリュー・行動規範」の4つに体系化されることが多いでしょう。またその具体的な内容については、特に工務店経営においては、三方よしの経営、道徳経済合一説などを基にした(日本的な)理念経営との相性が良いと思います。

経営理念は基本的には内向き(組織内部に向けた)のものです。経営理念で経営姿勢を示すことによって、従業員が共感し文化の形成や優秀な人材の確保につなげることもできます。

経営理念は日々実践することで浸透していくので、経営者ですら経営理念に従い、これを日々の企業活動の判断軸とする事で社内のガバナンスも効いてきます。そして経営理念こそが経営戦略・戦術など活動の根本的な起点になるのです。

理念から戦略への落し込みとは「どこで、どのような土俵で(WHERE)・なぜ(WHY)・何を価値として(WHAT)・誰に(WHO)・どのように(HOW)考えているか」という観点が求められます。つまり、企業が目指すポジションと現在のポジションのギャップを埋めていくために、どういうルートを通って、どんな武器を使って、どれくらいの時間やお金をかけて進んでいくのかという話です。

多様性の求められる時代であるからこそ、それぞれの価値を認めつつも自分(自社)の目的(行先)を明確化し、そこにリソース(資源)を集中させる事が重要です。

理念あってこその戦略であり、その落し込み方こそ経営者の手腕が求められるところです。やり甲斐をもってVUCA(ブーカ)時代を進んでいくために、いま一度会社の目的=経営理念を構築し、価値観の明確化を図られる事が望ましいと考えます。

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