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それ曖昧ですよ、先生の発問!

授業で生徒に問いかけても、反応がイマイチ。考えを書かせても、的を得ず関連ありそうな言葉を並べただけ。そんな症状にお悩みの先生。聞き方が曖昧で、生徒たちは何を指しているかわからないのでは、ないでしょうか。

公民科の授業実践例を取り上げて、考えてみましょう。

発問 国債償還の負担が大きくなっている。国債費を削減するには、どうすればいいですか?

国会で削減した予算案を可決すればいい。
新たな国債を発行しなければいい。

この発問は論点を明確に伝える発問ではない。国債発行への依存度を下げるならばはどうすればいいのかを問いたいのなら、ポイントを整理して示し、その上で的外れな答えが出ないように発問すべきだ。十分な税収があれば、国債の発行は不要だ。歳出額を抑制すれば、国債の発行は不要だ。すでに発行した国債の償還は、基本的に義務だ。税収を増やす、あるいは歳出を減らすアイデアを生徒に問いかけるのが、シンプルでわかりやすい。

発問 あなたは何をしますか。あなたの意見を述べなさい。

この発問を与えても、教科書で答えを探して写そうとする。教員は各自に考えさせたいが、生徒は考えて不正解と言われるよりも、手っ取り早く答えが知りたい。

個人情報を守るためにあなたは、何をしますか?

この発問は大づかみで雑だ。誰からどんな個人情報を守るのかがわからない。高度な技術を持つハッカーに個人で対抗するのか。店員が顧客情報を保管する際に気をつけることを考えるのか。

先生は言う。
いろいろな答えを自由に考えて述べればいい。

大づかみで曖昧な問いかけは、答えにくい。答えても的を得ているかわからない。何を答えても正解なら、頭を使うことはできない。先生は発問したという事実に満足してしまう。生徒の答えがつまらないのを先生は生徒のせいにしてしまう。問題があるのは、先生の発問だ。

視点、視野、視座

回答する人の立場を設定しよう
回答の範囲を設定しよう
何に着目して回答するかを設定しよう

公民科の授業の発問は、つくるのが難しい。回答する生徒が考えなければならないことを明確に伝える必要がある。曖昧な発問は、学習の機会にはならない。考えなければならない立場を伝えれば、考えやすくなる。消費者の立場、利益を求める企業の立場、保護者の立場、病院経営者の立場など、生徒の立場というのが必ずしも最適であるとは言えない。

真逆の方法が存在するものをまとめて問うのは避けたい。教員が片方を選んで、方向性を示して、考えさせるのがよい。両方向を扱いたいのなら、順番に取り上げるか、両方向あることをあらかじめ示したり、解説しておくのがよい。真逆でなくても、範囲が広い場合、選択肢が多い場合は、整理しておくのがよい。整理することも学習になるので、整理した上で発問を与えるべきだ。未整理で発問するのは、不親切で雑な授業だ。

発問 選挙に行かなければならないのはどうしてですか。沖縄米軍基地問題について、あなたはどう思いますか。

投票率が低いから。
国民の義務だから。
民主主義だから。
よりよい政治家を選ぶため。
選挙に行く高齢者の意見ばかりが政策に反映されるから。

気づいてほしい正解がある。発問に答えることで気づかせたい。このような場合、ポジティブな方向でメリットを探させることができないかを、発問をつくる段階で検討してほしい。選挙に行くとどんなメリットがあるか、投票率が上がると何かいいことはあるの?、その上で現実はどうだろうと、事実や資料、データを見せる。投票率低下の原因、投票に行く妨げとなっていることを考えさせる。改善策を思いつく生徒がいるかもしれない。

新聞への投書や知事へのメールなど、意見の宛先を意識させる工夫も有効だ。先生が採点するためだけに書くよりも、有意義になる。

理由なき回答、根拠なしの意見をやめさせる

沖縄米軍基地問題に、高校生がコメントすると、移転縮小と安易に答えて、その根拠がない場合がある。考察させるなら情報を与えたり、事実を調べさせたりする必要がある。省いてはいけない。はじめに述べた通り、論点整理や視点の設定が不可欠だ。

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