見出し画像

教育実習は現場の善意

大学の教職課程で、必修となっているのが教育実習だ。教員免許取得のために学校で3週間程度の実習を行う。

日本は教員養成に力を入れていない国だから、ほとんどは、実習生を受け入れる学校に委ねられている。大学は学校現場に丸投げで放任だ。大学の教員は、研究授業と言われる仕上げの最後の授業の参観に来て、コメントして帰るだけだ。実習期間中、何度も来る大学教員はいない。
実習開始前の事前指導も大したことはない。すぐに授業ができる状態で来る実習生はまれだ。たいていは、ただ教科書を読んだり、目標のない説明をして、プリントの穴埋めや答え合わせをしようとする。班やグループワークも、無茶振りで生徒が困ったり、気を遣って忖度して対応せざるを得ないことがよくある。大学は、授業づくりの方法を指導しない。していても十分ではない。だから学校現場の負担は大きい。

単元について、実習生と議論したり、意見交換をして、新しい取り組みにチャレンジしようと、現場の教員は待ち構えていても、がっかりする。
教員は生徒に授業をするのが本業で、教員養成は仕事ではない。力のある教員を育てるなら、学校現場に教員養成を担う立場の教員を置くべきだ。教員養成を日本は甘く見ている。医師養成や自衛官養成と比較すれば、甘い。教育は国力とつながっている。もっと真剣に、費用をかけて、優秀な教員を養成すべきだ。

ハズレの学校に教育実習に行くと、実習生をどうしていいかわからない教員は、雑に実習生を扱うか、放置する。

いきなり授業をさせてみる。
助言も指導もしない。見にも来ない。
相談にものらない。ひどい場合は、休暇を取る。
実習期間を過ごさせればいいだけだと割り切れば、余計なことはしない。生徒だけで手一杯だ。普通に働いてもブラックだ。実習生はハズレくじだ。そう思う教員もいる。

実習生指導を担う現場教員が養成されていない。
実習生は、無給で、先生体験をしているに過ぎない。
実習を通じて育成する目標が本人任せで、大学が責任を負っていない。
現場教員の負担が考慮されず、善意の受け入れにただ乗りしている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?