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今日の発問:民主政治編

高校教員の授業実践を発信しています。教員向けの記事です。

民主政治の基本原理
高校公民科の公共や政治経済の授業で扱う単元で、社会契約、民主主義、法の支配、権力分立を学習する。教員が歴史的背景を解説しながら、一方的に話して聴かせる授業をしてしまいがちだ。説明してしまうのは簡単だが、自分で考えなければ、学習が定着しない。説明ばかりをし続けると、授業を聴かずに”テスト勉強でやればいい”と思う生徒も出てくる。

授業で学んでほしいのは考え方、思考の枠組み
授業は用語の整理をしたり、重要語句のリストを与える場ではない。語句の意味を説明するが、それは語句を覚えさせるためではなく、考え方を理解するために必要だからだ。語句だけ覚えても、肝心の考え方が伝わっていないなら授業は失敗だ。要領よく語句を覚えるテスト勉強の成果は、授業で評価したいことではない。

自然状態では人はどんな行動をする?
自然状態では何が起こる?

社会契約の考え方を理解させるために、生徒に発問する。自然状態とはどのような状態であるかを説明して、何が起こって人はどうするかを考えて答えてもらう。自然状態は、法律や警察、税金や制度、刑務所や裁判のない状態だ。人間の作った社会のしくみがない状態だ。

隣の席の生徒と話させて考えさせる。シーンと静かな状態で1人で考えさせてはいけない。1人ずつあてて答えさせたいが、時間をとって生徒間で話させる活動が必要だ。その後、何を考えたかを質問して答えさせる。教員は教卓から動いて生徒の近くで答えを聞いて、復唱する。そのまま順に教室内を移動して、順番に答えさせる。話し合ったペアごとに聞いてまわる。1人ずつ指名すると緊張感が高まるが、ペアごとなら助け合って回答する。教員が教卓から指名すると、生徒は「わかりません」と言って発言を回避しようとするが、教員が近づけば、大きな声で言わなくてもいいし、近くにいる先生を無視できない。教員は全体に伝えるために復唱することは欠かせない。他の生徒と同じことを言うのもありだ。順番に答えさせて、「もう言われました」といい生徒がいたら、どの意見と同じだったかを言わせる。テンポ良く順番に答えさせ教室内を一巡する。「他にはどんな意見があった?」と教員は、重複しない発言を求めつつも、重複も許容する。できるだけいろいろな解答を言わせて、全体で共有する。気をつけたいのは、その後の授業展開につながらない脱線した解答の扱い方だ。誤った考えも否定せず、全員に発言の機会を与えることが大事だ。発言のしやすい場づくりが優先だ。珍解答も的外れも受け止めたい。短く肯定的にコメントしたい。ちょっと違うななどと教員は言ってはいけない。

身勝手な王を倒して、人柄のいい人物を王にすればいい。
どうして王政をやめなければいけないの?
問題は王が身勝手だったことじゃないの?

市民革命により絶対王政が打倒された経緯や史実を解説してから発問する。

自然権として所有権や自由が主張され、市民革命では、平等や国民主権が主張された。
人間には自由と平等以外に何が必要だろう。
ほかにも世の中で実現すべきものはあるだろうか?

社会権の登場を説明する前に、発問する。自由に発言できる発問をしてから、資本主義が引き起こす問題が、社会権を生み出したことを解説する。

生徒が授業中に教科書の内容を話題にして会話する活動をは、主体的な学びにつながる。自分ごととして生徒が考え、使える知識を与えたい。語句よりも考え方の習得に重きを置いた授業の提案です。

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