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音楽制作を”ノーギャラ”で請けることの是非と、私の見解(プロになりたい方向け)

特にSNS界隈では「ノーギャラで仕事を受けてはいけない」という投稿をよく目にします。
相場が崩れる、ノーギャラでは真っ当な責任を伴わないから駄目、クライアントに使い潰される、ギャラの額を上げられなくなるなど、それなりの説得力はあります。

私のこれまでの経験からいろいろ考えてみて、この”ノーギャラ問題”について私なりの答えが出たので、書いてみようと思います。
この記事は作曲家など音楽制作を仕事にしたい、プロ志望の方向けのアドバイスとして書きました。

先に結論を書きますと、プロ志望の方はチャンスだと思ったらノーギャラでも低金額でも受けたほうがいいです。「ノーギャラで受けるな」は参入障壁であり、これからプロになりたい方にとっての大きなハードルとなります。プロ志望の方は真に受けてはいけません。

その理由を書きます。


各問題点に対する来兎の見解

  1. 相場が崩れるのか?
    そんなことはありえません。そもそも音楽制作に相場らしい相場はありませんから。だから、自分がタダで音楽制作をしたから業界の相場が変わってしまうなんて心配をする必要はありません。

  2. ノーギャラでは責任を伴わないのか?
    そんなことないです。責任を全うするかどうかは結局のところギャラがあろうとなかろうと本人次第です。しっかり月給をもらって全然仕事をしない社員なんて山ほどいます。

  3. クライアントに使い潰されるのか?
    受けた人がが無知でお人好しだと可能性があります。でも嫌ならすぐに辞めればいいのです。ノーギャラなら損することは何もありません。

  4. ギャラの額を上げられなくなるのか?
    結局本人の気持ち次第なので「ここからは有料です」と伝えればいいのです。それで切れるのであればそれまでです。でも金銭的ダメージはありません。

なぜノーギャラで受けるのか?

プロになりたい人で、まずほしいのは実績でしょう。だから、この実績を作るためです。これはノーギャラで受ける人の多くの理由だと思います。

少し私自身の話をしたいと思います。

私は今、音楽制作を生業としていますが、最初は同人などでお金にならない・頂かない音楽を作っていました。このお金にならない音楽は、ちゃんと実績となって積み上がりました。
そして、ある商業ゲームの音楽制作の依頼を受けます。
「いくらですか?」と聞かれたとき、相場もわからないためものすごく低い額を提示していました。低い額だったと知るのはこの仕事が終わってしばらく経ったあとのことです。

その後もちょいちょい音楽制作の依頼が来るようになりました。そのたびに考え、提示された額でよいか、自分の仕事がいくらの価値があるかを考えました。

そうやって試行錯誤を繰り返していくうちに私なりの自分の相場を作ることができるようになりました。これは私の相場であり、他の方には当てはまりません。
自分自身でよく考えてください。

ノーギャラで受けてはいけない条件

・楽しくない、好きじゃない仕事

ノーギャラの場合は好きなジャンルの音楽が作れるなど、楽しさを優先します。楽しくないのにノーギャラは馬鹿らしいです。

・名前が出せない仕事

ノーギャラは実績作りが目的です。クレジットに出ない。実績に名前が載せられないのならやってないのも同じ。受けてはいけません。

ノーギャラでも、なんでもかんでも受けたら実績になるわけではありません。ノーギャラだからこそ吟味する必要があり、音楽に関する主導権を握る必要があります。逆に言うと、それができないのならノーギャラで受ける価値はありません。

その他、心構え、気をつけること

・クライアントを評価しろ

音楽制作はクライアントに評価される側ですが、そのクライアントが自分の作品のどこを評価してるかを評価しましょう。クライアントのセンスをあなたが評価するのです。
もし作品を酷評されたのなら、本当に酷評されるに足る理由があるか考えましょう。なければクライアントのセンスと性格が合わないのです。気に病む必要はありません。さっさと抜けてしまいましょう。あなたは悪くありません。
他、言葉遣いや振る舞いなど、やりとりから学ぶことが多いです。今後の人付き合いの参考になります。

このクライアントを評価してやろうという気持ちはあなたの心の鎧となります。しっかり身につけてください。

・1クライアント一回限り

基本的に、ノーギャラで受けるのは1回限りです。1回やれば自分の実績に書けます。別に「ノーギャラでやりました」と書く必要はありませんから、立派に実績にしていいのです。
よく「実績になるからノーギャラでどう?」という言葉を悪く書く人がいますが、それはその仕事と自分の立ち回り次第です。「これは実績にできるな」と自分で判断すればいいのです。実績にしてもらうのではなく、自分で実績にするのです。
ちなみに、私はこれは今でも後々伸びそうと思った面白そうなプロジェクトなどは自らノーギャラを提示して参加を提案することがあります。それから広がった仕事も結構あります。

・ノーギャラの曲は捨て曲と思え

それでもノーギャラを提示するプロジェクトはリスクがそこそこ高いです。だから、最初からうまく行かないときのことを想定しておきましょう。これからたくさん作る曲の中の何曲かです。手は抜かずとも、無駄に思い入れ強く作るのはやめましょう。

・SNSを活用、見る目を養え

私も有料無料問わず、うまく行かなかったプロジェクトがあります。しかし、うまく行かなかったものからこそ得た経験というものもあるのです。今はSNSがあります。特にTwitter、Facebook は関わる人間を見極めるのに有効なツールです。個人的には、直接会って得る印象よりもこれらのSNSのほうが本性に近いと思います。「会ってみたら意外と良い人だった」は危険なのです。

そして、自身もSNSを活用しましょう。自分の実績などちょくちょく載せておくと、忘れた頃に依頼が来たりします。期待してると疲れるので、気長にやりましょう。

さいごに

そんな感じで、ノーギャラ仕事について書いてみました。すでに仕事をしている人とこれから始める人では戦略が違います。ここ10年ぐらいで大きく変わってきているので、先人のやり方は通用しません。
こんな記事書いていながら矛盾していますが、下手に参考にせずに今の時代の自分のやり方を見つけ出してください。


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