「音楽の才能は遺伝で90%決まる」は本当か?
ちょくちょく見かける才能と遺伝についての話。特に「音楽の才能は90%遺伝」というのは音楽をやってる人のやる気をがっつり削ぐ数字的なインパクトがあります。
しかし、そこで言う「音楽の才能」とは具体的に何なのか?記事を読んでみると音楽の才能と呼んででるものが何かがわかります。
検索してみると、出てくる研究は2つ
2つの研究結果とも音を聴き取る調査によって遺伝的な有意差があると結論づけています。おそらくこれは事実であり演奏家であれば考慮すべき研究結果でしょう。
それを「音楽の才能」という大雑把な表現をされては、これから様々な音楽をやる人に誤解を生じさせるのでよろしくないなと思います。
現代のポップス音楽制作においては、その微細な聴き取り能力はそれほど重要ではありません。それよりもサウンドの流行に対する感性や、自分だけが持つ音楽へのこだわりなどが制作者のキャラクターとして重要になるでしょう。(そしていざ演奏が必要となったときには、才能ある演奏家にお任せすればよいのです)
そして、遺伝によるその微細な表現に関してもテクノロジーによってある程度解決できます。すでに、今のDAWにはコード進行やメロディのサポート機能が搭載されています。ここで必要なのは、自分が良いと思う音楽を自分で「選ぶ」ということなのです。
この作曲サポートの無いもっと昔から、演奏するシンセ等の音色はすでに「選ぶ」時代になっています。これは遺伝子がなにかるすような絶対的なものではなく、時代による相対的なものです。どれだけたくさんの音楽を聴き、何を感じてきたかがモノを言うのです。
少なくとも、作曲をやりたい人にとってこの遺伝の話はネタにはなれど、特に気にする必要はありません。
そもそも音楽は遺伝よりも生まれと育ちで大きく差がでます。
しかし、それもテクノロジーの進化と道具の低価格化により差が埋まりました。私も音楽のテクノロジーとやりたいことがたまたまリンクしたから音楽を仕事にすることが出来たのであり、10年生まれるのが早かったら、私の才能程度では無理だったでしょう。
今や「才能」とは「自分だけが持つ力」ではありません。環境もテクノロジーも自分を強化するものすべてを使いこなすことこそが21世紀の「才能」なのです。
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