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プロクラスティネーション症候群

はたして、そんな病気は存在しません。
プロクラスティネーションとは"procrastination"のことで、「引き延ばすこと、ぐずぐずすること」という意味の英単語です。課題の提出日が近づいているからか、以前は聞いたことがなかったこの言葉をよく耳にするようになりました。

期日ぎりぎりにならないと、どうもやる気が起きない。とか、
締め切りが近づいているときに限って、掃除に精を出したくなる。とか。
すべてわたしに当てはまることです。たぶん、これを読んでいるあなたにも思い当たる節があるはず。

勉強や仕事がオンライン中心になったこともあって、なかなか外部からのプレッシャーが少ない今日この頃。自分のリズムで過ごせるのはいい面もありますが、自己管理という面ではけっこう難しいですよね。いい感じに現実を見ずにしばらく過ごしてみるけど、最後にいつも苦しむ、みたいな。

どうやったら先延ばししないで人生エンジョイできるのかしら?そんな問いに答えるべく、プロのプロクラスティネーターのわたしがここ数日で発見したことをみなさんにも教えましょう。

先延ばし癖はストレスのせい説

先日、大学が提供している`Caring University‘なるストレスチェックテストを受けました。よくある「最近ストレスを感じていますか?」などの質問に対して五段階の回答のどこかにチェックをつける方式のやつです。

ソフトロックダウン中で外出もままならず、授業もオンラインだし、なかなか理想的な学生生活とはいえません。そんななかでも割とストレスを解消しつつエンジョイしている方だなという認識でポチポチと回答していきました。

テストの結果。

Based on your answers it seems like either symptoms of depression or significantly increased levels of stress are currently present.
あなたの回答によると、うつの症状もしくは非常に高いレベルのストレスが示されているようです。

めっちゃ問題ありそうじゃん。
おそらく、少しでもストレスレベルを感じているような回答をした人には少し大げさにアドバイスをしてくれているのだと思います。基本的にオランダの大学は学生のメンタルヘルスをかなり気遣ってくれている印象で、なんだか日本とは違うなと感じています。少なくとも以前職場で受けたストレステストは、どれだけ問題ありげに回答しても「あなたは元気!!!」みたいなフィードバックしかくれなかったな。うける。

テスト結果の詳細を読んでいくと、プロクラスティネーションはストレスの症状のひとつと書いてありました。なるほど、ストレスのせいだったのか。ストレスのせいならしょうがないな。うん。

先延ばし癖はコントロールできちゃう説

ところが、「ストレスのせい説」とは対照的なセオリーもあります。
それはすなわち、「先延ばし癖は人間の脳の仕組みによるものだから、マネージメントの仕方さえ知っていれば計画的に行動することができちゃうよん」というものです。

もう少し詳しく説明すると、プロクラスティネーションとは「やらなければいけないことに関連する負の感情に対処するための脳のメカニズムであり、この心理的な仕組みを理解することで克服できるもの」だそうです。

こちらのTEDトークは、プロクラスティネーションの仕組みについてわかりやすく説明しています。頭の中で何が起きているかという表現がかなり的を射ていて、誰しも頷きながら観ちゃうはず。

……

さて、ストレス説と脳のメカニズム説、あなたはどっちのセオリーがお好きですか?
わたしは、自分の考え方次第でポジティブにもっていける後者の考え方が胸にすっと落ちました。でも、どちらの受容のしかたがあってもいいし、それぞれ大事にされるべきだと思います。

さいごに、わたしオリジナルの説もご紹介しましょう。

期日に苦しんでいる時こそ、期日のやつとは関係ないけどいい感じのものが生み出せる説

わたしは目の前の課題から逃げることで、料理の腕をあげ、エクササイズで体力をつけることに成功しました。
ふだんはたいして魅力的じゃないのに、嫌すぎることが目前に迫っていると急にそれらのことが輝いてみえる現象に名前はあるのでしょうか?
ちなみに上のTEDトークのティムさんは、「暗黒の遊び場 (dark playground) で遊ぶこと」だと言っています。わかる気がする。

……

ひとは、心や体の不調に名前をつけて認識することで、ちょっと安心したりするものです。先延ばししちゃいがちな性格はあなただけのものじゃなくて、実はみんなが普遍的にもっている傾向のひとつでしかなかったりして。そんな風にちょっと客観的に物事をとらえてみると、対処方法も自然と明らかになって、ちょっと心が落ち着きますよね。

さあ、今日からまた頑張りましょう。それか明日から。もしくは近いうちに。

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