見出し画像

ついにあいつがやってきた

こんにちは、りさです。
みなさん元気に過ごしていますか?

わたしは、ついにあいつと直接対面することになりました。新型コロナウィルスってやつです。そやつに冒されているので、元気ではありませんが、幸いにも軽症で済んでいます。たぶんオミクロン株なんじゃないかなと思います。

コロナにかかるって、笑っちゃうくらい感染爆発しているオランダでは珍しいことではないんですが、それでもやっぱり多少打ちひしがれます。しばらく誰にも会えないし。もし日本に居たら、世間体とかなんだら体の調子以外のところで、もっと打ちひしがれるのかもしれません。

そんなどうしようもないことに直面した今、なんとなしに、過去を振り返ってみようという気分になっています。

誰に語り掛けるでもないお話

いままで心が折れそうになったことって、あったかしら。
風邪もなかなか引かない健康体で、周りの環境にも恵まれて生きてきた。思うがまま順風満帆に人生を歩んできたかと言えば、そんなこともなかったけど、ありがたいことに順当に世を渡って来れたと思う。

大きな病気は小学生のはじめにしたっきり。一度は小児がんと診断されたけど、結局は良性の腫瘍だった。首の手術跡はまだ残っているけど、幸運にも後遺症に悩まされることはなく、いまじゃピンピンしている。

わたしは気の難しい、「変な」子どもだった。とても内気で頑固なもんだから家族や友だちを困らせたり、そのせいで学校でいじめられたりもした。特に中学年くらいの頃は、学校に行きたくなかった。帰り道、自分の存在について、哲学者みたいに考えたりした。でも、なんだかんだインターネットで友だちをつくったりお絵描きをしたり親に甘えたりして、小さい楽しみに生かされていた。そうした記憶は、いまは古傷みたいに体になじんでいる。

今じゃ理解に苦しむような小さなことで必死になっていた思春期。他人の目がとても気になった。何人かの男子に対して、いい気になって意地悪な言葉を投げていた(最低)。今思えば気になっていた子に対して素直になれずにそういうことをしていたんだと思う。自分もいじめられていたのに、すっかり逆の立場になって他人を攻撃していた。とても申し訳ないことをしたと思っている。

運動はてんでできなかったけど勉強はそこそこできて、受験で憂き目を見ることはなかった。大学に行って、スペイン語を話せるようになった。フラメンコを踊れるようになった。とても素敵な人たちとの出会いに恵まれた。

でも就活では望んでいた業種の企業には入れなくて、なるほどこれがザセツってやつか、と他人事のように感じたのを覚えている。というのも、悔しかったけど、途方に暮れたわけではなかったから。

そんななか、ご縁あって、廃棄物の管理をする民間企業に就職した。はじめの2年は、ひたむきに目の前のことを頑張った。それでも、なんとなく周りから「なんでそんな仕事をしているの」と責められている気がした。でも3年目くらいに、その声は他人からではなくて自分から発せられていたのだと気が付いた。自分が選んだ道だと引き受けてから、仕事がどんどんと楽しくなっていった。

廃棄物のこと、環境のこと、サステナビリティのことについて、もっと知りたいと思うようになった。別の言い方をすれば、知らない自分とやっている仕事の内容に矛盾を感じるようになった。プライベートの面でも、一時の享楽に飲み込まれて、自分を見失っているようなこわさがあった。

大学の時にさせてもらった、スペインのグラナダでの留学の経験がとても心に残っていた。あの10カ月間は、アンビバレントだったわたしの人格形成をかなり助けてくれた。もう一度海外に身を置きたいと、ふわーっと思い続けていた。20代の後半、やるなら今しかないとなぜか感じて、2019年9月、オランダの大学院に行くことに決めた。

受験のために、仕事をしながら英語を学びなおした。プロの力も借りて志願書を提出したのが2020年3月ごろ。世の中がコロナで騒ぎ出したころだった。四年とちょっとお世話になった会社は5月に退職した。一番入りたかったユトレヒト大学から合格通知が来たのは6月。その2カ月後、8月の半ばにはぴょーっとオランダに飛んできた。

オランダに来たのはいいけど

オランダに来てからというもの、ことあるごとに気合が足りないなと思う。そういう葛藤は過去の記事からにじみ出ている。こんなこというと誤解を招きそうだけど、根本的には、ここに来てほんとによかったと思っている。どうよかったのと訊かれるとまだうまく答えられないので、またの機会にちゃんと振り返ってみようと思う。

最近は、もうクラスもテストもないし、一人で修論を仕上げるのに苦戦している。ここ数日は体の具合もよくないことを言い訳に、Netflixでドラマを見続けたり、Youtubeでようわからん動画に見入ったり、世界一どうでもいい豆知識やゴシップみたいな記事を読んだり、おまえ何しに大枚はたいてオランダに来てんねん、とおじいちゃんにひっぱたかれてもおかしくないような、自堕落な日々を過ごしている。もし本当に今は亡きおじいちゃんが喝を入れてくれるなら助かるし、そのためには腎臓ぐらい悪魔に捧げてもいいと思っている。

こんな状況を告白すると、優しい友人たちは「そういう時間も大事だよ」と言ってくれる。彼らもまた理想と現実の間で苦しみながら一所懸命生きているヒューマンたちだ。それに、たぶんわたしは今、ふさぎ込んでいるのかもしれない。スランプなのは間違いない。こんな時に効率性とか生産性とか追及しても心が壊れるばかりである。やる気スイッチは、適切な瞬間に自然とオンになるものだ。今までそんな感じで延命してきたから、今回もそうだと信じている。でもポップにこんなことを書いているわたしは今かなり鬱蒼とした表情をしている。

コロナのこと

冒頭の話に戻り。先週の月曜日から発症したので、明日で1週間。明日中に症状がなくなれば外に出ていいことになります。ですが、引き続き熱と咳が出るので、もう少し引きこもりを継続する必要がありそうです。

なにがストレスかって、日本に帰れなくなってしまったことです。予定では、今朝日本行きの飛行機に乗って、今頃ロシアあたりを飛んでいるはずだったんですが。キャンセルせざるをえませんでした。

修論は日本でしかできないリサーチを組み込んで計画を立てていたので、白紙に戻して、柔軟にものごとを考えないといけません。絶望はしていませんが、ちょっと悲しいです。もし研究を延期せざるを得ない場合、最悪のケースだと8月中に卒業ができないことになります。ちゃんとやれば、まだまだ全然立て直せるんですが。つい弱気になってしまいます。

日本にはPCR検査の陰性証明書が必要です。一度コロナにかかるとPCRでしばらくの間「偽陽性」なる「他人はもう感染させないけどコロナのDNAが体に残っているから反応しちゃう現象」が出るらしいので、治ってもしばらく渡航はできないことになります。

ここ数日ぼーっと考え続けていきついた結論は、いつ日本に行けるかに固執して気を揉まないで、いまの状況を受け入れたうえで、最善のことをするってこと。リサーチの順番を入れ替えて今先取りして進めれば、全部うまくおさまるはず。残念ながら、コロナを理由にだらけるための言い訳はありません。

こうして色々振り返ってみると、なんだかちょっとだけ気が晴れたような、結局明日もしょうもない動画を見続けそうな、そんな心持ちでおります。


みなさん、健康第一ですよ。どうぞお気をつけて、元気でお過ごしください。


サポートありがとうございます。お金を使ったり体を張ったりする取材の費用に使わせてもらいます☺