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多くの駐在妻・駐在夫に伝えたい。帰国後再就職活動を経て気づいたこと。

約一年半の在米生活を終え、2021年5月に帰国しました。渡米前は大手外資系メーカーでプロダクトマネージャーとして複数製品のブランド戦略全般を担当していましたが、渡米に伴い退職。在米中は様々な事情から就職ができませんでした。現在は帰国に向けた就職活動を終了し、第一志望職種の外資系メーカーでのブランドマネージャーポジションとして6月に入社予定です。そんな私が帯同生活と再就職活動を終えて感じたことや気づいたことを、これから再就職を考える駐在帯同家族の方々にお伝えできればと思ったのでここに書いていきます。

※私は帰国前にアメリカからすべてリモート面接で完結しました

※内容はすべて個人の見解です

駐在帯同は「人生経験」にはなっても「職務経験」ではない

よく「海外での生活や子育て、外国人とのコミュニケーションの経験は就職の役に立つのでは」という声を耳にしますが、採用側が聞きたいのはあくまでも「職務の経験」です。海外でも就職して働いていた場合を除き、海外でどう過ごしていたか・何をしていたかを面接で聞かれることはほぼないと思われます。少なくとも、私は一度も聞かれませんでした。

ですが、そのような経験は入社後に仕事をする中で生きてくる部分は職種によってもちろんあると思いますので、ご自身の経験上無駄にはならないと思います。あくまでも「就職活動」という観点ではあまり強みとはならないというだけです。

ライバルは「駐在妻」ではなく「現役バリバリのビジネスマン」

海外で生活をしていると、同じ境遇の駐在帯同中の方々とお話したり情報共有をすることが多いので、自然とそのような方々と比較して考えてしまう方も多いのではないかと思います。ですが、実際に就職活動をすれば、ライバルになるのは今も現役バリバリで働いている普通の転職者がほとんどです。そのようなライバルと比較した上で、自分に魅力を感じてもらえなければ当然採用されません。その視点を持つだけでも自分を一歩外から俯瞰して見れるようになるので、ぜひ客観的に自分の希望業界・職種を見てみることをおすすめします。

最も重要なのは「渡航前の職務経験」。帯同中の学びや経験は補足事例程度

前述の通り、私の経験では面接で聞かれたことの95%以上が「過去の職務経歴」に関するものです。これは面接を受けながら私自身とても強く感じたことですが、過去の経験をできるだけ鮮明に思い出し、詳細に伝えられるようにすることが何よりも重要です。大事なのでもう一度言います。これが最重要です。具体的な数字や成果に加え、課題をどう乗り越えて成功につなげたか、そのときどんな工夫をしたのか、どんな想いを持って何を大切にして働いてきたのか、自分で思っている以上に忘れています。悲しいほどに。加えて、海外生活とStay home生活の影響で日本語で説明する力も少なからず落ちているので、要注意です。

帯同中の学びや経験ももし面接でアピールするならば、自分の長所や考えを伝えるときの補足事例②などでさりげなく挿入するのはおすすめです。事例①はもちろん職務経験からになりますが、それに加えて退職後もこんなところで活かしましたと言うことはできると思います。

再就職に向けて帯同中に準備できることとは?

では、帯同中には就職に向けて何もできないのかというと、決してそうではありません。自身の経験から有効だと考えられることを最後にお伝えします。

・過去の経歴を最大限伝えられるように準備する

何度でも言います。過去の経歴が最重要です。具体的には、なるべく早く記憶が鮮明なうちに職務履歴書を書いてください。そして説明する練習をしてください。そうする中で、事例が少し薄いなと思う部分を補う経験が帯同中に何かできないか考える余地も生まれます。職務履歴書に記載したこと以外にも、様々な角度から、様々な事例を用意しておくといいと思います。今も現職で働いているかのように鮮明に話せるのがベストです。ライバルたちに比べて圧倒的に準備時間がありますから、ここに時間をかけられるのが大きな強みです。

・資格 / 語学を身につける

次に役立てられる余地があるのは「資格」と「語学」です。これらは帯同中の経験の中で唯一「履歴書に書ける」ものなので、上手に活用すると有効だと思います。どのような資格がいいのか、語学が活きるのかはもちろん職種によるので、ご自身の経験と目指す方向性に活かせなそうであれば無理に取り組む必要はないかと個人的には思います。また、帯同中に取得したものだけを武器に、今までとまったく違うフィールドに挑戦するのはかなり難易度が高いと思います。今までの経験を軸に、+αで幅を広げられるようなものを選ぶのがベストですね。

私の場合は日本でのブランドマーケティングの経験に加えて、帯同中に英語を強化したことで外資系企業の類似ポジションを受けるハードルが下がりました。HQとの英語面接も経験しましたが、無事に乗り切れたのは在米中の自己学習が功を奏したと感じています。また、マーケティングに関しての資格は特に取りませんでしたが、UdemyやCourseraを活用してアメリカのマーケティング講座を複数受講していたので、それらを通して学んだ知識やノウハウと志望企業のビジネスで活かしたい旨も「この会社に入ったら何をしたいか」具体的に聞かれた際にはお話していました。

最後に

つらつらと書きましたが、大事なのは戦略だと思います。これまでの経験とこれからどういう方向性を目指したいかをはっきりさせた上で、必要なものや強化したいものを帯同期間中に身につけられるとそれは強みになります。ここではあくまでも「就職活動」に絞ってお話していますが、海外に住んでいるからこそできる人生経験はたくさんありますし、仕事をする中で活きてくることもあると思います。再就職の不安があって帯同生活を楽しめないという方には、ぜひそこを割り切って考えていただき、就職に関しては前述のような「就職の対策」を進めていただくことで帯同生活も楽しめるようになることを願っています。

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