見出し画像

「キース・ヘリング」

1980年代に発売されたクリスマスエイドというコンピレーションアルバムのCDジャケット。
真っ赤な紙に金色の太い線で描かれた人が赤ちゃんを抱くイラストがキース・ヘリングとの出会いだった。
今もTシャツやキャップなどあちらこちらで見かけるキース・ヘリングのイラスト。
長年個性的なイラストレーターということしかわからずにいた。


《イコンズ》
中央(Radiant Baby)

今回、キース・ヘリング展が開催されるということで、なんとなくしか知らなかったイラストとキース・ヘリングについて興味が湧いた。
ある日、次の予定までに少し時間ができたため、2時間弱という短い鑑賞時間だったが、脚を運んでみた。
幸い混雑しておらずじっくりとアートを浴びることができた。



いくつかの代表的なモチーフ「Radiant Baby」「barking dog」の前に地下鉄の掲示板にチョークで描いていた時代を再現したコーナーがあり、地下鉄構内の雑踏の音が流れ、壁のタイルに掲示板という演出が導入として再現され1980年代へタイムスリップさせてくれる。

カラフルな色彩が印象的なキース・ヘリングだったがモノクロの作品があることが意外だった。
ダンスパフォーマンスの舞台セットだそう。
当時この前でブレイクダンスが踊られたという。
それを想像してみたり、自分がその時代に何をしていたかなどを思い返しながら作品を鑑賞していくことでその時代背景を振り返り、彼が何を伝えようとしていたのかを考えていた。

彼が残したいくつかの言葉が展示してあり、彼が思うアートとは何か、アーティストとは何かを通してわたしも美術のアーティスト、音楽のアーティストとは何かを考えていた。
美術のアーティストは作品が美術館に展示されたり作品が高額で売られたりオークションがあったりして、社会的にも一目置かれる気がしている。
音楽のアーティストはどうだろう。
クラシックの演奏家は一目置かれる方もいるが、自ら作品を創作し発表している方はどうかと考えると、アーティストと呼ばれている人がみんなアーティストではない気がした。
音楽におけるアーティストとは…

Ignorance = Fear

キース・ヘリングに戻ろう。
性に関する作品もとても多かったのが印象的だった。妊婦や赤ちゃんをモチーフとした作品は生命力を感じ躍動感と希望に溢れていた。また、時に単語を盛り込み伝えたり、商業的なイベントのために描いたものもあった。
一方で、太い線のカラフルな作品ではなく、決して太くない黒い線で描かれた輪郭と部分的に赤と青というシンプルなトリコロールカラーの「the story of red and blue 赤と青の物語」は子どもの想像力を膨らませる作品で、可愛らしさがあった。



ニューヨークで最後の個展のポスター

親しみやすいゆえイラストと思っていたキース・ヘリングは力強いメッセージを発信する芸術家、アーティストだった。

東京・六本木/ 森アーツセンターギャラリー
2024年 2月25日まで。
https://kh2023-25.exhibit.jp

※ わたしは美術評論家ではないので個人的感想として、今まで知らなかったキース・ヘリングについて感じたことを書いています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?