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【第4回】20年度新聞協会賞受賞!『にほんでいきる』読書会(1)

◎読書会『にほんでいきる ---外国からきた子どもたち』を開催

こんにちは、認定NPO法人Living in Peace(以下、LIP)難民プロジェクトです。

LIPは、日本に住む難民の方々の支援をしていますが、日本で暮らす難民・移民や、さらにその子どもたちとなる難民・移民第二世代を取り巻く課題は、周囲から見えづらい状況にあります。
今日は、その現状を学ぶべく、GW直前となる4月25日にLIPにて開催した『にほんでいきる---外国からきた子どもたち(以下、にほんでいきる)』読書勉強会のレポートをお届けします。

あまりに議論が盛り上がってしまったため、2回に分けてお届けいたします。

◎貧困を自己責任で括れない外国ルーツの子どもたち

2019年度在留外国人が過去最高(※1)を更新し、それに伴い、外国ルーツの子どもたちが増え、公立の学校に求められる支援の幅も広がっています。一方、文部科学省の2020年の調査で、不就学や就学不明の外国籍の子どもが2.2万人(※2)いることが判明しました。
外国籍の子どもには、いまだ就学義務(※3)がなく、彼らの学ぶ権利はおざなりになっているともいえます。

※1:令和元年末の中長期在留者数は262万636人,特別永住者数は31万2,501人で,これらを合わせた在留外国人数は293万3,137人。うち、18歳以下の中長期在留者数は27万6,032人。
 ---『在留外国人統計』出入国在留管理庁
※2:不就学の可能性があると考えられる外国人の子どもは1万9,471人。出国・転居(予定含む)をあわせると2万2,488人になる。出国・転居には、出国者も多く含まれるが、国内転居の後に不就学状態になっている者も含まれている可能性がある。
 ---『外国人の子供の就学状況等調査結果(確定値)』文部科学省
※3:すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う。 義務教育は、これを無償とする。
 ---憲法第26条第2項

そんな社会課題を取り上げた『にほんでいきる』は、日本で暮らす外国ルーツの子どもたちの生活状況や教育について、現状や課題感をわかりやすく描いています。

本書の「はじめに」にある通り、多くの子どもたちは、自ら日本で住むことや日本で学ぶことを決定する権利があったとはいえず、彼らが学ぶ機会がないことや、現状や将来が困窮することに、「自己責任」を問うことは到底難しいと言えるでしょう。

もちろん、胸が苦しくなるような事例ばかりではなく、例えば、熱心な日本語サポートの先生に出会えた子や、外国ルーツの子どもたちのための学校を見つけた子など、一筋の光を掴めた子どもの事例も登場します。

◎読書会開催にあたり

移民・難民の子育て世帯に私たちができること
LIPでは2021年1月、2度目の緊急事態宣言の発令を受け、コロナ禍で経済的影響を受けた移民・難民の子育て世帯に対し、現金給付を行う「移民・難民の子どもの命を守る基金」を立ち上げました。

移民・難民の方々の中には従来不安定な雇用にあり、コロナの長期化によりますます深刻な状況に追い込まれている方が少なくありません。加えて、彼らの中には、在留資格によりセーフティネットである生活保護が利用できない、または、諸般の事情によりアクセスが容易ではない方もいます。

私たちが、上述のプロジェクトにおいて、子育て世帯に焦点を当てた理由は、そのようなしわ寄せを受けるのは、社会でとりわけ弱い立場にある子どもたちだからでした。

そして、子どもたちの人生は、自分の意志や努力だけではどうにもならない要因に大きく左右されてしまいます。たとえば、「在留資格の関係で奨学金が借りられない」「来日年齢によっては入学準備金支給の対象外になる」など、”外国籍家庭の子どもたちだから”という理由での困難は少なくないと言われています。

給付のための現金を募るクラウドファンディングは、435万8,000円のご支援をいただき無事終了しましたが、私たちはここから、現金給付だけでは、補いきれない支援を続けていかなければなりません。

私たちにできることを考えていくなかで、まずは、外国ルーツの子どもたちの日本での現状をより知りたい・学びたいと考え、有志にて読書会を企画しました。
様々な子どもたちの事例から、LIPのメンバーは何を感じ、どう考えたのか。読書会では、感想や意見の交換を行いました。

◎Miroを使ってブレーンストーミング

まずは、ホワイトボードツールのMiroをつかって、それぞれの感想や意見を出し合い、否定せずブレーンストーミングを進めます。

Inked読書会2_LI

ネガティブな現状から、私たちが考えるべきことは何か、もっと調べるべきことはあるか、過去の経験からどんな風な提案ができるか、、、などの意見が飛び交いました。
実際に、ドイツ在住のメンバーからは、市が外国籍の親が語学を学ぶチャンス提供しているところに住んでいる、との意見なども出ました。

読書会の様子は次回に続きます。

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LIPは、引き続き日本で暮らす移民・難民に心を寄せ、「誰もが安心して子どもを育てられる社会」を作っていくために、自分たちが取り組める課題に取り組んでまいります。

過去の『難民2世について考える』は、こちらから。

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★LIPでは多文化社会の共創に向けて、東京大学・筑波大学との共同研究で移民・難民2世以降について取り組んでいます。


少なくとも片方の親が外国出身で、日本生まれ、または10代前半までに来日した若者(移民・難民第二世代)の大学卒業後の日本での就職には大きな障壁があります。様々な経験や能力を有するにも関わらず教育から労働市場への移行がスムーズに行われておらず、そのことを調査した実態研究も現時点では存在していません。そのため、この共同研究では、企業・当事者へのインタビューを通して移民・難民第二世代の若者の教育から労働市場への移行がなぜスムーズに行われていないのかについて明らかにすることを目指しています。

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執筆:宮本麻由(Living in Peace)

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