フリーランスのアルバイト事情
仕事を辞めてフリーランス駆け出しの頃、思うように収入が入ってこない時にまず考えるのが『少しアルバイトでもしたほうが良いのかな・・・』ということ。
仕事が思うように入って来ない、収入が増えない、空き時間が多くて不安になるなど、様々なタイミングを通じて、アルバイトを検討したフリーランスの方も少なくないはず。
実際、私も仕事が思うように入らない時期、特にコロナが始まったばかりの頃はアルバイトをしていました。
しかも、一つだけではありません。 これまで複数のアルバイトを経験してきました。
いま、この記事を読んでいる方の中には、まさにアルバイトを始めようか悩んでいる方もいるはずだと思います。
ここでは、フリーランスの活動をしながらアルバイトを複数経験したことで感じたことや学んだことをお伝えしたいと思います。
アルバイトのメリット・デメリット
アルバイトのメリット
私がアルバイトを通して感じたメリットは主に3つ。
シフトさえ入ってしまえば、収入が確保できる。
様々な年代の人と関わる機会が増える。
勤務先ごとに経営方法などを学べる。
まず1つめは『シフトさえ入ってしまえば、収入が確保できる』こと。
フリーランスでお仕事をしていると、スケジュール帳が真っ白だと不安になるもの。今月大丈夫かな?この後ちゃんとお仕事入るかな?と焦りを感じてしまうことも。
アルバイトの予定が入っていれば、出勤さえすればほぼ確実に時給が発生し、給与として受け取ることができます。
収入のマイナス部分を補填することができますし、確実にお金を稼げる予定が入っていると、いくらか収入面での不安を和らげることができます。
2つめとして、『様々な年代の人と関わる機会が増える』ことが挙げられます。
フリーランスとしてお仕事をしていると、どうしても同じ取引先との関わりや個人作業ばかりになってしまいがちです。
アルバイトを通じて、年代を問わず、様々な人と交流する機会を持つことができます。
同じアルバイトの学生だったり、Wワークの大人、パートさんや社員さんなど、仕事の合間に談笑したり、へえ~と思うような情報を教えてくれることも。
実際、私もアルバイトを通じて高校生~70代の方まで、幅広い年代の方と一緒に仕事をしました。学生の話を聞いたり、自分より年上の方に仕事について相談することもありました。
フリーランスのお仕事や、社会人になってからのこれまでの仕事では関わるようなことがなかった人たちと交流を持つことは、自分自身にとっても非常に興味深い経験でした。
3つめは、『勤務先ごとに経営方法などを学べる』ことです。
これまで民間企業で働いたことがないことに加え、現在もフリーランスとして稼働している私にとっては、社員教育やアルバイトへの指導方法、勤怠管理、売上管理など「へえ~そうやってやるんだ、勉強になるなあ」と思うことばかりでした。
勤務先によって方法が異なったり、時には「アナログすぎる!」「指導方法が昭和すぎる!」なんて思うようなことも。
アルバイトという立場から、客観的に組織や経営を見る機会を得られたことも、アルバイトをしてみて良かったな、と思うことのひとつです。
アルバイトのデメリット
私がアルバイトをしてみて感じたデメリットは、以下の3つです。
「仕事の予定が入るかもしれない・・・」とシフトを出しにくい。
勤務中に仕事の電話に出られない。
せっかく仕事の依頼が来ても、先にアルバイトの予定が入っていて仕事を受注できない。
まず1つめの『「仕事の予定が入るかもしれない・・・」とシフトを出しにくい。』ですが、どれだけシフト自由!と書いているところでも、勤怠管理のためになるべく早くシフトを組みたいもの。
例えば、2週間前までにシフトを出さなければならなくても、フリーランスの通訳・翻訳者であれば2週間先の予定なんてわかりません。
テレビやメディア関連の通訳・翻訳では、その日のニュースを明日までに翻訳するように急に案件が飛び込んでくるなんてことも。
同行や会議の通訳、私の場合は弁護士や裁判所などの司法通訳に従事することもありますが、多くの案件では1週間ほど前に依頼の連絡が入ります。
せっかく仕事が入っても「うわ~!この日バイト入れちゃった!」なんてことになってしまっては本末転倒です。かと言って、仕事が入るかもしれないからと予定を空けておいても、結局仕事が入らないで終わることも。
ここが、駆け出しのフリーランスにとっては一番悩みどころかもしれません。
2つめは、『勤務中に仕事の電話に出られない』ことです。
仕事中にスマホを触っても良いですよ、なんていうアルバイトは非常に少ないと思います。スマホを持って仕事してOKだとしても、仕事中ですから、電話がかかってきたそのタイミングで電話に出られるとは限りません。
私はアルバイトの勤務開始前には必ずスマホの電源を切るようにしていたのですが、それは『電話したけど出なかった』というだらしない印象を持たれるのを避けるためです。
電源を切っていれば『いま別件対応中で、電話に出られないんだな、忙しいんだな』という印象になるため、電話をかけ直して仕事に繋がることもありました。
しかし、フリーランス通訳・翻訳者は電話に出られなかったことで、仕事を逃してしまうことがほとんど。なぜなら、通訳エージェントや登録制で仕事を受注している場合には、他にもたくさんスタンバイしている通訳・翻訳者がいるため、『この人ダメなら、次この人』と他の人に仕事を回されてしまうのです。
そのため、電話をかけ直しても『あ~ごめんなさい、他の人に決まっちゃいました』と言われて終了、となるケースが一番多いのです。
フリーランスとして仕事をしている限り、いつでも電話に出られるような態勢を整えていないといけません。
3つめは、『せっかく仕事の依頼が来ても、先にアルバイトの予定が入っていて仕事を受注できない』ということ。
どれだけ自分の仕事に対して理解のあるアルバイト先でも、「今日急に仕事が入ったので行けなくなりました!」「この日やっぱり行けません!」なんてことになると代わりに出勤できる人を探さないといけないし、困ってしまいます。
自分がいてもいなくても変わらない、本当に暇なアルバイトであれば本業を優先しても問題ないと思いますが、だとすればそもそもアルバイトなんて募集しないですよね(笑)
かと言って取引先に「この日はアルバイトなのでお仕事できません~」なんて言えるはずもなく、それこそ本末転倒です。
フリーランスにおすすめのアルバイト
アルバイトをすることによるメリットもありますが、アルバイトをすることでフリーランスとしての可能性の幅、仕事の案件を減らしてしまうリスクもあります。
でもお金は必要ですよね。
私はフリーランスになってからこれまで、居酒屋、寿司屋、焼き肉屋、事務職など様々なアルバイトを経験してきました。
私が学んだ、本業とアルバイトのバランスがとりやすい働き方の結論がこちらです。
本業と関係のあるアルバイトをすること。
本業と関係のないアルバイトをするなら、ヘルプという立場を確立して、たまたま暇になった時だけ働くこと。
確かに、様々な職場環境や年代の人との関わりで学ぶことはたくさんあります。非常に貴重な経験であるとも思います。
しかし、自分の本業に関係のない仕事で自分の労働力を浪費するのではなく、少しでも自分の本業、将来にプラスになることに時間を費やすべきです。
そういった観点から私がアルバイトに選んだのは、大学の外国人入試をサポートする短期のお仕事や、コロナワクチン接種会場での外国人対応スタッフなどです。
語学を使うお仕事は単価が比較的高く、またアルバイト経験が自分の経歴に繋がるため、仮にその期間に他のお仕事が受けられなかったとしても決してマイナスにはなりません。
そして、もし本業と関係のないアルバイトに従事するのであれば、当日の欠員などでヘルプが必要な場合に連絡してくださいという、ヘルプ要員になるのです。
自分がたまたま仕事がなく、暇な時にアルバイトに行くのであれば、こちらとしてもありがたい話で、アルバイトをすることへの後ろめたさも感じにくいと思います。
ただ、ヘルプ要員となるにはアルバイト先との信頼関係や、それなりに仕事の能力が認められていなければなりません。ある程度の関係構築が必要です。
フリーランスかフリーターかわからなくならないように
仕事がないから、収入を確保したいからという理由でアルバイトをするのは、決して悪いことではないと思います。
しかし、何度も言うように、アルバイトが本業に支障をきたすなど本末転倒にならないよう、フリーランスかフリーターかわからないなんてことにならないように、少しでも未来の自分に投資できるような働き方を選択すべきであると、私は考えます。
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