カメさんと一緒
こちらの記事のRくんがドイツでの滞在を終えイタリアへ帰った。
来たときと同じく、長距離バスを乗り継いで戻るというので、お昼すぎに夫が乗り場まで見送りに行った。
半年と少しを一緒に過ごした学生さん仲間も2人来たそうだ。
一度帰省したときにいろいろ持って帰ってはいたらしいが、それでも大きな荷物がふたつ。
もちろんカメさんもRくんと一緒に帰る。
乗り場にだいぶ早く着いてしまい、手持ち無沙汰だったこともあったのか、そこでカメさんが披露されたとのことだ。
驚いたことに、2匹のカメさんはみんなの想像をはるかに超え、なんと卓球のラケットほどの大きさだったという。
しかも、それは1匹ずつ、いわゆるタッパーウェアのような容器に少しのサラダ菜と一緒に入れられていたそうだ。もちろん通気孔などは工夫されているのだろう。
ところで、どのような経緯でカメさんと生活することになったのか。
意外なことに、カメ好きが高じて飼ったのではなかった。
ご友人が飼っていたものを、急な帰省か何かの理由で一時的に預かった。これだけカメに詳しいRくんは適任だろう。
ところがそのご友人、直後に引っ越しすることが決まり、なんとそのまま置いていってしまったのだそうだ。これが12年前。
これだけでも大変なのに、さらに状況が変わる。
実はこのカメさんたち、アメリカからやってきた外来種だった。
その後、日本で言うところの「特定外来生物」に指定され、登録が必要となり、自然界に放つことはもとより販売や譲渡もできなくなってしまった。
60年以上生きる個体もいるということで、こうなるとまさに生涯の友になる。
さて、カメさん入りのタッパーウェアはバッグにしまわれていたが、来たときには車内に持ち込めたものが、帰りは乗客が多かったせいか、フロア下のトランクルームでの預かりとなってしまった。
とりあえず中継地までの3時間ほどの道のりだが、だいじょうぶなのか、とオロオロする見送り隊3人をよそに、Rくんは「まあ問題ないと思います。前にピサからヴェローナまで(約300km) バイクにのせて連れていったこともありますし」と、あまり心配する様子はなかったという。
かくして2回の乗り継ぎを経て翌朝6時にバスを降りたRくんから、メッセージが届いた。
巨大なバックパックを背負って笑顔で写るRくんは(誰が撮ったんだろう)、さながらカメさんのようで、思わず笑ってしまった。
そこからさらに電車に乗るという。…オツカレサマ
これからもカメさんのように、のんびり着実に歩んでいってほしい。
Rくんとカメさんの幸せを祈っている。
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