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食物繊維が腸内細菌を健康にする

なぜ食物繊維はなぜ身体に良いのだろうか? 研究者チームは、食物繊維が腸内細菌の行動に影響を与えることによって、健康に良い物質と有害な物質の生成のバランスを決定する上で重要な役割を果たしていることを発見した。

腸内細菌は、トリプトファンと呼ばれる必須アミノ酸をめぐって競争しており、この競争が、健康に良い結果をもたらすことも悪い結果をもたらすこともあるようだ。研究によると、食物繊維を多く摂取すると、腸内細菌がトリプトファンを健康的な物質に変えるのを助ける。しかし、食物繊維を十分に摂取しないと、トリプトファンは腸内細菌によって有害な化合物に変換される可能性があるという。

「腸内細菌の大腸菌はトリプトファンをインドールという有害な化合物に変えてしまう可能性があり、これは慢性腎臓病の進行に関係しています。しかし、別の腸内細菌であるClostridium sporogenesはトリプトファンを炎症性腸疾患、2型糖尿病、心血管疾患、神経疾患の予防に関連する健康的な物質に変えてしまえるのです」と研究者は述べている。

研究者らは、細菌培養とマウスでの複数の実験を通じて、Bacteroides thetaiotaomicronなどの食物繊維分解腸内細菌が大腸菌のインドール形成活性を調節することを実証した。

B. thetaiotaomicronは繊維を単糖に分解することに役立ち、大腸菌は成長のためにトリプトファンよりも単糖を好む。繊維の糖成分は大腸菌がトリプトファンをインドールに変えるのを防ぎ、それによってC. sporogenesがトリプトファンを利用して健康的な化合物を生成できるようにする。

「研究者は、腸内細菌とその存在量を厳密に善玉か悪玉かで見るのではなく、腸内細菌の働きを善玉か悪玉かにする方法を理解することに焦点を変える必要があります」と研究者はコメントしている。

出典は『Nature Microbiology


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