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乳児の腸内微生物に独自の概日リズム:食事はほとんど影響なし

赤ちゃんの腸内細菌叢には体外で培養された場合でも概日リズムがあり、生後2週間からこのリズムが現れ、年齢とともにより顕著になることがわかった、という研究報告。食事が腸内細菌叢の発達に与える影響は、これまで考えられていたほど大きくないことも分かったという。

「腸内細菌は非常に初期の段階から概日リズムを獲得することがわかりました。大人ではこのリズムが見られますが、いつから現れるのかは分かっていませんでした」と研究者は述べている。

また「食事は重要ではありますが、年齢の方がより大きな影響を与えていました。母乳と人工乳による腸内細菌叢の違いは僅かであり、腸は環境に合わせて適応できる柔軟性があるようです」と研究者は述べている。

研究者らは、210人の乳児を対象にランダム化対照試験を実施し、完全母乳児と、さまざまの種類の人工乳(添加物のない人工乳、母乳由来の細菌(ビフィズス菌)を添加した人工乳、母乳を模した糖(ガラクトオリゴ糖)を添加した人工乳、細菌と糖の両方を添加した人工乳)で哺育された乳児を比較した。

個人差はあったが、全ての赤ちゃんで腸内細菌の多様性が徐々に増加した。24か月時点では、群間に違いは見られなかった。糖添加のほうが細菌添加より、ビフィズス菌の持続的な増加に効果的だった。

しかし、母乳と人工乳では腸内の代謝産物プロファイルが大きく異なり、代謝への影響が示唆された。

また、腸内細菌種には24時間の増減サイクルが見られた。実験室内で個別に培養すると、宿主の手がかりがない環境でも概日リズムが維持された。つまり、細菌には腸内定着を助ける、昼夜への本能的な適応メカニズムがあるようだ、と研究者らは考察している。

細菌が概日リズムを制御するメカニズムを持つことは驚きであり、研究者らはこのメカニズムの解明を目指している、とコメントしている。

出典は『Cell Host & Microbe

http://dx.doi.org/10.1016/j.chom.2024.02.015


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