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PDOチーズとミルクは驚くべき微生物多様性を保持している

原産地呼称保護(PDO)は、消費者向け食品の真の地域アイデンティティを保証する EUの ラベル制度である。フランスでは、チーズ、バター、クリームなど 51 種類の乳製品に PDO シールが貼られており、これは職人技と、生産地域、生産プロセス、家畜の飼料などに関する仕様への準拠の証である。

チーズの風味、食感、外皮の形成はすべて、牛乳や発酵プロセスによってもたらされる細菌、酵母、カビの影響を受ける。これらの微生物は、チーズを摂取するヒトの腸内細菌叢を豊かにする。

今回、フランスのPDOチーズとその原料乳の微生物多様性が、研究チームによって初めて研究された。「MetaPDOcheeseプロジェクト」の一環として、研究者らは熱心なPDO関係者と協力し、フランス全土の386の農家とチーズ生産者からサンプルを収集し、同時にチーズ製造方法に関する詳細な情報も収集した。

研究者らは、すべてPDOである44種類の熟成チーズを分析した。これらのチーズは、世界中で消費されている7つのチーズファミリー(ブルーチーズ、圧縮調理チーズなど)の代表的なものだった。最終的に、研究者らは、2,000以上のチーズサンプルと約400の起源牛乳に含まれる微生物の配列を決定した。

解析の結果、非常に豊富な微生物群集が存在することが明らかになった。チーズには 820 種の細菌と 333 種のカビ/酵母、牛乳には 1,230 種の細菌と 1,367 種のカビ/酵母が含まれていた。チーズに含まれる微生物の大部分は牛乳由来である可能性が高く、細菌の約 42% とカビ/酵母の約 64% が重複していた。

研究者らは、チーズの生産方法に関する情報を統合した後、微生物種の系統が地理、地形、人為的要因などの変数の影響を受けていることを発見した。これらの調査結果から、地域の職人技がチーズの微生物叢の育成に役立っていることは明らかであったという。

本研究は、微生物の多様性とPDOチーズの生産に使用される方法との関係、そしてこれらのダイナミクスが気候変動によってどのように影響を受けるかについての貴重な洞察をもたらすものだ、と研究者らはまとめている。

出典は『ISME Communications


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