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食事の脂肪処理におけるミトコンドリアの役割

腸細胞内のミトコンドリアに障害が起きると、脂質のカイロミクロンへのパッケージングおよび輸送に障害が起きるようだ、という独ケルン大学などからの研究報告。

バランスのとれた脂質恒常性の維持は、我々の健康にとって非常に重要である。脂肪の多い食品の過剰な摂取は肥満やアテローム性動脈硬化などの代謝性疾患の一因となるが、脂肪は我々の食事に不可欠な要素である。消化された脂肪は体に必須の構成要素を供給し、重要なビタミンの吸収を促進する。『ネイチャー』誌に掲載された新しい研究で、ケルン大学などの研究チームは、腸による食事性脂肪の処理と輸送を調節する新しいメカニズムについて報告している。

研究者らは、腸の内側を覆い、消化された食物からの栄養素の吸収と輸送を専門とする細胞である腸細胞内のミトコンドリアの機能を研究した。彼らは、マウスの腸におけるミトコンドリア機能の破壊が、腸細胞における食事性脂肪の異常な蓄積と、末梢臓器への脂質の送達の障害を引き起こすことを発見した。

この研究の重要な発見は、ミトコンドリアが適切に機能しない場合、脂質のカイロミクロンへのパッケージングと輸送に障害が起こるということだった。カイロミクロンは食事性脂肪の重要なキャリア(担体)であり、その適切な形成と輸送は栄養素の吸収に不可欠である。

「この発見は、食事の脂質輸送と代謝におけるミトコンドリアの重要な役割を理解する上で大きな進歩を示しています。これらの発見は、ミトコンドリア病に苦しむ患者の胃腸症状をより深く理解するための新たな視点を提供し、新たな治療アプローチにつながる可能性もあります」と研究者らはコメントしている。

出典は『ネイチャー


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