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自分を犠牲にして他人を助ける精神の働きとは

「ミラータッチ共感覚」を持つ人々は、他者の痛みを自身の体で強く感じることが他者を助ける動機となっているようだ、という研究報告。

この実験では、参加者が他の参加者(実際には俳優)の痛みを和らげるために実際にお金を寄付する状況を設定した。参加者はfMRIスキャナー内でこの決定を行い、研究者らは脳の活動を観察した。

ミラータッチ共感覚者は、他者の痛みを目撃すると自身の体で痛みを感じると報告しており、実験の結果、彼らは他の参加者の痛みを和らげるためにより多くの寄付を行った。これは、他者の痛みを強く感じることが、助ける動機となることを示している。

脳のメカニズムに関しては、ミラータッチ共感覚者は二次体性感覚皮質がより活性化し、これは通常、自身の体の触覚や痛みに関与する領域である。研究者らは、一般的な人々は他者の痛みを目撃すると不快感を感じるだけであるが、ミラータッチ共感覚者は対応する体の部分に痛みを感じるかのように高い活性化を示し、より強い動機付けを受けて他者を助けることを発見した。

実験後、参加者は他の参加者が俳優であったことを知らされ、寄付した金額に応じた金銭を受け取った。研究者らは、共感レベルは変化しうるものであり、訓練によって高めたり、逆に抑えたりすることができると述べている。

「人の共感のレベルは変化する可能性があるとわかっています。人は共感を高めることも、抑えることも学べます。たとえば医師の場合、共感をブロックする必要があるため、年月とともに共感力が低下する傾向があります」と研究者はコメントしている。

この研究は、共感と利他行動の関係を理解するための重要な手がかりとなり、将来的には共感と利他行動を高めるための介入策の開発につながることが期待される。

出典は『Scientific Reports


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