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「ほんとうの定年後」を読んで


「ほんとうの定年後」を読んで


この本です。

ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日本社会を救うの電子書籍 - honto電子書籍ストア

「不安」それが、定年後を考えるときのキーワードだと気づきました。

何か調べ物をしたり、読書をしていると
不思議なのですがその時注目しているキーワードに関連する情報に目がいくようになります。

この本を読んでいる時もそうです。
統計データが多いので読むのに時間がかかりましたがやっと読了しました。

時間をかけて読んでいたので、その間にも様々な情報が入ってきました。シニアの方々にオンラインで直接インタビューさせて頂いたのもこの時期です。
ですから、ゆっくり読み進めるというのも案外いい効果があるようです。

思えば、2019年くらいから(約5年前から)定年後の準備を始めました。それも闇雲に。
たくさん時間とお金を投資してきました。

その原動力は、自分の夢を”実現したい”とうことに仮設定して、その為の手段として自分でお金を稼ぐ力をつけるということにしました。それを、人にも話したりSNSで日々発信してきました。

物事には区切りというものがあると感じています。
それは、対象によって長かったり短かったりしますが、大きな転機は5年くらい掛かる感覚があります。

この5年間はずいぶんと新しいことにチャレンジしてきましたが、その時々にちょっと振り返ると、これ本当に目標実現に向かっているのだろうかという疑問がふつふつと湧いてきました。

人の意見を聞いているようで実は参考程度に確認の意味で聞いているだけで、実は強固な自分自身の経験、習慣から感情的に物事を選択してきたようです。ですから、それを変えていくことはなみたいていなことではありません。

一応、こうあるべきという方向に向かってやろうとしているようだけれども、実はそれが本当の自身の芯から発しているのかどうか?
それは疑問です!

そんなモヤモヤした気分の中、この本に出会いました。
きっかけは、キャリアコンサルタント資格を取得して次のステップを考えた時に、とりあえず自分自身の現状の年齢に近い人達のサポートをしたいと思いついたことです。一応学校でシニアのキャリアの悩みの要素、ロープレなどは学びましたが、やはりそれは架空の概念的な情報でしかないと実感していました。

なので、本当のリアルなシニアの現状を知る必要があると決めました。それで、色々な資料にあたったりAIに質問してみたりして、この本に辿り着きました。

本好きなので、以前もそいういった本を探してはいましたが、まとまった本はアメリカのものであったり資料が古かったりして、日本のシニアの今を捉えた本にはなかなか巡り会えませんでした。

読了した第一印象は、自分の現状認識とデータから読み取れる現実とはズレがあるという事でした。

思考習慣として、”普通”、”平均的”、”一般的”という指標と自分が近いと安心し、遠いと不安になる傾向にあります。いわゆる横並びの思考です。これは読み進めるうちに何度もわき起こってきた感情でした。

孔子は四十にして惑わずと言ったそうですが、まだまだ惑いっぱなしです。それは、”普通”という概念と自分を比較して一喜一憂する姿です。一歩ひいて眺めると、いかにも滑稽です。

とはいえ、本のデータから自分の状況が平均からそんなに離れていないと確認できて、正直安心しました。もちろん、未来のことは不確定要素が大きくて、特に健康寿命がどこまでかということについてはよく分かりません。

第二点目は、自分が思うほどシニアの現実は悲惨ではないということです。もちろん、細かいケースを考えればきりがありません。概ね大丈夫といった感じです。本当に悲惨なのは自分より20歳下の世代からだという印象も持ちました。

第三点目は、シニアの生活は多種多様であるということです。ですから、これといったモデルケースの様な生活があるわけではなく、個々人の状況(経済、家庭、健康とか)により千差万別だということです。

国の政策はこの様な多様性にずべて対応できるわけではないので、やはり一定のシニア像をつくってそれに対応する施策をしていくわけです。国の政策の不備をあげつらえばきりがありません。それはそれとして、この自身の環境での変化、さらにもっと大きな経済、時代の変化に自分としてどう対応するのがベターなのか考える必要があります。

そして、その答えは一つではなく、自分自身に最適化された道を自分で探っていくしかないのです。

さて、本で気付かされた、根本原因である”不安”はどうして起こるかと言えば、やはり未経験、未知だからです。その未知に対して、何かの情報に頼って大きく判断してしまうと、失敗した時のダメージがとても大きく、特にシニア世代での大きな失敗は取り返しのつかない事態にもなりかねません。なにしろ、体力気力は下がる一方なのですから。

この5年間でたくさんのPDCAを回してきました。別に計画的ではありませんが。以前よりも経験値が増えました。
そして、とにかく行動を増やしてやったことの無いことに挑戦して続けてきました。
そうすると想像できる範囲が拡大して視野がだんだんと広がってきています。
そういった目で今一度いままでの事を振り返ってみる時期にさしかかっています。

キャリアの用語にトランジション(転換期)というのがあります。
特に40−50歳代は中年の危機という言葉もあるように、いろんな意味で問題が多くキャリアについて真剣に考える機会が訪れる事が多いようです。もちろん、トランジションの時期は人によりまちまちであり一概には言えませんが、例えば働き方の形態として一番多いサラリーマンにおいては定年が設定されています。多くの企業では60歳定年、そしてその後定年延長・再雇用などの制度があり65歳まで働く人が多いです。そうなると、60歳、65歳という節目に否応なく退職後の進路を決める時が訪れます。

定年後、退職後の生活には主に経済的な不安があります。そして更に年齢を重ねていくと健康問題が生じてきます。
そいった不安について多くの人が意識してはいても、それと真剣に向き合って退職後のプランについて具体的に検討している人はどのくらいることでしょうか?

しんちゃんの場合は、それが58歳くらいの時期だったわけです。今から思うとあと5年早く検討し始めればよかったと反省しています。

この記事を書いている途中に同じ著者の本も読了しました。

統計で考える働き方の未来 ──高齢者が働き続ける国への電子書籍 - honto電子書籍ストア

時期的にはこの本の方が先に出版されていて、「ほんとうの定年後」は更に定年後の世代に焦点を当てているのに対して、もっと全体的に統計データから働き方の変化を分析しています。

社会、経済系の学問は面白いですが自然科学のようにスッキリとした因果関係がありません。いわゆる複雑系という非常に多くの要素が複雑に偶然性をともなって起こる現象をあつかっているからです。

政治、経済は個人の生活に大きな影響を与えます。いろんなことをいろいんな人達が、いろいろと言いますが未来のことはあてになりません。

現実に生活する人は、環境がどうあれ生きていかねばならないのです。本では高齢者が働くのは、働きたいというよりも、働かなければ生活ができないから必要にせまられて、働かざるおえないという事が書かれています。

そうであるならば、自分にとって幸せを感じられる老後を過ごすにはどうすればいいのか、今までの価値観や習慣に縛られずに、一度リセットして考え直すことが必要です。

その為の貴重な体験がこれまでの5年間の試行錯誤でした。

新しいことを知る→試す→考える→修正するを繰り返してきました。そうすると、得意・不得意、面白い・面白くない、好き・嫌いがハッキリしてきました。

最初の課題はファイナンシャルリテラシーが低すぎる事でした。今は最低限の原則は分かりました。
次の課題は思いついてから実行するまでのリードタイムが長いことでした。今では出来ることは即出来る、調べるようになってきました。
そして変化の原動力は他者、そして環境でした。いくら素晴らしい情報や知識があっても行動しなければ何も変わりません。それを後押ししてくれたのが、自分とは異なる考え、環境にいる人達との交流だったのです。

そういった交流をしていくと、今までの自分の考えが揺らぎます。疑問が湧いてきます。不安になります。

5年間の金銭的なリターンは微々たるものです。それに比べて投入したリソース(時間、金、労力)は多大なものがありました。
しかし、それで得た新たな経験、人脈は広がりました。

知らないことを→知った。
やったことのないことを→やってみた。

そして、その経験をしたからこそ
新たな発想が生まれてきた!

そして、今回この二冊の本を読んで、曖昧だった退職後のイメージがくっきりしてきました。

人生100年時代と言われますが、健康寿命は現在75歳程度です。そう考えるとある程度体が自由に動く時間はもう15年もないことになります。

ちょうどNHKの番組で、車椅子テニスプレーヤーの国枝慎吾さんの番組を観ました。

国枝慎吾(前編)最強のメンタルの作り方 - NHKアカデミア - NHK https://www.nhk.jp/p/ts/XW1RWRY45R/episode/te/7212JL9JV2/

彼は小学生の時に脊髄のがんで両足の自由を失いました。
そして、だからこそ今この時に死んだとしても悔いの残らない生き方をしようと生きてこられたようです。

生身の体は時々刻々と変化していきます。しかし、今のこの瞬間は、今ここにしかありません。その連続が人生になります。

ただ走るだけではなく、時には立ち止まって、休んで、じっくりと考えを巡らすことも大切です。

まだまだ思索はつづきます。

では、では。



定年前後の悩めるサラリーマンの悩みに
いっしょになって、じたばたする
変なオジサンの しんちゃん です。

毎日、stand.fmというラジオで発信しています。
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