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ハワイのシロクマ、カナダへ② エピローグ

今振り返ると、この「西の魔女が死んだ」に出会ったことは、学校が苦しかった私の子供時代に、最も美しい"句読点"がついた瞬間でした。

しかし、句読点のあとも人生は続きます。

30代前半の今、パートナーと娘たちに恵まれた私はとても幸せですが、高校生以降の私に、かっこいいサクセスストーリーがあるかというと、そんなことはありません。
まだまだ、あらゆる可能性の種は撒かれたまま、人生とっちらかったままです。花が咲き、実になるのはきっとこれから。そう簡単に辻褄の合わない、等身大でリアルな「その後」の話になります。

まず、私を大きく救ってくれた本をくれたS先生は、留学から帰ってきたら別の学校に赴任されており、残念ながらその後直接お礼を言うことは叶いませんでした。

それでも、「人生は自由であり、自分の居心地の良い場所を探そう」という学びは、その後幾度も、私を助けてくれました。

留学後の進学先は、学びの自由度が高く、海外色の濃い大学を選びました。ありがたいことに大学生活は楽しく、私にとって「居心地の良い場所」でした。そこで夫にも出会いました。

その後を手短に振り返ると、まず新卒で入社した会社は自分に全く合わず、1年で退職。続いて教師を目指して2年間、バイトをしながら通信過程で教員免許をとります。幸いなことに採用され、その後数年、教師として夢中になって働きました。

この間に結婚。仕事にも少しずつ自信がついてきた頃に長女を授かり、専業主婦になりました。
続けて次女も出産し、子どもの成長と母としての成長の、勝てない追いかけっこをしている間に5年という月日が流れていました。

…とまぁ、その都度必死に過ごしてきましたが、このように華々しい功績もないし、仕事で確固たる自信や実力を得たわけでもありません。

キャリアというには心許なすぎる、経験の羅列。子どもがやる「点つなぎ」のプリントのように、ゆっくり点と点を結び、どうにか線へ。その線が、これからどんな全体像を描くのかは、まだわからないままでいます。

でも不思議と、これまでの人生に後悔はありません。

後悔がない最大の要因は、高校で留学を決めて以来、「自分の人生は自分で決めて進める」ということが、ごく当たり前にできるようになっていたからです。

「西の魔女が死んだ」で、魔女の修行を始める際に、おばあちゃんはまいにこう言います。

『…魔女になるためにも、1番大切なのは、意志の力。自分で決める力、自分で決めたことをやり遂げる力です。』

『西の魔女が死んだ』p.70

新卒入社した会社を辞める時も、教師を目指していた不安的な時期も、私が何かを決断するときの基準は、「西の魔女が死んだ」からの学び、『人生は自由。自分の居心地の良い場所を求める』ことでした。

選んだ先で挫折をしても、選択を繰り返していくうちに、自分は自分らしい道を行くしかないという諦めがついてきました。
そしてこの諦めは、私にとっては限りなく、自分への"許し"に似ています。

それに華々しい功績に現れなくとも、これまで培った経験は、いろんな形で活きています。

例えば、長女は来年小学生になりますが、この先もし長女が学校生活につまづいたとしても、私は少なくとも、真っ向から長女のことを否定することはないでしょう。

私自身が世間のスタンダードに馴染みにくいからこそ、娘たちに過度な期待を投影せずにいられます。彼女たちのありのままを認め、おもしろがれることは、そのまま育児の楽しさにも繋がっています。

留学で度胸がついたおかげで、世界中をたくさん旅することができました。ヨーロッパに一ヶ月間、一人バックパッカーとして旅をしたこともあります。
自分の目で世界を見て、感じて、現地でいろんな人たちと印象深い交流ができたことで、視野が大きく広がりました。

よいところもイマイチなところも含めて、私が私であったからこそ、できた経験・出会えた人・培った力があり、それらは自分にきちんと備わっていると、今の私は落ち着いて認められるようになりました。誰かと比較して焦ることも、自分に足りないものを嘆くことも、ほとんどありません。

それに、急いでキャリアを積まなければ!という焦りよりも、今あふれでる「やりたいこと」をどう実現させていくか、そんなことで日々頭は忙しいのです。
もちろん二人の娘たちは、今日も目の前で元気いっぱい走り回っています。彼女たちの成長を間近で見ることも、間違いなく、今ある人生の喜びです。

また最近は、想像もつかなかったところから、新しい可能性が広がっていくのを感じています。

SNSを通して、表現することです。

自分が好きなもの・描きたい世界を、自分の手で生み出すことは、今までの人生の指針であった『自分に合う場所を見つける』とは違います。
どちらかというと、『自分の居場所を、自分で作る』という感覚です。

遠くに輝く星のように、自分が作りたい居場所をイメージしながら。
毎日できることを、一歩一歩を積み重ねていきたいと思っています。

ハワイのシロクマは、自分の手で北極を作り出すことを、学びつつあります。

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