誰も教えてくれなかったおしゃれのルール(アーカイブ)それでもいいものを見たほうがいい理由
2023年10月現在、日本の購買力は今から50年前の1970年代と同じだと言われています。
外国のブランドのものは「舶来品」と呼ばれたあのころ、
海外旅行は簡単に行けるものではなく、
行ったとしても、好きなだけお金を使うことができなかったあのころに、
今の日本は逆戻りです。
現在、多くのアパレル製品は輸入物です。
生地とその原材料、その他の付属品も含めるのなら、100%日本製のものは、ほぼないと考えていいでしょう。
日本では、コットンもウールもシルクもほとんど生産されていません。
ましてや化学繊維の原料になる原油は日本では、製品を作るほどの採掘はできません。
購買力が50年前と同じになるということとは、
すなわち、多くの輸入物の価格が上がることを意味します。
海外のブランドから日本のブランドまで、すべての製品の価格は上がっていくでしょう。
そうなると、多くの人のファッションに対する関心は低下します。
得られるかもしれない可能性が断たれたものについては、
考えないほうが精神の安定を保てるからです。
特に、クオリティの高い高価なものほど、遠ざける人が出てくるでしょう。
そうするにつれて、多くの人のクローゼットは、
カットソー、そしてポリエステル、ナイロン、アクリルといった化学繊維であふれかえります。
誰かがそれを「ウールライク」などと呼ぼうとも、それは原油から生産された、自然繊維よりも安価な化学繊維には違いありません。
安価であるという理由で、彼らはそれを「ウールライク」として採用しているのです。
安価にするための工夫は素材選びだけではありません。
縫う箇所を1本でも少なくし、工賃を安くするためのデザインも数多く実行されます。
その例として挙げられるのがウエストゴム、そしてポケットの省略です。
これらは、製造工程を少なくするのにうってつけのデザインです。
しかしそれでもなお、いいものを見たり、触り続けたほうがいいのです。
なぜなら、目、あるいは手の記憶によって、あなたの選択はなされるからです。
いいものをいくら見ても、もう忘れてしまったと思うでしょう。
しかし、一度インストールされたその情報はごみ箱の中に入っているだけで、消去されたわけではないのです。
それは、気づかないうちに、まるで見張りのように、
私たちの日々の選択に影響を与えます。
見れば見るほど、その記憶は蓄積されていき、決して忘れ去ることはありません。
多くの人ができないのは、その情報を引き出すことなのです。
それはまるで見えないところで動き続ける見張りアプリのように、
あなたの選択を監視します。
そして、どうでもいいもの、クオリティが低いもの、将来的に着なくなるであろうものから、あなたを遠ざけます。
気づいていなくても、それは正確に作動します。
限られた予算の中で、失敗の少ない買い物をするためには、
このアプリを入れておいたほうがいいのです。
予算が少なければ少ないほど、失敗は避けたい。
であるのならなおのこと、いいものを見続けて、
常にアプリを新しい状態に更新する必要があります。
私たちのほとんどの選択は、何かの影響によってなされます。
誰かの考えや言葉、誰かの姿、どこかで見た何かが、深く印象付けられて、
あれやこれやの選択をします。
選択を間違わないためにも、何がインストールされているのかが重要です。
もう以前のように、海外旅行もままならない。
ラグジュアリーブランドのバッグを買うこともないかもしれません。
しかしどこかしらでクオリティの高いものを見続けるようにしましょう。
それは古着屋やセカンドハンドのお店かもしれません。
あるいはアウトレットや展覧会かもしれません。
または、知人が実際に着ているものや履いているものの可能性もあります。
クオリティの高いものの情報をインプットしておけば、自動的にいいものを選ぶようになります。
限られた予算の中からでも、なんらかの方法はあります。
カットソーと化学繊維まみれのクローゼットの沼で溺れないように、
今出来得ることを考えて、行動してみてください。
そうすれば将来、あなたは自分のクローゼットを見て、心底満足できるでしょう。
そして、いいものを見続けることをあきらめなかった自分に対して、
感謝の念をいただくでしょう。
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