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サブカル母さんと、オタクの父さん。 丨 @meer_kato #今日もLINEからつながる

母からLINEが送られてくる。

「光のお父さんっていう映画観た?面白かったよ!」
「Eテレの漫勉ネオが最高だよ!」
「海帝って漫画読んだ?」

こんな感じの内容だ。
僕は映画、アニメ、漫画、小説etcなんでも好きなんだけど、それらの趣味趣向は母からの影響が大きい。一番古い記憶だとまだ小さい僕に母はAKIRAを見せていた。多分小学校2年生くらいだったと思う。冒頭の金田バイクスライドブレーキですっかり心を奪われた。居間のテレビに自然とAKIRAが映し出されている我が家はもしかしたらサブカル育成機関だったのかもしれない。またウチの課題図書はガラスの仮面だった。「漫画を読むと漢字を覚える」と母は言っていて、字が読めるようになると兄弟達はまずガラスの仮面を読んだ。そして寝室でシーツに身を包み、誰が一番紅天女を上手く演じられるか競ったものだ。母が読み聞かせをするときは童話などは読まなかった。選んだのはさくらももこのエッセイ『もものかんづめ』だった。メルヘン翁で死ぬほど笑ったのを今でもよく覚えている。そして母はミュージカルも好きだった。サウンド・オブ・ミュージックの人形劇のシーンを何度も繰り返し見せて「ここのシーンがいいのよ!」と言いながらレイオル♪レイオル♪レッイッオー!!と母は歌っていた。しかもそれが結構上手い。
このように小さい頃からカルチャーを叩き込まれていたのだが、母が去年からLINEを始めるようになってから頻繁に連絡が来るようになった。
それが【母のエンタメ情報】である。
母によるカルチャーエデュケーショナルが再び始まったのだ。

「岡田斗司夫のYou Tubeが面白いよ!」
「パク・ソジュンが最高に良いよ!」

母のオススメはどれも面白い。もちろん僕がすでに知っているものもあるのだが「面白かったなぁ〜」と感じていたものも多かった。ちなみに岡田斗司夫の動画はほとんど観ているのだけど、66歳の母がYouTubeで岡田斗司夫に辿り着くのがすごいなと思った。梨泰院クラスもめちゃくちゃハマって観ていたが、母はすでにパク・ソジュンの作品をすべてチェック済であった。さすがである。パク・ソジュンに限らず話題の韓流ドラマはすべてチェックしているのである。敵わない。
母から送られてくるエンタメ情報を確認しながら、自分の趣向とかなり被っていることに毎回驚いている。

僕は中学卒業と同時に家を出たので、親元を離れて20年が経つ。
もう実家で過ごした時間よりも、その後の人生の方が長い。
大人になってから自分で本屋に通って本を読み、映画館にも行っていて詳しくなっていたつもりなのだが、幼少期に与えられた母の影響を強く感じる。育児本などでも幼少期の教育、親の接し方がその後の人生に多大なる影響を与えると書いてある。三つ子の魂百までと言うが、小2のAKIRAが37歳まで効いているのだ。ちなみに先月オークションサイトでAKIRAのTシャツを3枚購入した。かっこいいと思うものが心の深いところに刷り込まれているのだ。幼少期教育恐るべし。

先日は夜空の写真と共にこんなメッセージが届いた。

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火星接近の情報である。天体情報をまでチェックしているとはさすが母である。
火星は『巨大な鉄のパチンコ玉』らしい…
僕は宇宙も好きなので貴重な情報である。特に火星は良い。住めそうで住めない星、火星。肉眼でも見えるデッカイ星。マーズ・アタック、トータル・リコール、オデッセイ、火星の映画も面白い。
特に母から天体に関するレクチャーを受けたわけではないのだが、自然と宇宙が好きになっているから不思議なものだ。もしかしたらAKIRA、サウンド・オブ・ミュージック、ガラスの仮面、さくらももこ、などを幼少期に摂取していくと自然と宇宙(火星)に想いを馳せてしまうのかもしれない。(もちろん火星映画の影響もあるが)

そして我が家の情報提供主は母だけではない。
父からもLINEが来る。

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韓流アイドルの情報である。
今年のNiziUのオーディションが盛り上がっていた時期は、父は配信日にはPCの前で正座待機していたようだ。配信を観終えると速報のような形で父なりの考察を交えつつ感想を送ってくれていた。感想自体が少しマニアックなのところに韓流アイドルに対する造詣の深さが垣間見えるが、その影響を受けて僕もガッツリNiziUにハマってしまった。そして最終回では父と共に涙を流したのであった。距離は離れていても親子の心が一緒になった瞬間であった。
この文面を読めばわかると思うが、父は韓流アイドル事情にかなり精通している。韓流に限らず国内のアイドルも詳しく、実家に帰ると最近のイチオシのアイドルについて話してくれる。アイドルの話になるとマジで止まらなくなる。ほぼアイドルの話を聞くために実家に帰っているような気さえしている。

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母からもLINEが送られてくる。父はNiziUの布教活動に忙しいようだ。

先日、母が「お父さんが夜中まで韓流アイドルのYouTubeを観ていて、完全に寝不足になっているので、いい加減にして!と注意をしたら、別にいいじゃないか!と逆ギレをしてきて夫婦喧嘩になった」と嘆いていた。
時同じくして僕もNetflixでひぐらしなく頃に〜に再びハマってしまい、睡眠を忘れて連日連夜、観ていたら「いい加減にしろ!」と嫁に怒られた。もちろん「別にいいじゃないか!」と主張して夫婦喧嘩に発展したのは言うまでもない。

母と父から交互に送られてくるLINEを見ながら僕はつくづく二人の子供なのだなと実感をする。
母からカルチャーを学び、父からはオタク魂を受け継いだのだ。

そういえば昨日母からLINEが来ていた。

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最近僕のことを『義侠心兄ちゃん』と呼ぶ母なのだが、BLUE GIANTを送るのをすっかり忘れていた。僕も面白い漫画があると実家に送るようにしているのだが、母もそれを楽しみにしているようだ。

さてと、漫画を郵送するかな。

TEXT:5歳 ( @meer_kato )
1983年生まれの37歳。7つ年下の嫁と、7歳と5歳の息子の4人家族。日々の家族日記をTwitterにつづる(@meer_kato )。好きなものは、嫁、息子、ビール、本。嫁に「これから子供にお金が掛かるぞ〜」と毎日耳元で囁かれている。5歳さんと嫁と息子たちとの、ドタバタで愛情たっぷりの生活を漫画にした『ぼくの嫁の乱暴な愛情』(KADOKAWA)が発売中。

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