見出し画像

コロナ禍で逆風が吹き荒れる中過去最高売上を達成したLincを振り返る


先日とあるVCの方と初めてMTGをさせて頂いた際に「インバウンドや外国人材関連テーマのスタートアップの業績が著しくコロナの影響を受けている中、Lincが業績を伸ばし続けていることは完全に想定外であり凄い」という嬉しい褒め言葉?を頂きました。

実際、Lincはここ数カ月間最大で前年同期比400%増でトップラインを継続的に伸ばし続けており、今月(2021年4月)も「過去最高」を更新する勢いです。

まず前提として今Lincが直面する事業環境は決して良くはないです。「日本に来て良かった」を最大化させる、をミッションに掲げ、外国人材(インバウンドタレント)を留学からキャリアまで一気通貫でサポートし、日本で学ぶ、働く、生活する機会と喜びを提供しようとするLincにとって新型コロナウィルスによる感染拡大はインバウンドタレントの来日を大きく制限し、会社の戦略と事業計画の見直しが求められました。

そのような逆風が吹き荒れる環境下においても結果を出し続けてこれた理由やLincの成長エンジンは何だったのかをこのタイミングで振り返りたいと思います。

強い組織こそ最大の競争力

コロナウィルスの影響を慎重に観察しつつ、アフターコロナに向け組織構造戦略の策定、そして組織力の向上に全社一丸となり取り組みました。その結果良い意味で組織力の強弱が事業にどれほど大きいインパクトを与えるかを再確認する事ができました。

「組織力」と聞いた際、ほとんどの方は会社案内に書かれているようなツリーグラフになっている組織図が脳内に浮かび上がるのではないでしょうか?(部門がいくつあり、部長やマネージャーが何人いて、、、みたいな)正直それは他人に見せるためのものであり、会社の事業展開のためではありません。

正しい組織力の構築は必ずビジネスプロセスの全体像に紐づいています。 ビジネスプロセスの各コアユニット・ファンクションに明確な担当者を配置できているか、 各ポジションが機能するツボが正しく押さえられているか、それらのインセンティブや評価基準が適切に設計できているか、インプットとアウトプットの関係にあったりと、互いに連携・影響し合う相互作用関係にあるポジション間の仕事量の予測と人的リソースの配分が適切か、等を3か月、半年、一年後、三年後と、今後の事業計画に合わせて配置戦略を策定しかつ定期的に見直す必要があります。ここまでやってやっと「自社サービスの日々のオペレーション」が回る程度であり、それ以上にはなりません。

次に顧客や競合のビジネスプロセス構成図を描く必要がなります。所謂「競争」とはプロダクトやサービスが圧倒的な優位性を持てるためのコアリソースに対する奪い合いであると考えています。顧客やユーザーに付加価値を与えるために必要なリソースは何か?他社はどのように動いており、どれほど確保できているのか?それらに対して自分たちはどのような組織配置戦略をとり、事業を展開すればこれらのコアリソースを徹底的に確保できるのか?を常に模索しないといけません。

Lincの場合、Linc Study事業を展開する上でのコアリソースの例としてLinc Studyシステムと各種SNSプラットフォームにおけるユーザー運営能力ががあります。これらのコアリソースを使い、Linc Studyシステムの無償提供や14万人以上のユーザーを運営するLincだからこそできるSNSプロモーション等を通じて、日本語学校といった戦略的提携パートナーの獲得に成功しました。これらのコアリソースが生み出した付加価値により、提携パートナーとの信頼関係が深まり、結果トップラインの増加に多大に貢献してくれました。

裏を返すと競争は残酷です。甘く見積もった低い組織配置で勝てる程現実は甘くないし、組織力の弱さはコアリソースの獲得において致命的な弱点になります。

個人的には今後も長期主義を貫き、コアリソースを確保できる組織力を構築するために必要な投資や戦略策定には肝を据えて果敢に、時には大胆に取り組んでいきたいです。成長していかねば。。

本物の資産(アセット)を蓄積する

コロナ禍で先行きが不透明な中、Lincが一番頑張ったことが資産の積み上げです。システム、サービス力、参入障壁、顧客との契約、組織構成、知名度、人脈等々企業には様々な有形・無形の資産がありますが、我々は「本物の資産」を積み上げることに徹底的に集中しました。究極的に本物の資産とは中長期に渡りマネタイズにレバレッジがかかる資産のことです。それ以外は嘘のモメンタムである可能性が高いです。

例えばセミナーで100件リードを獲得したり、顧客とは何度も食事にいける関係性になったり、等はチームにとっては非常に喜ばしいのですが、実際のマネタイズに繋がらない、もしくは短期的にはマネタイズできたものの、中長期的に見た際レバレッジが掛からない場合、それは本物の資産ではなく、偽のモメンタムである可能性が高いケースが多いです。

Lincの場合、事業を展開する上で長期的にマネタイズにレバレッジが効く資産はコミュニティと蓄積したデータにあります。コミュニティとは単にユーザーのコミュニティだけはなく、ユーザーをとりまくステークホルダー(親や日本語学校)のコミュニティも我々にとっても大事な資産になります。これらを着実に積み上げてきた結果、ユーザーによるユーザーのリファラル、親による親のリファラル、学校によるユーザーのリファラル等軒並み過去最高ペースで増加し、結果沢山のユーザーに来日前から使ってもらえトップラインの増加に繋がりました。

また我々はユーザーコミュニティを更に強化すべく、アフターコロナを見据え先月よりイベントやワークショップが実施できるオフラインのコミュニティスペースを設置しました。

将棋ではなく囲碁で考える。

コロナ禍に関わらず、Lincの持続的な発展に欠かせないのが戦略力です。Linc経営陣の中で孫子の兵法が最近アツイのですが、そんな孫の兵法の中で自分に大きな示唆を与えてくれた概念が「全勝」です。戦わずして勝つのが「全勝」であり、それはすなわち円満な勝利であり、完全な勝利です。

『孫子曰く、凡そ用兵の法は、国を全うするを上と為し、国を破るは之に次ぐ。』「孫子は言う。基本的に、戦争においては、敵国を保全した状態で傷つけずに攻略するのが上策であり、敵国を撃ち破って勝つのは次善の策である。したがって、百回戦って、百回勝利を収めたとしても、それは最善の策とは言えない。実際に戦わずに、敵を屈服させるのが最善の策である。」

「全勝」と相反するのが相手を打ち破って勝つ「破」による勝利です。「破」による勝利は基本的には大きな犠牲と代償が伴います。19世紀のイギリスは戦争にめっぽう強かったが無理な「破」の戦いを続けた結果、損失もとても大きかったです。例えば南アフリカの植民地化を争ったボーア戦争では勝利したもののイギリス軍も多大な犠牲が伴いただではすまなかった。また、勝つために2.2億ポンドもの大金を使ってしまい、国庫もすっからかんになってしまった。スタートアップにおいても、近年の中国シェアサイクル企業間による熾烈な競争も典型的な「破」の戦いでした。互いに数百億調達して相手を打ち破ろうと無理な価格競争や陣取り合戦を繰り返した結果は惨さんたるものでした。

これらから学んだのは将棋ではなく囲碁で考える、ということです。将棋やチェスはゲームが進行するにつれて盤上に残った手駒は互いにかなり少なくなり、これは典型的な「破」の戦いです。一方で囲碁は違います。囲碁をやる際、相手の石を囲って取ることに専念するのは素人です 笑。囲碁で大事になるのは大局観を持ち続けて戦略的に自分の陣地と影響力を拡大することです。相手と正面衝突して強行突破することが目的ではありません。将棋やチェスとは真逆で盤上は最初は空っぽでありゲームが終わった際、ほぼ碁石に埋め尽くされます、正に「全」の戦いです。

これはスタートアップにおいても同じです。低次元の正面衝突系「競争」に没頭してても勝ち目がないですし、全てを自分達でやろうとしてもできっこないです。本当に顧客やユーザー求めている価値は何なのか、自分達のコアバリューは何なのかを常に意識し、そのためにはどのように他のプレーヤーやパートナー企業と協業してマーケット全体の拡大や認知度・影響力の向上につなげていくべきなのか、SDGsの大切さが強調される中、一方的なディスラプターではなく、より「全勝」が求められる時代になったとヒシヒシと感じております。

少子高齢化が進行する中、Lincは来るべく「大労働力不足時代」を見据え圧倒的に増えるであろうインバウンドタレントの日本における留学、就職、生活を支えるライフイベント支援プラットフォームになることを目指していますが、全てを自分達のみでできるとは全く思っていません。私たちは日々政府や沢山のパートナー企業とも積極的意見を交わし、また事業提携を進めて参りました。

多様性と包容力溢れる社会の実現を目指し、今後もLincはパートナー企業と共にインバウンドタレントに必要なサービスが全て揃う健全なエコシステムを構築し、長期に渡り日本で活躍するための土壌を形成して参りたいと思います。

最後に

個人的に一番嬉しいのはコロナ禍で事業を伸ばした「結果」では無く、Lincのビジョンに共感し、厳しいマクロ環境や逆境においても地に足ついて業務プロセスを一つ一つチPDCAしてきた仲間達の努力です。仲間達の努力が複合的に組み合わさった結果が今日のLincです。そんな頼もしい仲間達のことを本当に誇りに思います。

画像1

強い組織はLincにとって最大の競争力です。Lincは更なる発展を遂げるべく、今も全力で採用をしております。少しでもご興味のある方がいらしたら是非ご連絡頂ければと思います!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?