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ダウンジャケットには絶対水洗いがいいと思う

このところ、ダウンウエアが大流行しています。
昔のダウンウエアは羽毛が飛び出したり、羽毛の詰め込み過ぎでパンパンのキン肉マンみたいだったりして、しかもお値段もかなり高かったと思います。

あのころに比べて、今の製品は軽くて暖かい。カラフルで動きやすい。
しかもお値段もお手頃。
もう、どこを探しても買わない理由が見当たりません。
一ミリも見当たらないのです。
さらに、ダウンウエアは薄く軽く進化し続け、とうとうスーツの中に着ることも出来るようになりました。(ユニクロのお手柄です)
私もダウンウエアを何着か持っています。
薄いの、厚いの、赤いの、黒いの、袖の無いの。
とても重宝してます。

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ダウンウエアの中身は、もちろん羽毛。
風切り羽根のフェザーではなく、羽毛の方のダウンです。
中綿の表示で、フェザーでなくダウンの比率の高いものが、上等とされています。
中綿がポリエステルとかのはいけません。
暖かさが違うし、洗うと中綿が片寄ったりします。
これはクリーニング店にとって由々しき問題で、どうしても片寄りが防げないので、中綿の閉じてないジャンバーはお断りするお店もあります。

ダウンウエアの洗い方はドライクリーニング(石油由来の溶液)または水洗い。
どちらの洗いが適切なのでしょうか。

水鳥の羽毛は、水をはじくために、油分を含んでいます。
ドライクリーニングをすると、この油分を分解してしまうため、羽毛にとって良くないとされています。
さらに、ダウンウエアの生地は、ナイロンなどの空気の通しにくい素材で出来ているために、ドライクリーニング溶液の乾燥むらができやすいです。
乾燥むらの起こったダウンウエアは、表面にまだら模様ができていたり、縫い取り部分にむらができていたりします。

だから、高級クリーニング店の多くはダウンウエアを水洗いします。


しかし、ダウンウエアの水洗いはすごく手間暇がかかります。
水洗いによるクリーニングは乾燥むらを起こしません。
羽毛にも優しく、さっぱりと洗い上げます。
作業のしやすさをとるか洗い上がりの良さをとるか。
この、プラスマイナスの要因を考えてクリーニング店は、洗濯方法を選ぶことになります。

リンピオユキトでは、奥大山の麓、その源流水を使って水洗いをします。
奥大山の源流水は、宇多田ヒカルさんがサントリーの天然水でCMした水です。
水割りにも最適な、軟水。
これを贅沢に使って、洗濯します。
軟水は洗剤にもよくなじみ、ダウンウエアをさっぱりと洗い上げてくれます。
化粧品などのエリ汚れも、取り去ることができます。

あとは時間をかけて乾燥。

ところが、ダウンウエアは厚さがどれも違うので、乾燥に要する時間も違います。
だから、ダウンが中で玉にならすにきちんと乾いているか、一点一点確かめながらの乾燥になります。

キモはゆっくりタンブラー乾燥させて、羽毛にふっくら空気を抱かせること。

結果として、リンピオでのダウンウエアクリーニングは、どうしても1週間ほどかかってしまいます。

こうして自分で書き出してみると、結構な手間をかけています。
これで採算が合うのかな?
うちの宅配クリーニングシステムは10点パックの料金だから、ダウン製品ばっかり送ってこられるわけじゃない、と思って受け付けています。
が、一方ではやはり安くし過ぎているのかもって疑心暗鬼、暗中模索、五里霧中、謹賀新年、いろいろ考える自分がいます。

さらに、当店ならではのお得情報。


ダウンウエアの泣き所は、ピンホール(小さな穴)が空くと中のダウンが飛び出してしまうところです。
リンピオユキトでは、クリーニングの前に点検をし、前処理としてピンホールにはシーリングをしてから洗います。
だから安心です。

すべては

クリーニングでお客様を笑顔に

当店のポリシーです。

なお、ダウンウエアというと、心配事が一つあります。
モンクレールのダウンジャケットは、裏にコミックラベルがあります。
このラベルが、本物とコピー商品を見分けるポイントになっていたりして、メーカーさんもこだわりたいところだとは思います。
しかし、このラベルはぎりぎりを縫製して止めてあるために、着用による摩擦で縫い取り部分がほつれてしまうのが知られています。
メーカーさんの改善をお願いしたいところです。
モンクレールの正規取扱店では、有料でラベルの付け替えをしてくれるそうです。
当店でも、モンクレールの商品は、このラベルに細心の注意を払って、漬け押し洗いをします。
それでも、縫い取り部分の弱っている場合は、剥がれる恐れが全くないわけではありませんので、ご承知おきください。
全集中の呼吸で注意して作業しますが、絶対に大丈夫と言えない所がつらいところです。

あと少しで冬も終わります。
りんとした寒椿から、ほっこり柔らかな梅がほころぶ季節にかわります。

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毎年、春になると、わざわざ往復2時間をかけて、遠くからダウンジャケットをクリーニングに出してくださるお客様がいらっしゃいます。

「ここでお願いすると、ふっくらと仕上がるから」とおっしゃいます。
笑顔の素敵なお兄さんです。(ひいき目に見てるかも)
こうして春風のようにおいでになるお客様を、春の便りのように感じて私はうれしくなります。



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