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感覚インストール型キャリアデベロップメント

https://stand.fm/episodes/5f63860718e909d06f3d8e1b


なぜハワイで医師をしているんですか?

個人的にもっともよく聞かれる質問です。

じつは、年が経つにつれて理由が少しずつ変わってきている、
というのを実感しています。


もちろん、大きな意味では理由は変わっていません。


でも、自分のものの見方というか、見える景色というか、
そういったものがすこしずつ変わっていくにつれて、
自分の中での意味づけがかわっているのを実感します。


たとえば、

なぜ医師になったのか?

というのは、日本にいるときにもっともよく聞かれた質問の一つでした。


大学生の頃や、医師になりたての頃は、

『家族に医師がいるから。』
『勉強が好きだったから。』
『子どもの頃病弱で助けてもらったので、今度は誰かを助けたい。』

といったことが、その時の理由でした。


でも、もし今、同じ質問をされたとしたら、

人生を望むように生きるためのきっかけになりたい。』

というのが、もっともしっくりきます。


これは、今後『自分の人生というストーリー』が進むにつれて、
意味合いが移ろっていくのだと思います。


同じように、なぜ『ハワイ』で『医師』なのか?
なぜ『ライフスタイル』を専門にしたいのか?


これは、たぶんこれまでの

人生の山や谷
いろいろな分岐点で考えたこと
逃げてしまったこと
恐れずに立ち向かってきたこと
人種差別されたこと
いじめられたこと
頑張って成し遂げたこと
何があっても大切にしたいと思うこと
何のために生まれたのか
何のために生きているのか
誰と出会うために生きているのか

こういった、自分を形作ることに深く関わっているのだな、と思います。

こんなことは、アメリカで医師をしようと思わなければ、
考えなかったことかもしれません。


アメリカで医師を目指すようになったエピソードをスタエフでゆるく語っています:

https://stand.fm/episodes/5f63860718e909d06f3d8e1b


アメリカで医師をやってみるとどんなんだろう?


はじめてその好奇心が芽生えたとき、
そこには自分の価値観を塗り替えてくれた
すごい先輩や同僚の輝く姿がありました。

『同じものなのに、全く違うように見えている』
という、ものの見方の決定的な差があったのです。


医師は科学的データをもとに、
そこに技術・経験や患者さんの個々の状況、
そしてその時に利用可能なリソースを加味して、
診療計画を立てます。

診療の根幹の一つが科学的データであり、
医学界で『エビデンス』とよばれる情報なのですが、
これを『どうやって使うのか?
が、医師の経験とセンスの現れるところです。

同じ研究論文を読んでいるのに、
思考過程や結論が異なるのはこういった理由です。


私が医師になった当時、エビデンスといえば
アメリカやヨーロッパのものばかりでしたから、
どうしても

日本人にはあてはまらないのでは?

という疑問が常にありました。
(これを専門的には外的妥当性といいます)


でも、『日本人にあてはまらない』と切り捨てて考えてしまうと、
先に進まないことがたくさんあります。


欧米人のデータですから、
人種差、体格差、遺伝的な違い、社会的な背景の違いなどなど、
理由をあげればきりがないものです。


そして、それらはすべて大事です。


でも、その違いを織り込んだ前提で、
ならば今ある可能な限りのデータ(Best Available Evidence)
では何が言えるのか?

という視点で見る時に、それまで日本で診療してきた自分と、
アメリカと日本の両方で診療してきた医師には、
スタンスの違いがありました。


いろいろな違いがあることが当然』という前提


日本で診療するのはほぼ日本人です。
人種差をほぼ無視していい前提で診療します。


なので、経験を積めば積むほど詰んでいく危険性があるのです。

経験により考え方が凝り固まって、『このパターンはこういうもの』
という枠組みができやすくなってしまいます。

このような人種的な均一性のある状況だと、逆に
『微細な差に気がつきやすい』
という利点ももちろんあります。

たとえば、工場でベルトコンベア式の作業をしている風景を
思い浮かべてみてください。

流れてくる製品をたくさんみていると、
一瞬で不良品が判別できて、除去できるあれです。


ひるがえって、社会全体で多様性があることが基本の欧米では、
共通点を見つける努力から始めないといけません。

共通点が見つかる場合も、見つからない場合ももちろんあるでしょう。

見つからない場合にどうするのか?というのが、
欧米ではよくある問題なのですが、
たとえば、枠組みを組み換えて見方を変える方法です。


この、

日本 ー 均一性 ー 細かな違いを検出

欧米 ー 多様性 ー 大局的・俯瞰的にみる

というのが、医師として最初の大きなパラダイムシフトになったのでした。


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アメリカで医師をしようと強く固く心に決めた

そのとき、最も影響を受けたのは、
アメリカ有数のがんセンターを生き抜いてきたメンターの、
人生の哲学でした。

ミッション、ビジョン、コアバリューなどのリーダーシップに必要な
体系的な知識はもちろんのこと、座学だけでなく、
それを『実際にどうやって体現するのか』を、
いろいろな角度から見せてくださったのです。


まさに、漫画『キングダム』で王騎が信に将軍の見る景色を見せたように、
視界がぱーっとたてよこいっぱいに広がっていく感覚だったのです。

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このシーンを読んだ時に、メンターの『感覚をうつす』かのような伝え方の
素晴らしさを改めて実感しました。


こうして改めて振り返って見てみると、
人生の分岐点で、いつも人との出会いがあり、
憧れがあり、新しい世界に飛び込む際には
それまでの感覚が書き換えられていく体験をいただき、
それが原動力となって先に進んできました。

そして、

医師として患者さんの人生に関わるのは、どんな意味があるのだろう?

と考えるのに至ったのです。


それが、今ハワイで医師を続けることの意味づけになっているのですが、

どのようにつながっていくのか、それにはハワイで医師として働くまでの
経緯や、その後の苦労と挫折の連続のストーリーがあるのですが、、、
別記事にしますので、ぜひ楽しみにしていてください!


今回の記事に関連した、アメリカで医師を目指すようになったエピソードをスタエフでゆるく語っています:

https://stand.fm/episodes/5f63860718e909d06f3d8e1b


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