見出し画像

goat girlが呼び醒ましたあの頃の感情

goat girl をご存知だろうか。恥ずかしながら筆者は割と最近知ったのだが、ロンドンの女性3人組ロックバンドである。

音楽好きな方ならピンとくるかもしれないが、彼女たちは多数の有名アーティストを輩出しているイギリスの「サウスロンドン」という街から誕生したアーティストだ。

ガールズバンドといえば、はじけた感じのポップなサウンドをイメージされるかもしれないが、どの曲もあまりポップなものはなく、結構ダークな印象。

楽曲のテーマとしても、政治や世界の抱える問題などを題材とした、アンチテーゼのような、静かで、かつ攻撃的な楽曲。

私もこのブログを書くにあたって、一通り彼女たちのことを調べたのだが、如何せん彼女たちが楽曲で扱っているテーマがテーマなだけに、割と難しい言葉で議論されており、ただの音楽討論ではなくなっているレベル。

曲の雰囲気としては、「ソニックユース」が好きな方にはなかなか刺さるんではないかという印象。(個人的な感想)

「上級者向けですよ」とか生意気なことを言うつもりはないが、受け幅の広いあまり万人受けする感じではないかもしれない。

彼女たちのインタビューを読んでみると、どうやら「ロックバンド」という枠組みというか、括りに退屈しているらしく、メンバー各々が曲作りにおいて特に制限を設けることなく、様々な楽器を使い、時にはあえて使わず、ロックの「型」というのを破ろうとしている姿勢が垣間見える。


今年7月に発売されるアルバム「ビロウ・ザ・ウェイスト」今作はいまApple Musicのサブスクで配信されているので、一通り聴いた。

率直な感想としては、「まだ現代にこんなバンドいたんだ」と思った。

昔学生の頃、洋楽に興味を持ち始めたとき、それこそソニックユースやポーティスヘッドなど、初めて聴いた時の、いい意味での「ナンじゃこれ」感。

これを感じたのである。

この感覚を感じさせられたのはかなり久々の体験だった。

このアルバムは、コロナでのロックダウン中にデモ音源の作成が行われたらしく、
渦中に彼女たちが聴いていた音楽から影響を受けているものが多いそう。

だからなのか、全体的にダークな印象の楽曲が多いものの、アレンジや音の使い方も幅広く、一辺倒という感じではない。

筆者がこのアルバムで特に好きだった曲が「words fell out」

単純にミュージックが好きというのはまず一つ、そして、この楽曲が作られたヒストリーが興味深く、ボーカルのクロティが、ドラムのロジーの依存症を目撃したそうで、その時の無力感や複雑な感情を曲にしたのだそう。

その話を知った上で改めて曲を聴くと、本当にそのネガティブな感情が繊細に表現されている。これが「アーティスト」ということなんだなと、しみじみ思い知らされた。

gone girl は唯一無二のバンドであると思う。ただ、彼女たちは彼女たちにできる音楽を淡々とこなしていくだけ、というスタンスなのだろう。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?