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只見線に揺られ旅〜魚沼平野から八重の里まで〜(本編)

 noteを始める前から青春18きっぷを愛用している人なのですが、今年度はかなり大変でした。連日の酷暑や巨大地震の注意報、台風接近など…相当予定を狂わされたことを覚えています。
 その中でも、今までずっと心残りだった「只見線に乗る」ということを達成できたので、その前後も含めて旅行記としてまとめてみようと思います。

まず只見線とは?

 只見線は福島県の会津若松駅から新潟県の小出駅までを結ぶ135.2kmの路線で、会津盆地、魚沼平野の田園、只見川沿いの圧倒的な風景、今でも難所の県境(六十里越)等多くの見所があります。
 平成23年豪雨による橋梁流出などの被害から復活した「奇跡の路線」でも有名です。
私が只見線沿線に行ったのは、会津川口駅〜只見駅間が復旧する前の2018年、自動車で近隣のスポットを回るというような旅行をしましたが、今回は完全に「乗り通し」を目的にいくことにしました。

只見線の旅

 旅行日は台風が接近していた8月30日、関東を出た時には大雨が降ったり止んだりでしたが、上越国境を越え、新潟県側に入ると晴天が広がっていました(川端康成の「雪国」とは全く逆なわけですが、小説の世界に通じる現象をこうも見せられるとテンションが上がりますよね。)。
 小出駅の年季の入った跨線橋は理系学生おなじみの「キムワイプ」の広告がありました。キムワイプ、私も愛用しているのですが、このような広告はあまり見たことがなく、「なぜここに??」と驚きでした。新潟地区の115系の塗装が「キムワイプ」、「JKワイパー」と親しまれたからかもしれません。この115系も新潟の運用を終えて久しいですが、こういうふうに残っていたのですね。

キムワイプ!

新潟県の小出駅を発車したのが13時12分。ディーゼルカー2両の列車は混んでいるわけでも、空いているわけでもない。ほとんどドアの開かない2両目では乗車人員は着席定員の半分くらい。1ボックス1グループが独占しているようなゆとりのある感じでした。

4時間12分の間お世話になった列車

 越後平野の田園風景を眺めながらふと「関東の田園風景と色が違う」と思いました。比較はできませんが、越後平野の田園の方が青々としているというか…気候による差か、感じ方による差か…不思議不思議。
 そんなことに思考を取られていると、あっという間に山の奥へ。大白川と只見の間は六十里越と呼ばれる交通の難所新緑の峠道を走るという感覚でとても面白い。Apple Watchの高度計も上がったり下がったり、それを見ているのも面白い。古き良きローカル線に無相応な長大トンネルがあるのも面白い。そんなことを思っていると20km強の駅間もすぐに着いてしまいます。

 只見駅は10分停車。勿論下車し、駅の周りを見渡しました。以前来た時から何も変わっていない。ただ、以前来た時とは違うのは、「この先も線路が続いているということ」。本当に鉄路がつながっているということは偉大なことだなと感じます。

戻ってきた!只見駅。

 只見駅からは只見川沿いをゆっくり進む。第八から第一まである橋を通過する際には運転士が徐行と案内をしてくれました。第八只見川橋梁の渡らずの橋、途中の赤屋根の家が並んだ集落、第六只見川橋梁の左車窓から見れるダムの放水。それぞれが日常であることに驚きを感じつつ、汽車の旅を楽しんでいました。

復活した区間を進む(窓越しで撮影)
第六只見川橋梁からみた本名ダム。
第六只見川橋梁も流出し、架け替えられている。


会津川口駅で初めて対向の汽車と交換。


只見川沿いの会津川口駅。風光明媚というほかない。

 只見線のラストスパート、会津盆地に差し掛かる時刻は16時を少し回った頃。ちょうど通学どきの時刻になりました。会津坂下駅の近くには高校が複数あるのか、制服の違う高校生たちが一気に乗り込んできます。髪の毛が明るかったり、化粧をしていたり、結構チャラいなと思いつつ、高校生の喋り声をバックサウンドにしながら、田園風景を眺めていると、「やはり雰囲気が違う」となりました。なんででしょうね。
そんなことを思っていると、会津若松駅まであっという間だったのでした。

終着まであと30分

最後に旅程を解説

使用した切符は「青春18きっぷ」。理解しておられる方も多いと思いますが、普通列車や快速列車のみを使用することができます。(特急列車、新幹線に乗る際は別途乗車券と特急券が必要。)と言いつつ、只見線はほとんど列車がないので、旅程は結構決め打ちになってしまう感じでした。

休日の時刻例で行くとこんな感じ。(平日は若干異なりますが、だいたい同じ感じでした。)
大宮9:04 →高崎線(快速アーバン)→ 10:15 高崎 10:24 → 上越線 → 11:31水上
水上 11:39 → 上越線 → 12:56 小出 13:12 → 只見線 → 17:24 会津若松 19:23 → 磐越西線 → 20:36 郡山 20:42 → 東北本線 → 21:20 新白河 21:23 → 東北本線 → 21:46 黒磯 21:51 → 宇都宮線 → 22:41 宇都宮 22:42 → 宇都宮線 → 23:57

 大宮駅発着でのモデルケースとなりますが、これ以外に只見線を乗り通せるルートはありません。(小出方面に行こうとなると越後中里〜水上の終電の後となってしまうので不可能。)かといって、会津若松方面も新白河から大宮駅まで終電の乗り継ぎが必要になりますので、リスクは相当高い、ハイレベル旅程になることは間違いありません。

 特定特急券などの併用も検討しました(結論言うと、郡山〜新白河の利用がベスト。)が、少しお金をかけて第三の会津ルートで帰ることにした私。そちらに着いては余興として別に書きたいと思います。

ではまた。

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