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ドラマのファッションスタイリストの重要ポイント

ファッションスタイリストと一口に言ってもタイプは様々です。全てにおいて共通することはコーディネートとスタイリングをすること。ただそれは静止画なのか動画なのか、もっと言えば、雑誌、映像(ドラマ、CM、バラエティなど)により求められることも異なります。その中でドラマにおけるスタイリストの仕事を一部ご紹介。
以前の記事で『ファッションスタイリストになるために学んでおいたほうが良いこと』という記事を書きましたが、今回はもう少し掘り下げてドラマにおけるファッションスタイリストに必要なことを少し残しておこうと思います。
おかげさまで多くの作品に関わらせていただいておりますので。

本が読めること

今の時代、ネットのおかげで写真も動画も本当に手軽に手に入る時代になりました。文字だけを読む、という比率は以前に比べて大きく減少したと思います。それでもドラマのスタイリストにおいて、本が読めることは大切な作業になります。
本が読めること、これはおそらくドラマという作品に関わる中で他のジャンルのスタイリストと一番異なる点であり最も重要なことかと思います。ドラマには台本があります。この台本を読んでドラマ全体のイメージ、そしてそれぞれの役のイメージをつかむことが大事です(自分が担当する役以外も)。文字を読んで実際の映像を想像してビジュアル化、つまり文字を『かたち』にすることです。
私の場合ですが、台本を読んだ時に、その役の『動き』を想像して行きます。走る人なのか、ゆっくり歩く人なのか、まっすぐ座る人なのか、横座り(足を揃えて少し横にして座る)なのか、などどんな動きをするのかな、どんな振る舞いをする人なのかな、というようにイメージしていきます。そうすることにより、どんな服を着ているかが徐々に形成されて行くので(だって服を着ないでいることは基本的にないので)。
こうして自分の中で組み立てた(ビジュアル化した)イメージで資料を作成して現場のスタッフの皆さんとすり合わせていきます。

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コーディネートは360°で考える

動画(ドラマ)になると前から撮ったり後ろから、そして横から撮ったりするのでどこから見ても自然であること。
常に360°、そして上から下まで全体を考えたコーディネートを考えることが必要です。

コーディネート・スタイリングの幅

雑誌の場合、特定の雑誌を専属でやるコーディネートのテイスト自体は大きく変わりません。
雑誌にはその雑誌の持つテイストがある。雑誌Aというコンサバでマダム系のものであれば、コンサバ系のコーディネートという軸はずれません(逆にずれるとプロのスタイリストとして問題です)。
ドラマはストーリーや内容、役によってコーディネート自体大きく変わるので、コーディネート・スタイリングの幅を持っていると適応しやすいです。

時代考証(必要とあれば)

ドラマでは過去の時代に戻ることがあります(回想シーンなどで15年前など)。こうしたときにその当時に流行っていたスタイルやジャンルを知っておく。これも役や職業、年齢によって着る物などが変わってきます。全部知る必要はありませんが、その時代のスタイルの大きな部分を知っておくとイメージがしやすいかと思います。

衣装香盤の作成

これは簡単に言うと人を軸にしてシーン別に着用する洋服のリストを作る
例えばAさんという役者がいる。そしてシーンは1シーン、2シーン、3シーンという言い方をするのですが。
1シーンはパジャマ、2シーンは仕事着、3シーンはパーティードレス
といった具合にシーン別の着用リストをまとめていく。

繋がりを把握

実際の撮影はシーン順に撮るわけではありません。
3シーンを撮影して5シーン、4シーンと言った具合に順番はバラバラなので
パジャマを着て撮影して、パーティードレスを着て撮影してまたパジャマ、ということもあります。
なのでドラマのストーリーと順序をしっかりと把握して同じ着方、同じコーディネートを把握しておくことが大切です。

つまり…

ドラマに限らずどのジャンルのスタイリストにも当てはまる部分もいくつかありますが、洋服の感覚や知識以外にも必要とされるポイントが思った以上にあります。

そして創り手としての楽しさもつまっています。

バイビー

いただいたサポートはスタイリストのために使っていきたいと思います!