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手放すなんて絶対に考えられない猫Loverの「猫を棄てる」読後感想

 「猫を棄てる」 
なんて衝撃的なタイトル!

村上春樹の小説、エッセイに登場する猫達は
陽だまりの中にいて
もふもふした幸せの小さな存在として
大切な生活のパートナーとして
描かれていることが多いのに、
その猫を「棄てる」とは、、、と思いながら
副題の「父親について語るとき」をあまり意識せず
この本を手にしました。

平成国語教科書に村上春樹の文章が掲載されていた!

昔子供が小学生だった頃
何年生だったか忘れましたが、
国語の教科書に
彼の超短編「ふわふわ」が収録されていて、
平成の小学生は授業で村上春樹を読むのね、
と感慨を覚えたことがありました。

柔らかい陽の光や
日にあたった猫の毛のいい香りなど
五感を呼び起こされ、
陽だまりの中にいる猫が日々の生活にいる
ささやかな幸せってこういうことと
思える文章です。

この作品を教材に、
小学生は何を学ぶのか、興味津々でした。
(結局授業内容を尋ねる事はしませんでした)

読後感想


「猫を棄てる 父親について語るとき」に戻ります

彼の父の戦争体験を話の軸に

・生まれ育つ時代の空気に否でも応でも
影響を受けて生きてしまうこと

・世代間の継承の連続が歴史になっていく、
そして世代間の思いの共有、同意は難しく
理解しあえないことが多いこと、

・自分という存在は偶然の産物であること、

自明ではある、
感覚的にはわかっている、
それでも言語化してできず
モヤモヤしていたことが
彼の文章を読み、
スッキリ整理され、
すとんとあらためて心に落ちつきました。

そして私が生まれ育った昭和の描写、
懐かしいでも、とても遠い時代のことのよう。
アラ還になっているわけだから当たり前ですね。


タイトルにある「棄てられる」猫と
ラストに出てくる松の木に登ったきりの子猫。

存在を消した(消された)はずなのに、
ひょこっと現れる猫
そして不意に存在を消して二度と姿を見せない猫

2匹の猫がとても象徴的に登場します。
やはりどんな場面でも猫がいるからこそ
彼の日常、物語の世界が作られているとわかります。

あとがきの一文

そしてかつて僕のそばにいた何匹かの猫達が、
その物語の流れを裏側からそっと支えてくれた。


猫好きとして大きく頷き、
101ページの短編を
一気に読み終わりました。


🐱写真は我が家の完全家猫、リリーです。
リリーを棄てる、手離すなんて想像できない。
とても大切な存在。

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