中国在住1年半 5〜6歳子どもの言語習得の記録「民族意識の芽生え」
〜2022年2月に書いた記録です〜
2022年1月時点 中国在住1年半、現地幼稚園で中班(年中)4ヶ月、大班(年長)6ヶ月、学齢班(入学準備班)4ヶ月になります。
前提として子どもの母語の確立は4歳ごろだそうで、娘は3歳半までラトビア、台湾、日本に滞在しましたが、家庭での会話、周囲の会話も圧倒的に日本語が多い日本語環境で育ち、4歳の10カ月間を日本の祖父母宅で過ごしたことで母語は完全に日本語になりました。
今回は前回のように細かく記録を取っていないので、ざっくりしたまとめになります。
小学校入学準備:学齢班で学習する中国語
2021年9月から始まった学齢班では小学校入学準備としてピンイン、基礎的な漢字、数字と計算の勉強が始まりました。
宿題もグッと増え、年長では週に1、2回だった宿題が毎日になりました。宿題の内容は、園で習ったピンイン、漢字、数字計算の復習と古詩の朗読、歌の練習などです。
娘は漢字を書くのは好きなようで、積極的に練習し今ではこれくらいの漢字を書いて読めるようになりました。
ピンインに関しては、母音と子音一通り幼稚園で習いましたがまだあまり読めません。これは冬休みの勉強用に購入したディズニーの練習帳。(まだほぼ手付かず(涙))
ピンインの教科書なら読めるものもありますが、絵本などで漢字の上についているピンインを読もうとはしません。まだまだ練習と慣れが必要なようです。
数字は100までは余裕、それ以上も気分がいい時は私に言って聞かせたりしてくれます。計算は100までの足し算、引き算を中国語でも大体できるようになりました。
歌と古詩の暗唱、朗読は幼稚園でやったものはとても上手にできますし、なかなか忘れません。
「识字卡」識字カード、漢字が書かれたカードを読む宿題や古詩の暗唱の宿題は、録画してクラスのグループチャットに送信しないといけません。
母語話者ではない娘にとって難しい幼稚園の課題は
ほぼ幼稚園の課題にはついていけている娘ですが、どうしても無理なものがあります。
それは、物語の暗唱!!
『白雪姫』や『3匹の子豚』のような絵本の文章をみんなの前で暗唱するという課題が1学期に1回ありました。
こういったお話は、娘はもちろん日本語ならちゃんと理解できるし、ひらがなで書かれたものを自分で読むこともできますが、中国語では読み聞かせしていませんでしたので馴染みがないし、このような文を自分で話すこともまだできないので、暗唱することもできません。
なので、これは先生に言ってパスさせてもらっています。このような課題はコンテスト形式になっていて各自家で練習してきてクラス内予選、そして学年決勝となります。
子どもを目立たせたい親や、一部自信家の子どもがやる気満々でやってますが、中国人児童の中にも得意じゃない子もいますし、やる気のない親もいますので、パスすることに関しては気になりません。
しかし物語の暗唱、朗読はこれから小学校に上がったら必須の課題でもありますし、中国語力をつけるのに避けては通れないものですので、中国語でお話の読み聞かせもやっています。
中国の民族主義教育の影響で日本人としてのアイデンティティが生まれたことが中国語習得の障害になっている
中国の民族主義・愛国主義教育は別記事でも書きましたが、本当に凄まじいです。幼稚園から容赦ない洗脳、もとい教育(笑)が始まります。
年長クラスになってから民族の違い、世界の国々の学習が始まり、先生がおそらく娘をその例として取り上げたようでみんなは中国人、自分は日本人。というアイデンティティを植え付けられてしまいました。
しかも娘はおそらく中国人の中に”国”という漢字が入っているからか「日本国人(にほんこくじん)」と言う。いつの時代やねん(笑)
私はまだそんな違いを意識しないで、溶け込んでみんなと仲良くして中国語も自然に覚えてくれればいいと考えていたのですが、中国の民族主義教育に加えて住んでいる場所が外国人がほぼいない閉鎖された内陸の地方の町であるため、外国人であることを意識せざるを得ない状況にされています。
その意識が、娘の中国語習得の障害になっているような気がします。娘は私と一緒にいる時、街で店員や遊び場にいる子どもたちに話しかけられても大抵は頑なに中国語を話そうとしません。私がいる時は、完全に私に頼りきり。
店員が何か娘に直接聞いても、無言。たまに首を振る程度。機嫌が良ければ小さい声で答えます。遊び場でも大声で日本語で私に話してきます。
見た目では完全に中国人に見える私たちなので、その時に周囲の人たちが私をえっとみるのがすごく嫌で、娘に「お外にいる時は中国語で話したほうがいいよ。日本語だったら周りの人分からないし、話さないとみんなリンリンが中国語分からないんだって思っちゃうよ。話せるでしょ。遊び場のお友達には中国語で一緒に遊びなさい。」と言ったら余計に日本語で大きな声で話してくる(汗)
だけど、私が外で日本語話さないで!という態度もよくないなあ、と思うので、今は悶々としている感じです…。
ただ、遊び場で出会った子どもとは、相手を選んで中国語でコミュニケーションを取っています。娘の言語力では、同じ歳や上の子と対等に話すのは難しく、いつも言語コミュニケーションに頼らない少し下の子と遊んでいます。
3、4歳の子も当然母語はペラペラ話しますが、子ども同士で遊ぶ時に言語に頼らないので、ただ一緒に走ったり、滑り台を滑ったりでなんかとても楽しそうです。
話しているのは「我在这儿呢!」(私はここだよ!)「再来一次!」(もう一回やろう!)などの簡単なことです。
娘は日本にいる時から1つ下の子と仲良くなることが多く、今でも連絡を取っている仲良しのお友達はみんな1つ下なので、言語の問題というよりは姉御肌な性格のせいかもしれませんが。大きい子に何か話しかけられると困った顔で私の方を見てきます。
まだ「あの時どうしたこうした」とか「AがBでだからCにした」のような長い文章は中国語で言えません。
4歳が第一言語になるか第二言語になるかの1つの境目
3歳で4ヶ月中国の幼稚園に通った時、娘は今より遥に抵抗なくスムーズに中国語を吸収していました。それは日本語からの置き換えではなく、ネイティブと同じように現象や物をその言語で覚える、というスタイルでした。
なので、その時はりんごを見て日本にいる時は「りんご」と言っていたのが、中国に来てから「苹果」というようになり、「りんご」と言わなくなった。そんな感じです。
まだ母語が確立していない3歳以下の段階では毎日大量に触れる言語を最優先言語として吸収するので、幼稚園で毎日10時間中国語環境、日本語はママとだけ。という環境になった娘は3ヶ月目には中国語優位になりつつありました。
当時は店員さんや通りすがりの人にも自分から中国語で話しかけて可愛がってもらったりしてました。
ところが、4歳の10ヶ月を日本で過ごしたら今度は完全に日本語になり、中国語はほぼ忘れてしまったようです。日本に帰国して2週間くらいは外でも中国語の歌を歌ったり、数字を数えたりしていたので、中国から来た子どもみたいでしたが、いつの間にか、あっという間にフル日本語に戻ってました。
そしてそこからまた中国に戻った時、5歳になった娘にはすでに中国語への抵抗が見られました。
私の言葉は日本語。中国語は外国語。
そんな意識が芽生えていたのです!
幼稚園で頻繁に使う簡単なことは言えますし、聞き取っています。それは生きるのに必要だからですね。
知らない言葉を私に聞く時、「階段の中国語は楼梯 louti だよね?」のように日本語から中国語、また園や外で聞いた中国語を「扶梯はエスカレーター?」のように確認してきたりします。
大人と同じように翻訳式で覚えているのが分かります。いちいち○○は日本語で何?などと聞いてくるようになって正直面倒くさい!
節目の4歳の時にたまたま日本に長期滞在したために母語の確立はスムーズにできたものの、中国語習得は遅れたなあ、と。
海外育児、悩みは尽きません・・・・
しかし、小学校に上がるとグーンと現地語が上達すると他の国でバイリンガル育児をされている方のブログやYoutubeなどで言われているので、インターなどではない普通の中国の小学校に進学予定の娘、最初は大変だと思いますが頑張って欲しいと願っています。
小学校入学まであと半年!
(2022年2月に書いていた記録です)