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VCインターンのリアル【UB Ventures】

こんにちは!鈴木梨里です。
独立系ベンチャーキャピタルUB Venturesで8月よりインターンとして働いて経験したことや学んだことを残したいと思います。
VCでスタートアップとともに働くことに興味があり、業務内容やどのような経験ができるのか知りたい、という方の参考になれば幸いです。

UB Venturesについて

「事業家による起業家のための100年VC」
UB Venturesは世界の新産業を創造する「起業家と事業」の成長プロセスを、「リアルな事業経験」を基にリードし続けるベンチャーキャピタリストチームです。アジアから世界を狙える、スタートアップの海外進出支援にも力を入れており、2018年のファンド立ち上げ以来、日本、アジア、米国のスタートアップ23社への投資を完了しております。投資領域としてはSaaSを中心に、メタバース、IoT領域に注力しています。
また、UB Venturesでは投資事業に加え、次世代の産業を進化させる起業家を支援すべく、ファウンダーコミュニティ「Thinka」を運営しています。全9回のプログラムを通じて、PMFやチームビルディング、ファイナンスなど事業立ち上げに必要なテーマを取り上げ、豊富な経験を有する先輩起業家との学びの場や、投資家候補とのリレーション構築の機会、キャピタリストやCFO、弁護士やデザイナーなど各分野の専門家とのメンタリングの機会を提供します。

自分自身もユーザーであったNewsPicksなどのサービスを提供しているユーザベースのグループ会社の一つにベンチャーキャピタルがあることを知ったことをきっかけに、UB Venturesに興味を持ちました。

なぜ始めたか

・なぜVC

VCでのインターンに出会ったのは、「経営者になる」という自分の志の実現に繋がる活動をしたいと考えていたときでした。学生団体を立ち上げ法人化を目指したものの、様々な理由で断念した私は、スタートアップに関わりたい、起業のリアルに触れてみたいという想いを持って次に挑戦の機会を探していました。そして日々起業家とディスカッションし、起業家のビジョンに投資し、起業家の事業を支援するベンチャーキャピタルという仕事に携われる長期インターンの募集を見つけ、迷わず応募しました。

・なぜUB Ventures

起業家と「共に進む」という一貫した支援スタイルに惹かれたからです。
自分はVC=資本主義の権化、論理的で合理的、頭脳明晰で冷徹な人たちの集団、というイメージを持っていたので、初めてUB VenturesのWebページを訪れた時は驚きました。そこには起業家のビジョン実現に向けて地道にたゆまず寄り添い支援することの決意が綴られており、自分のイメージとはかけ離れていたからです。
「伴走」ではなく「共創」。「10の助言」より、「1つの行動」。そのような姿勢に心から惹かれ、UB Venturesで働きたいという気持ちが大きくなっていきました。
また、自分が学生団体を運営する際にユーザベースのHRハンドブックやユーザベース共同代表である佐久間さんのnoteを読んで参考にしており、好きだったユーザベースのグループ会社の一つで働けるというのも自分にとって魅力的でした。

働き始めるまで

UB Venturesで働くことが決まるまで、5月から8月にかけて合計5回の面接を行いました。
長い!と思われた方も多いかもしれませんが、私の場合は少し特殊で、連絡した当初はインターンの採用を止めていた時期であったため、カジュアル面談では夏以降に再度応募してほしいとの返答を頂きました。そして7月に再び連絡し、面接の機会をもらうことができました。
その時お話しした方が自分の上長になる方なのですが、その面接内容は今でも忘れられません。なぜなら1時間、ひたすらに私の人生のプランや志についてお話ししたからです。「何を実現したいのか」「なぜそう思うのか」をあれほど深く聴いてもらった面接は初めてで、それはそれは熱くなりながらお話しさせて頂きました。当時のメモには「VCはスタートアップと同じ目線で世界を変えられる唯一の存在」と書いてありました笑

自分の上長となる方との3回に渡る面接(という名の人生に関するディスカッション)、パートナー陣との面接、そして最後にマネージング・パートナーとの面接を経て、晴れてUB Venturesへのジョインが決まった際には飛び上がって喜びました。

VCインターンのリアル

働く環境

普段は渋谷のThinkaコミュニティスペース(コワーキングスペース)で業務を行っています。月に1回はこのオフィスに起業家の方々が集まり、勉強会(Monthly Thinka)をしています。

業務内容

12月のある日の過ごし方

10:00    勤務開始
10:00-10:15 その日やることの整理、スケジュール設定
10:30-11:30 初回面談*への立ち合い
11:30-12:00 初回面談の内容に関して上長とディスカッション
13:30-14:30 Monthly Thinka*の企画に関して上長とディスカッション
14:30-15:30 Monthly Thinkaスライド作成
16:00-17:00 投資委員会*議事録作成
17:30-18:00 チェックアウト
18:30    退勤

*初回面談:投資検討の最初のプロセス。起業家の方にピッチをしていただいた後、事業やご自身について質問させていただき、お互いの理解を深めるためにディスカッションをする。
*Monthly Thinka:UB Venturesが運営する、起業家コミュニティ
*投資委員会:VCが企業に投資を行うか決定する場。経営者の人間性、ビジネスモデル、事業計画書の内容など様々な論点の最終ディスカッションの場。

5ヶ月間でやったこと

・国内・海外の企業や市場の調査、分析
・新規投資先候補とのミーティング参加&議事録作成
・コンテンツ作成業務支援(リサーチ、編集、デザイン)
・起業家コミュニティMonthly Thinkaの企画・運営サポート
・投資先データのマネジメント業務
・オフサイトの企画
・UB Venturesのマーケティング・ブランディング

5か月間インターンをする中で担当した業務をこのように書いてみると、様々なことを経験させて頂いたなと実感するのですが、ジョインした最初の1ヶ月はひたすらキャッチアップに徹する毎日でした。
財務三表すら読めなかった自分は社内の会議の内容に全くついていけず、会議で出てくる意味不明な言葉を検索しながら、議事録作成だけで終わる日々が続きました。これではいけないと社員の方に相談し、「まずは自分が何をわかっていないのかを整理することから始めてみたら」というアドバイスに基づいて、週次の振り返り日記を始めたのもこの時期でした。「今週やったこと」「気づき・学び」「できなかったこと」「来週の目標」の4つの項目のみで構成するシンプルなものですが、自分の現状を把握し次の短期目標を立てるのに大変役立ちました。
2か月目以降は徐々にインプットとアウトプットのバランスが取れるようになり、業務を楽しめるようになっていきました。

<↑読んだ本たち>

<↑Weekly Diaryのスクショ>

学び・気づき

- アウトプットベースで対話するということ
- オープンコミュニケーションの価値は検索性にある
- 正解のない世界におけるアウトプットの出し方
- 事業は人が創る

1. アウトプットベースで対話するということ
入ったばかりの時、何も貢献できていない、自分には存在価値がないという感覚に悩まされ、焦りと不安でいっぱいでした。UB Venturesのように、プロフェッショナルで自立した社員が多い環境においては特に、その悩みは日に日に深くなるばかりでした。
変わるきっかけをくれたのは、「アウトプットベースで対話をする」ということです。大したことがないかもしれないことも、まずは取り組んで、場に出してみる。その行動によって、少しずつ自分はどういう人間なのかをメンバーに知ってもらえたり、お互いの信頼関係ができていくのを感じました。
例えば私の場合、コーチングを学んだり、学生団体の創設者として組織作りに試行錯誤した経験から、社員一人ひとりが躍動できる場作りといった組織論に非常に強い関心を持っていました。しかし、だからといって、いきなりVCの全体会議にて「カルチャーの話をしましょう」と提案するわけにはいきません。そこで私が行ったのは、オフサイト(オフィスとは違う場所に行きメンバー同士で深く議論する機会)の日に合わせて組織の在り方やカルチャーについて議論するためのアジェンダを作り、スライドというアウトプットを出すということです。そのスライドそのものがチームのカルチャー作りに大きく貢献したとは全く思っていませんが、「リリーは組織作りに興味がある」という認識を上長からいただいたことで、「今度この時間で全員がそろう機会があるから、その時間の使い方をデザインしてみてくれないかな?」というパスをいただけるようになるなど、自分を表現するための一つのきっかけになったことは間違いありません。まずは自分ができることから行動し、形にしてみる。そこから始まるコミュニケーションの積み重ねで、信頼関係の構築や、自分の組織における存在意義を見出すことができるのだと思います。

2.オープンコミュニケーションの価値は検索性にある
マネージング・パートナーの方にいただいた指導の一つに、「DMをするな」というものがありました。言われた当初は、全体のチャネルに質問やメッセージを投げるのは緊張するなぁ、だけれどオープンコミュニケーションで透明性を上げることは大事だよなぁ、と思っていました。しかし、結果的にオープンコミュニケーションの価値を誰でもなく自分が、享受することになりました。その価値とは「検索性」です。全員が疑問や質問をオープンな場(Slackのオープンチャネル)で確認しておりやり取りが記録されているため、新しく入ってきた私もわからないことをSlack上で検索し、すぐにキャッチアップすることができる。それは、言われた当初は気づかなかったオープンコミュニケーションの大きな価値でした。

3.正解のない世界におけるアウトプットの出し方
インターンとして入った当初、私は「いかに上長の期待に応えるか」ということで頭がいっぱいでした。そして私の中で「期待に応える」とは、最初に完成度の高いアウトプットを出し、おぉ!と驚かせるというイメージを持っており、そのため目的から結論まで網羅したものを出そうと最初のアウトプットに命をかけていました。しかし、このやり方で最も恐ろしいのは、目的をすり合わせずに形を作りきり、上長に確認した結果ほしいものとずれていた時です。
実際、自分が丸一日かけて作ったアウトプットを翌日に意気揚々と上長に見せた際、イメージしていた方向性と異なっていたためにそのアウトプットは使われず、一からやり直しになるという苦い経験をしました。それ以来、初回アウトプットの質の高さは、「完成度が高いか」ではなく、「質の高い議論をするための土台を提供できているか」であると認識を修正しました。
VCの業務において明確な「正解」があるものは何一つなく、議論の中で正解を創りだしていくしかありません。だからこそ、一人の力で正解を追う(=目的から1つの結論まですべて作りこむ)よりも、組織としての正解を出すための適切な場づくりをする(=論点を整理し、自分なりの仮説と、それ以外の選択肢を両方上長に持っていく)方が、結果的にゴールに早くたどり着くことができるのです。
自分が作業するときの型に、
・作業に突入する前に、目的設定を入念に行う
・目的を定義できた時点で上長とすり合わせの時間を取る
・目的が確定した時点で目的・課題・仮説・提案を含んだスケルトンを作成する
・スケルトンの時点で上長に共有し、ディスカッションを通してFBをもらう
・2人の目線があった時点で初めてエビデンスや事例収集などを行い、結論の肉付けを行う


ということを実践するようになりました。「精緻な目的設定」「仮説立て」「確認」というプロセスを自分の作業の型に取りこめたことで、より早く質の高いアウトプットを出せるようになったことは、大きな成長でした。

4. 事業は人が創る
UB Venturesでは3つの視点:
・「市場の証明」(解決する負の大きさ)
・「プロダクトの証明」(ユーザーに対する景色の粒度、プロダクト細部へのこだわり)
・「実行の証明」(チームの実行力)
を基に投資判断をしていますが、中でも特にパートナー陣が時間をかけていたのが「チーム」の検討でした。
創業者の経営能力や実行力、チームとしての総合力など事業に直接紐づく部分はもちろん、倫理観や価値観など、表面には見えてこない人間の本質的な部分まで、あらゆる角度から投資前に検討しています。
その姿勢からは、投資実行を出発点と捉え、IPOに向けて起業家と深い関係構築を築きながら、この先何年間という時間をかけて「共に進む」というVC陣の並々ならぬ覚悟を感じたと同時に、どれだけ素晴らしいプロダクトで適切なマーケットに参入できたとしても、最後に事業を形にするのは他でもなく「人」なのだというUB Venturesの価値観を体得した瞬間でした。

向いている人

「行動」を愛する:やり始める、やり続ける、やり切る
・やり始める:明るく前向きにまずはやってみる
・やり続ける:すぐにはできなくても、試行錯誤しながら進み続けられる
・やり切る:臨機応変に対応しながら、最後までやり遂げられる
行動するのが好き、得意ではないがアクションを起こすことを習慣にしたい、という方には最高の環境だと思います。

「思考」を愛する:「なぜ」と問い続ける思考体力
明確な正解が存在することはほぼないVCの業務においては、すべての提案や意思決定に明確なWhyが求められます。Whyを伴った仮説を自分なりに持てるようになるまで、「なぜ」と問い続ける。自分はいまだに苦労している部分ですが、これを楽しめるようになれることは、一人のビジネスパーソンにとって非常に価値のあることだと確信しています。

「コミュニケーション」を愛する:相手の意図を汲み取り、相手に自分の意図を的確に伝える
UB Venturesのように、プロフェッショナルで自立した社員が多い環境において、一番意識したのはコミュニケーションの取り方でした。1を聞いて10を知ろうとする姿勢、自分の意見を伝えるときに「なぜそう思うのか」を明快に伝え、質の高い議論を加速させようとする姿勢、コミュニケーション時にこの意識を持てるようになったことはUB Venturesでインターンをして本当によかったと思えることの一つです。

ご案内

【12/16(金)長期インターンシップ オンライン説明会を実施いたします!】
UB Venturesでは、現在ベンチャーキャピタルにおける長期インターン生の募集をしています。
スタートアップや起業に興味のある方、VCで働いている人たちと話してみたい、多様性のあるチームで働いてみたいという方に是非来ていただけたら嬉しいです。

<インターンシップ説明会>
日時:12月 16日 (金) 午後12:00~13:00/18:00~19:00
方法:Zoomにてオンライン説明会
内容:弊社キャピタリストより、ご説明させていただきます。
・UB Venturesのご紹介
・VCでのインターン業務について
・質疑応答etc.

参加申し込みフォーム:https://forms.gle/pzbXyZqXcgjnVjJbA

最後に

ここまで読んでいただきありがとうございました。
この半年間、辛いことも大変なこともありましたが、本当に充実した日々を過ごさせていただきました。私が何か提案するたびに「やってみな〜」と様々な挑戦の機会をいただき、自分の熱い思いを信じてやらせてくれたUB Venturesの皆さんには感謝しても仕切れません。

ここまで読んでいただいた皆さまへ
何か目標を持っている人にとって、最速で成長できる環境が整っています。
ご応募、お待ちしています!!


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