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【シンガポール国立大学留学③】 ー内省編ー

2022年の1月よりシンガポール国立大学(NUS)に派遣交換留学に来ている鈴木梨里(りり)です!
1月から 5月までの派遣交換留学生活を、1ヶ月に一回の頻度でnoteに書き記していこうという試みをしております。
1ヶ月分の日々を1つの記事にぎゅっと詰め込むととても長くなってしまいそうなので、異国の地で何をみて何を経験したかを綴る「出来事」パートと、その日々の中で自分自身が思考したことを書き連ねる「内省」パートの2つに分けて書いています。今回は期末と帰国に追われとっても遅くなってしまった3月の「内省」編です。
本日は、「新しい環境への飛び込み方」をテーマに、複数の新しい組織に入ってみて感じたことや、その経験から見えてきた自分なりの関係構築法について書いてみたいと思います。


新しい組織に入って感じたこと

3月はダンスチームやインターン先の企業など、様々な組織に飛び込んだ1ヶ月でした。多様なリーダーの下に新メンバーとして入ってみてよかったこと・悩まされたことについて書いてみようと思います。

<良かったこと>

・入社初日に行う期待値設定&マイルストーンの設定(インターン)
会社は自分に何を求め、自分は会社においてどんな経験がしたいのかを言語化し、その上でどうすれば両者が最も高い水準で達成できるかを話し合い、具体的なアクションに落とし込む。初日にこの作業を行なったことは、後々自身のモチベーションを維持したり、どのタスクを担当するかを決定をする際にとても役に立ちました。また言葉にして確認するだけでなくドキュメントに残していたので1ヶ月ごとに見直し、軌道修正をする際のベンチマークとなりました。

・チーム全体でのオープンディスカッション(ダンスチーム)
所属したダンスチームでは、毎週全体ディスカッションをしました。8人のメンバー全員が同じ世界観を持ち、同じ情景を表現することが大事だからというリーダーの強い意思の下の開催でした。重要な質問や疑問点が回収されることはもちろん、「メンバー同士の絆が見えない」「リスペクトが感じられない」などの率直な意見交換を交わす機会でもあり、ワンチームとして前に進み続けるためには不可欠な存在でした。またミーティングをするときとレッスンを始める時で部屋の照明を変えたり、ミーティングの内容や雰囲気はレッスンに持ち込まないというグラウンドルールを設けるなど、ミーティングにおけるオープンネスを担保する工夫も実に効果的でした。

<悩まされたこと>

・部分の情報共有しかなく組織の全体像が見えない
既存の組織に途中から入るという経験をして、新しいメンバーにとって必要な情報を入手することがどれほど難しいのかを実感しました。私の大好きなPodcast、FREE AGENDAではそれを「暗黙知」と表現していましたが、

暗黙知:
組織に存在しながらも外部の者にはわからない一定の知識やコンテキスト

出典:FREE AGENDA「少人数フェーズの組織づくり/新しい組織に入るとき2人が意識していることとは?」https://open.spotify.com/episode/6sf3fCj6GeQEXPB0EvnKJI?si=Wp-dDeX9RAmVYsQg4CE4FQ

まさにその暗黙知をどうキャッチアップすればいいのか非常に悩まされました。使っている略語が何を指しているのかわからなかったり、組織のドキュメントの取り方の癖がいまいち掴めないといったことが頻繁に発生するのです。誰かに聞いても2次情報が多く、またわからないことを逐一聞くのにもやりづらさを感じます。
Podcastの中では「個人がどういう類の情報を持っているのかの地図を作る」というソリューションが出されており、莫大に存在する情報そのものではなくその情報源を地図にするというアイデアに感銘を受けました。
この経験からの学びとしては、組織に新しい人を迎える際に最初にきちんと時間をとって情報共有することの大切さです。タスク遂行に必要な情報を与えるだけでは充分ではなく、どこの組織にも外の人は理解できないが自分達の中では当たり前になっている「暗黙知」があることを自覚し、新しいメンバーがより早くキャッチアップできるような環境を整えてあげることは、新しく人を迎える上で不可欠な行動になってきます。人を採用するということは、採用基準や採用方法を考えるに留まらず、オンボーディングのプランまで設計してこそ成立するのだということを学びました。


新しい環境における関係構築について

2月の記事で私がNUSのダンスチームに所属したことを書きましたが、そこでの日々はなかなか大変でした。というのも、そのチームは1年に1度しか新しいメンバーを迎えない内向きの矢印が非常に強い組織だったからです。チームを「家族」とよぶような強固なボンディングがありながら、チームとして結果を出すべく実力による序列を明確につける、そのような組織に、部外者が一定期間だけお邪魔させてもらうのは容易なことではありません。実際、入部して1ヶ月は必要最低限の会話だけを交わし、ただ振りを覚えるのに必死な日々を過ごしていました。誰とも最もらしい会話を交わさなかった練習帰りには「なんのためにここにいるのか」と悔し涙をこぼしたこともありました。
今振り返れば、冒頭に書いた「チームにお邪魔させてもらう」というマインドセットが、組織に馴染むことを難しくしていたのだと明快に答えることができます。私だけが振りつけを知らないことに萎縮し、躊躇しているから何の機会も回って来ず、力を発揮できないままでいるからまた自信を失う、、そんな悪循環に陥っていました。

そんなループから抜け出すきっかけとなったのは「誰にでもできる感謝されることを行う」という行動です。真新しい環境に飛び込んだ瞬間から圧倒的なバリューを発揮するのは不可能に近い。だからこそ私は、自分にもできる意味のあるタスクに次々に取り掛かりました。例えばキャプテンに感謝を伝える方法を話し合っていた時にメッセージビデオの作成を提案しその担当になってみたり、みんなの疑問をリストアップしたものをグループに共有してみたり。そうした、簡単なアウトプットを自分から出せるようになると、
感謝される→存在意義を感じる→自分に対しての存在承認が生まれる→堂々と振る舞えるようになる→チャンスが巡ってくる→より良いアウトプットを出す 
という正のループが生まれ、自然と自分らしく輝けるようになります。

振り返ると、このような「アウトプットを起点とした関係構築」はこれまで人間関係作りが上手くいったケースに共通する鍵であるように感じます。新しい環境へのデビューする最初の一歩がうまくいくと友達が一気に増え周りから一目置かれるようになり、その後もスムーズに輪が広がる場合が多い。私の場合、良い人間関係を早く築く鍵は、いかに早い時期に良いアウトプットが出せるか、なのだと思います。マインドセットの持ち方然り、環境の作り方然り、着眼点然り。これから新しい挑戦する際に強く意識したい点です。

以上は新しいチームに入るメンバーという立場からの考察ですが、見方を変えれば、新しいメンバーを迎え入れる際にリーダーがやるべきことも見えてきます。新メンバーが意味のある簡単なアウトプットを出せるような環境を整えてあげることができれば、新メンバーのポテンシャルを最も早期に発揮させ、彼/彼女が早くチームに馴染むことをサポートすることができます。

まとめ

ここまで「新しい環境への飛び込み方」をテーマに、自分が得た気づきを書いてきました。
今回自分にとって何よりもためになったのは、「一人のパフォーマーとしていかに輝くか」と悩んだ経験でした。これまでリーダーの視点で組織を見つめることの多かった自分がメンバーという立場を経験し、コネクションも知識も権限もない中で、いかに組織に貢献するかという思考をし、そこから気づきを得たことは自分にとって大きな財産となりました。
「一人のパフォーマーとしていかに輝くか」という問いに対する現時点の仮結論としては、
自分で自分を「できる人」として表現し、その標準に自分が後から全力で合わせに行くということです。要するに、最初の1週間全力ダッシュすることかなと思います。「新しい環境における関係構築について」でも触れましたが、やはり最初のパフォーマンスというのがその後の自分のベンチマークになるため、最初にエンジンをかけるのが自分のスタイルみたいです。皆さんなりの新しい環境の飛び込み方、是非教えて下さい!


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