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香る感性

秋になって湿度がさがってくると、ときどきすることがある。

使い切れなかったスパイス類と水を小鍋にいれて火にかけぐつぐつ。
(中身なんでもいいけどシナモン必須)

ただこれだけ ᵔᴥᵔ

数分もすると家中がスパイスの香りで満たされ、空間が清涼になる。
わたしなりの浄化の魔法✧*。

中身なんでもいい、けど、クミンなんかをいれちゃうとただのカレーになってしまう予感… わたしは大抵クローブやローリエ、そのとき手元にある針葉樹のはっぱ類にシナモン、という感じです。

本物だけで構成されたことにしかない癒しってあるとおもう。
自然のなかにいることも、石畳や木の床、たべものもそう。
人工的、大量生産的なものばかりに包囲されていると(人工的なことの全否定ではないのだけど)5感が常に飢えてる感覚になる。

香りについてはサスティンペダルふみっぱなし的な、減衰のない人工ものはじきに耐えられなくなってタスケテーになるし、ふと通り過ぎる、自然な美しい瞬間をそのままに味わうことは、香りに限らず大事にしたいっておもう。

いい香りも、我がモノにしようとカラダに貼りつけたりすると、違うものになってしまう不思議。

あるとき、繊細系のごはんをたべてるときに香水プンプンのおねえさんたちが(しかも数人)入ってきて、真後ろに座られて泣いたことがある。
テーブルの間隔がせまかったこともあり、なんの味もわからなくなった。
キツい香りもだけど、その無神経さに耐えられなかったんだとおもう。

その一件以来、じぶんが使うシャンプーや香水にも慎重になった。
市販の香水は封印し、香りのついたアイテムは自然由来のものに移行、精油をじぶんで調合して小瓶にいれた「18世紀風」な香水を時々つくってたのしんでみたり。すぐ消えちゃう香りだけど。

家での気分転換にはハーブを燃やすとか、パピエダルメニイなどできるだけ天然の優しい香りのものを選ぶようにして、かつ頻度を極端に減らし、香りへの向き合い方がかわった。
そうしているうちに、自然や植物への関心もますます高くなり、引き出しが増えていったというおまけつき。

もともと感触がニガテで柔軟剤はつかってなかったけど、洗剤も、あれもこれもみなおした。ケミカル成分のひき算をすると味覚やニセものへのアンテナも鋭くなるし、カラダへの負担も軽くなる実感があってたのしい。

香りの歴史や背景にはずっと興味があって、文献を買いあさったり、調香をかじってみたりしてたけど、いちばん大切なのはそれを取り扱う感性なのかもしれないな。

あまったスパイスを持てあましていたら、冒頭の魔法、試してみてね✧*。


リリィミンツ
SSMP
* ずっとウタうシゴトしています*

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