畜産動物の置かれている環境のこと① ~沖縄の黒島で見た風景から
3月に意を決して日本のそして世界の畜産業の現実を調べ、牛の屠殺について調べ、しばらく心を病んでしまった。それくらい、畜産動物はじめ多くの動物が人間の経済合理性という都合によって苦しめられている悲惨な現実がある。
さて、だいぶ心を落ち着けることが出来たので、私が畜産動物の飼育環境に興味を持ち始めたきっかけ、ヴィーガン週5日、残りはフレキシタリアンという選択をした変化の流れについて書いていきたいと思います。
私が畜産動物に関心を持ったのは、2年前に訪れた沖縄の黒島で見た風景がきっかけだ。
竹富町のホームページによると島民約220名に対し、牛の数はその10倍を超える約3,000頭。そのほとんどが肉牛だそうだ。
「この島の牛は乳牛なんですか、肉牛なんですか」
と島の人に聞いたとき
「肉牛だよ」
という返事が返ってきた時に軽い衝撃を受けた。そうか、この可愛い牛さんたちはいつか殺され食べられてしまうのか、と思うととても複雑な気持ちになった。
それでも、黒島の牛は放牧されている牛も多く、まだ幸せな飼育環境かもしれない。(というか、乳牛の運命もかなり過酷だ。肉牛だから屠殺されるとかその当時の私の脳みそはまだ「経済合理性」の支配力がどれほど残酷か理解できていなかった。それに、豚さんたちは牛よりももっと過酷な運命の場合がほとんどなのだ、、考えるのも悲しい。)
そして、東京に戻ってからもしばらくそのことが頭から離れなかったが、怖くて調べることが出来なかった。
2年が経ち、自分自身の心の問題などが落ち着いてはじめて、意を決して畜産業の現実について調べた。
その現実は想像を絶していた。タフではない人は覚悟を決めてから調べて欲しい。(当事者である畜産動物たちのことを考えるとそうも言ってられないのだが、私だって覚悟が決まるまで2年かかった。)
これは日本の畜産業のドキュメンタリーではないのだが、映画「ドミニオン」始めとする海外の畜産のドキュメンタリー番組(イーティングアニマルズなども)は、海外でのヴィーガン人口が増えた要因のひとつとも言われている。
私は、ドミニオンでどんな内容が描かれているかは調べて知ってはいるが、本編は観ていない。
情けないが、怖くて心が壊れると思うので見ることが出来ないのだ。これまでなにも知らずに動物性の食品を食べ製品を身につけていたくせに。 非難されても仕方ないが、それでも出来る限り日本の畜産業やヨーロッパで始まったアニマルウェルフェアの取り組み(畜産動物の福祉を謳っている)、EUでは既に実施されている畜産動物にやってはいけないことなどの禁止条項などなど、調べてはいるのでお許しいただきたい。(いや動物に一番謝らなければいけない)
動物は、人間のために本当に悲惨な運命を背負い、苦しめられている。
ヴィーガンになる人たちの多くは、ダイエットや美容目的ではなく、
動物の福祉のため、地球環境の改善のためといった理由が多いのではなかろうか。だからヴィーガンの人たちに向かって「健康に良くない」「美容に良くない」といった反論をしても話が噛み合わないと思う。
ヴィーガンの多くは畜産動物の現状を知ったり、地球温暖化に与える影響を知ったことで倫理や環境問題の側面から自分たちの食に関する行動を選択しているのだと思うし、また一部のヴィーガンの人たちが過激になるのは、動物が好きな人達が畜産動物が置かれている環境を知ったら心が壊れるレベルの現実を想うと仕方ないことだと思う。
もしこのnoteを読んでくださった方がいて、ご自身で動物の置かれている環境を調べたとしたら、ヴィーガンの一部が過激になる気持ちに寄り添って欲しいと思うし、もしあなたが冷静に物事を伝える能力を持っていたら、ヴィーガンとそうでない人たちの橋渡しをしてくれないだろうか、と思う。
さて、では畜産動物たちはどんな扱いを受けているだろうか。その一部を書き出してみる。
まず、日本ではいまだに99%の鶏は狭いケージで飼われ、その中から出ることすら許されず、出るときは殺されるときだ。採卵でなく肉として売られる鶏は早く成長させ早く出荷するために成長促進剤を投与している場合も多い。
(ケージ飼育されていない採卵鶏の卵は「平飼い卵」と書かれている。スーパーに売られているので、確認してみて欲しい。価格も6個入りで280円程度だったかと思う。通常よりは高いけれど手が届かない金額ではない。通常価格に100円くらい上乗せすればケージに閉じ込めずに済むということだ。)
子豚を産む母豚さんの86%は妊娠ストールという身動きひとつ取れないケージに入れられ、妊娠中115日間はそこで過ごさねばいけない。それを生涯で5-8回の出産のたび繰り返し、子供が産めなくなれば殺される。
EUではこの2つの、鶏のケージ飼いと母豚の妊娠ストールへの隔絶は2013年から禁止されている。
乳牛は、子牛をお産しても子牛にお乳をあげることは許されない。人間が飲むために搾乳され、子牛は人工ミルクで育つ。そしてお産が出来なくなり、お乳が出なくなればもちろん、屠殺。
書いていて悲しくなってきた。
でも、畜産農家側からすれば、利益を生み出せなくなった動物の餌代やスペース代を確保するほどの余裕もないのだ。
そりゃあ、牛乳1パック200円もせずに売られていて、お肉も卵もあんな安い価格で売れば、動物を終生面倒見る余裕はないと思う。
もし、一度でも消費者に購入時に、あと200円高く牛乳を買ってくれれば、豚肉をあと300円高く買ってくれれば、豚さんを妊娠ストールに閉じ込めることはないし、牛が子供にお乳をあげたあとで搾乳しますよとか、お乳がでなくなっても面倒見れますよとか(価格は適当に言っているし出来るかどうかは不明なのだが)説明してくれたら、結構多くの消費者は足を止めて説明くらいは聞いてくれるのではないだろうか。
特にお母さんとして子育てしている人達からすると、母乳を子供にあげられない環境を自分とは違う生き物だとしても、出来ることなら乳牛に優しい環境を実現した製品があれば購入したいという人も多いのではないだろうか。
でも、スーパーで生鮮食品を買う時にそんな説明を受けることもないし、学校の授業でも習うことはない。畜産農家はきっと価格競争に巻き込まれていく中でコストを下げていくために動物をモノのように扱う選択をしなければいけなかったのだろうし、小売業者はライバルに勝つために動物の飼育環境まで頭が回らなかった。
そして私も含めた消費者は、この「経済合理性」に支配された世の中で自分が価値を発揮出来なければ取り残されてしまう、とか常識に従わないと後ろ指をさされる、人と違う意見を言えば白い目で見られるかもしれない、などの恐怖に無意識に支配されて、もう動物どころじゃないだろう。
スーパーで動物が並んでいて自分で殺して肉をカットして購入するわけでも、自分で卵を摂るわけでも、自分で搾乳するわけでもないのだ。もう肉が元々牛や豚や鶏だったことも忘れているかもしれない。
そして、そのことに異を唱えたら、家族に文句を言われたり友達からの食事の誘いも断らないといけないかもしれない。
誰が悪いとか、犯人探しや言い争いをしている場合でもなく、どうすればこの地球に生きる全ての命が幸せになれるのか(もちろんそれは植物も昆虫も魚も含めた全ての生き物だ)を私たちが考えて行動を変えていかなければいのだなあと思う。
で、そんなことを考えながら、色々と調べていく中でイギリスで始まった「アニマルウェルフェア」という畜産動物の福祉についての取り組みを調べていたら、日本でも少しづつではあるがアニマルウェルフェアに取り組んでいる団体や認証を受けている畜産農家さんがあることを知った。
長くなるので、また次回に詳しく書いていこうと思います。
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