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うつ病は離婚理由になるのか?


妻や夫がうつ病になり、これまでのような明るく楽しい夫婦生活ではなくなってしまたら、とても辛いでしょう。
うつ病になってしまった妻や夫との生活を続ける自信がなくなり、離婚したいと思う方もいるはずです。

相手が病気になったからといって離婚をするのは、相手を見捨てることではないか、と思うかもしれません。しかし、うつ病をはじめとする病気を取り巻く現実には、きれい事では収められない、当事者にしかわからない辛さというものもあります。

うつ病による離婚ステップ

実際問題、配偶者がうつ病になったことを理由に離婚することはできるのでしょうか?

配偶者がうつ病になった場合に限らず、どのようなケースの離婚でも、基本的なステップは同じで、まずは夫婦間で協議することになります。
うつ病を理由にした離婚の場合も、夫婦間の話し合いで相手の合意が得られれば、それで離婚することはできます。

夫婦間の協議で合意できなかった場合は、調停・裁判という流れになるわけですが、この場合、配偶者のうつ病を理由にした離婚はなかなか認められないのが現実です。

民法では、夫婦には相互扶助の義務があると定められています。
つまり、お互いに助け合って生活しなければならない、ということです。
どちらかがうつ病になったからといって簡単に離婚を認めてしまえば、この相互扶助の義務と矛盾することになります。

ただ、同じく民法では、離婚の正当な理由として、
「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。」という条件も定められています。

ですから、配偶者がかなり重度のうつ病であり、これ以上回復の見込みがないと判断できる場合は、離婚が認められる可能性もあります。

よろしければ、「強度の精神病で、離婚できるのか?知っておきたい離婚の条件」を参考にしてください。

離婚に至るのは難しい…が出来ない訳ではない

ただし、「夫婦には相互扶助の義務がある」ということが大前提となるため、単に重度のうつ病であり、これ以上回復の見込みがないという状況だけでは離婚できません。

重要なのは、うつ病になった配偶者に対し、最大限の理解を示し、回復や夫婦生活の維持のためにできる限りの尽力をすることです。
それらの力を尽くした上でなお、回復が見込めず、どうしても夫婦生活を続けることができないという場合のみ、離婚が認められます。

うつの場合、家事などが手につかなくなるということもありますが、それについては、「家事を一切やらない妻と離婚できるのか?」の記事を参考にされてください。

「離婚して見捨てる」という選択は歓迎されていない

離婚により、うつ病を患った配偶者の今後の生活が危ぶまれるという懸念もありますので、どうしても離婚せざるをえないという場合は、離婚後の配偶者の生活に不安を残さないように配慮が必要になります。

たとえば、

・離婚後も金銭的な援助を続けると約束する
・財産分与で多めに財産を渡す
・障害年金など福祉制度の手続きをする
・配偶者のお世話をしてくれる人や環境を用意する

など、配偶者の離婚後の生活に対するバックアップを忘れてはいけません。

これは、調停や裁判で離婚を求める際の必要条件でもありますが、夫婦間での協議で離婚する場合にも、配慮しなければならないことです。

後悔しない選択を

配偶者がうつ病になってしまったことで、ご自身やご家族も、一言では言い表せない辛い思いをしているなら、離婚を検討することは決して悪いことではありません。誰かからの非難を恐れて、過度に思いつめることがないようにしてください。


どうしてもこれ以上夫婦として生活を続けられないという場合は、ご自身やご家族と、うつ病を患った配偶者ご本人の両方に対して、できる限りの配慮をしたうえで、離婚の手続きを進めていきましょう。

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