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佐々木朗希のポスティング記事についての考察 ~MLB挑戦の可能性~

皆さまこんにちは、Lil Bavasiという名前で野球関連の愚痴を垂れ流している者です。

私はNPBではロッテ、MLBではマーリンズを応援していて基本的にその2球団を中心に日頃から情報を追いかけています。

が、12月10日の朝、色々な意味で衝撃的なニュースが飛び込んできました。


ロッテ・朗希が今オフのメジャー挑戦要望 ポスティング申請期限は15日に迫る

…は?
最初に記事を目にした時、頭に「?」が大谷の総年俸ぐらいの数浮かびました。正直大谷のドジャース移籍よりこっちの方が面食らいました。(そのあと大谷の脱法契約にも面食らった)

最初はこの報道しか情報がなかったため真偽の程が確かめられなかったのですが(今もこの記事しか無えけどな)2日経ち、おおよその見当がついたので考察していきたいと思います。

※敬称略



1.信ぴょう性はどれくらいなのか


この記事の真偽についてですが個人的には
高確率でガセの飛ばし記事
だと思っています。

まず記事の内容

ロッテの佐々木朗希投手(22)がポスティングシステムによる今オフのメジャー移籍を球団に要望していることが9日、分かった。
(中略)
ナッシュビルで7日(現地時間)まで行われたウインターミーティング。エンゼルスからFAの大谷や、オリックスからポスティングシステムでメジャー移籍を目指す山本の動向に話題が集まったが、その舞台裏では佐々木朗も同制度でメジャー挑戦を目指している情報が駆け巡った。複数の大リーグ関係者が「ロウキが今オフにもメジャーに挑戦したい希望を持っている話を聞いた」と明かした。

https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2023/12/10/kiji/20231210s00001173059000c.html

米メディアによると、佐々木朗サイドはすでに大リーグ球団と接触し、本人周辺の関係者もメジャー挑戦を後押ししているという情報もある。しかし、今年のポスティングシステムの申請は今月15日が締め切り。既に1週間を切っており、ロッテは今オフの申請については認めない方向とみられる。

https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2023/12/10/kiji/20231210s00001173059000c.html


いやなんでロッテに保有権あるしポスティングするかもわからないのに他球団と接触してんねん!普通にタンパリングやぞ!(MLBはタンパリングに対して日本より厳しい)


…というツッコミをしたくなりますがとりあえずグッとこらえて根本的な話からすると「そもそもウィンターミーティングでそんな話は出ていないのでは?」と個人的には考えています。

まず本当にそういった話がWMで出たのであればもっと大きな話題になることは間違いないでしょう。

そしてスポニチ以外の日本のマスコミや著名な現地記者の耳にも入ってSNSで報じられたり複数のメディアが記事にすることになるはずです。
しかし冒頭でも触れたとおり1次ソースとしてこの話題を取り上げているメディアはスポニチのみであり日米ともに他メディアからの続報や独自で取材を行っている記事は存在しません。(12月12日現在)

この状況から考えられるのは
・スポニチだけが何らかの方法で知った
・情報統制を敷いているがスポニチだけ破った
・でっちあげ
のどれかだろうという感じです。

しかし、日本のマスコミのMLB記事の書き方を見ればなんとなく分かると思いますが、囲み取材に金魚の糞みたいに付いてくるぐらいでMLB.comやFOX Sports、USA Todayの著名記者たちのような契約内容等の内部の込み入った取材が出来る訳ではありません。
それで野球界を揺るがす大スクープを独自で獲ってくることは基本的に不可能ですしそのような地元メディアの著名記者をスルーして日本のメディア(しかも1社)だけにわざわざ話すというのは非常に考えづらいです。

情報統制の可能性についても記事の中で

複数の大リーグ関係者が「ロウキが今オフにもメジャーに挑戦したい希望を持っている話を聞いた」と明かした。

https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2023/12/10/kiji/20231210s00001173059000c.html

米メディアによると、佐々木朗サイドはすでに大リーグ球団と接触し、本人周辺の関係者もメジャー挑戦を後押ししているという情報もある。

米(アメリカ)じゃなくて米(コメ)の可能性ありそう
https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2023/12/10/kiji/20231210s00001173059000c.html


とか本当かも分かりませんがメディアに漏れてるって自分でベラベラ喋っちゃってる時点で否定してるようなもんですし、球団へのポスティング要請についてわざわざ海外メディアまで情報統制する意味も分かりませんし多分そんなことできないです。

そもそも現地メディアはそんなデカいトピックがMLB関係者から漏れたら絶対日本のマスコミより先に嗅ぎつけるので第1報を日本のマスコミがリークするのは無理だと思います。

海外の話って書いておけば日本のファンなら誤魔化せると思ったんだろうけど(ネット知らないジジイか?)調べればWMでどういうやりとりが行われてるかなんてある程度出るし、普通話題に挙がればリアルタイムで情報出る事が多いからこんなに期間空いてるのも不自然なんですよね。


2.そもそもポスティングとは?今オフのポスティングはある?


ポスティングシステムについて記事に説明があるので引用

ポスティングシステム
海外FA権取得前に大リーグに移籍する制度。現在は以前のように入札制ではなく、獲得を希望する全球団と交渉可能。今季の申請期間は12月15日までで、申請手続き後の交渉期間は45日間。日本球団への譲渡金は選手が契約で保証される額により変動。保証額のうち2500万ドル(約36億円)までの部分の20%、2500万~5000万ドル(約73億円)までの部分の17.5%、5000万ドルを超えた部分の15%の合計。

https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2023/12/10/kiji/20231210s00001173059000c.html

ざっくり言うとFA取得前に保有権譲渡する代わりに移籍先から保有元に金払って下さいねってやつです。
結構有名なので知ってる人が多いと思いますが、選手が要請しても保有している球団が許可しないと申請することができません。

また、この制度には年齢制限ルールがあります。

≪「25歳ルール」の壁≫大リーグでは16年以降、25歳未満かプロ6年未満の海外選手はマイナー契約しか結べなくなった。現在移籍を目指す山本は25歳。ヤクルト・村上は25歳となる25年シーズン後のメジャー挑戦を見据え、昨オフに3年総額18億円の契約を結んだ。

総額3億ドルとも予想される山本がその額で契約した場合、移籍先球団からオリックスに支払われる譲渡金は4687万5000ドル(約68億円)にも上る。佐々木朗が25歳未満で挑戦した場合、ロッテに渡る譲渡金は、契約金が17年オフの大谷と同等の200万ドル(約2億9000万円)だとしても5000万円前後にしかならない。大谷は自身の年俸が少なくても構わないと23歳で挑戦したが、当時は新旧ポスティングシステムの移行期で、旧システムが適用され当時の譲渡金上限額の2000万ドル(当時約23億円)が日本ハムに支払われた。

https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2023/12/10/kiji/20231210s00001173059000c.html

要するに25歳以下でポスティングすると本人が契約できる額も保有元の球団が貰える額も少なくなっちゃう上にマイナー契約しか結べないんですよね。

ロッテとしては佐々木朗希に対して金銭的にも起用的にも時にはチームすらも犠牲にして投資をしているので優勝なり個人タイトル総ナメなり回収のメドが立たない限りポスティングを認めることはないでしょう。


3.万が一今オフポスティングしたら

大前提としてロッテがこのオフにポスティングを認めないのは間違いないと思います。

が、万が一大谷と日ハムのように行きたいタイミングでポスティング出来る契約になってたらと仮定して、2023年現在の佐々木朗希がMLB挑戦した場合を考えます。(数字等間違ってたら訂正するのでご指摘ください)(また佐々木朗希投手を批判する意図のものではないこともご了承ください)

2021年3/12 オープン戦 vs中日 プロ初登板  撮影:Lil Bavasi

まずマイナー契約しかできないので3年間メジャー登録されて年俸調停権を得るまで(いわゆるサービスタイム)最低年俸(2024年は740,000ドル)に近い金額でプレーすることになります。

ちなみに740,000ドルは1億ちょっとなので朗希は今年の契約更改で同じぐらいの額貰えると予想されています。
ロッテに入る譲渡金もわずかで金銭的には朗希自身にも大きなプラスがないばかりか得するのは安く有望な選手が手に入る移籍先のMLB球団のみという結果になります。
(ヤクルト村上などNPBの有望な若手をやたら出せ出せ言う現地メディアやファンがたまにいるのはそのため)

更に今移籍しても数年はメジャーではなく2Aや3Aで実績を積まなくてはならない可能性が高いです。

大谷の場合、NPB在籍期間は5年でしたがそのうち規定投球回に到達したシーズンが2回、140イニング投げたシーズンが1回ありました(しかも野手やりながらのバケモン)。
チームの優勝にも貢献し、年間通じてしっかり出場できるという実績を作ったおかげで1年目の最初からメジャー出場することが出来たと言っても良いと思います。

しかし朗希の場合、実働3シーズンで未だに規定投球回はおろか100イニング投げたシーズンも1回しかなく、ポテンシャルは凄いけどこれといった実績はないというのが現状です。

今のまま挑戦したとしても結局数年はマイナーでの実績作りと体力強化になってしまうでしょうし、いくら球数制限や登板間隔の調整をするといってもアメリカの長距離移動や過酷な日程や環境で試合に出続けることは現時点では相当厳しいと言わざるを得ないです。

もし無理をして故障や長期離脱することになれば更にメジャーで出場できる機会や年俸調停権取得が遅れることになりますし、現時点でポスティングをしてまで挑戦するメリットはほとんど無いのではないかと思います。


4.まとめ


2022年1/4 岩手県大船渡市の旅館にて 撮影:Lil Bavasi


WMでポスティングの話が出たというのは嘘である可能性が高いと思いますが、朗希本人がこのオフ本当にポスティングを直訴する(した)のかどうかは正直分かりません。

契約更改の時に何かコメントするのかはたまた何も言わずにスルーするのか分かりませんが、吉井監督やコーチと綿密に計画立てて課題に取り組んでいる最中ですし、色々なエピソードを聞いてもお世話になった人に不義理を働くような性格の選手ではないと思います。

我々ファンはいつかメジャーに旅立っていくその日まで期待のまなざしで暖かく見守っていければいいのかなと思います。(それはそれとして来年は流石に最低でも規定投球回は投げてくれ)

また何かNPB、MLB問わず野球関連の話題があればnoteにまとめたいと思いますのでチェックして頂けますと幸いです。

ほな、また

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