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ジャンボフェリー「あおい」に乗ろう!(2) 6つの魅力前編

「あおい」の魅力 1.きれい!

ジャンボフェリーを以前から知っている人は「きれい」と言ったら苦笑するかもしれません。1989~1990年、すなわち平成に入ってすぐに就航した在来船舶「こんぴら2」(2022年12月「あおい」と交替で退役)「りつりん2」はいかにも昔ながらのフェリーで、使い古し感が漂っている様子が動画レポや写真からうかがい知れます。運賃が安く、庶民派の船でした。

対して「あおい」は一気に2世代ほど若返ったピカピカのお船。内装は小豆島がモチーフ。エントランスロビーや階段は棚田、3階ロビーは醤油樽、部屋番号札やキッズスペースは石イメージのデザイン。コンフォートリクライニング席やソファーのシートはオリーブの葉や実をあしらった柄。畳もオリーブのグリーンとブラウン。あくまで上品に攻めてきます。清掃も常に行き届いて、スタッフの船への愛情が伝わってきます。

「あおい」船内ロビー
キッズスペース。五角形は石をイメージ。

「あおい」の魅力 2.快適!

船旅と聞くと「揺れないの?」「酔わないか心配」という人もいらっしゃるでしょうか。 でも、どうぞご安心を。

ほとんど揺れません。

瀬戸内海は字の通り「内海」で、よほど強い低気圧が来ない限り高い波は立ちません。神戸~小豆島~高松の全航程で、陸地から大きく離れる局面はありません。本当に静かで、たまに「あ、そういえば今海の上だわ。」と思い出す程度です。〇松〇平電鉄の電車や小△鉄道の気動車のほうがよほど揺れます。

ロビー売店で酔い止め薬の販売はありません。過去の船旅で辛い思いをなされた方は、念のため乗船前にお買い求めください。

お手洗いは2階ロビーに多目的トイレ。その他2階プレミア席ゾーンと3階にあります。温水便座つきで清潔に保たれています。

船内の座席やロビーにはコンセントがたくさん設置されています。スマートフォンやタブレット端末類の充電について心配はいりません。もちろん無料で使えます。

「あおい」の魅力 3.楽しい!

風・海・光・空 4か所のテラス


ジャンボフェリーでは「あおい」を象徴する施設として4ヶ所のテラスをあげています。キャッチコピーは

「瀬戸内海に浮かぶテラスリゾート」

お天気の条件がよい日は空が本当にきれい。さえぎるものがないので日の出や日の入り、月や星の観察もできます。(※)

神戸港の日の出


光のテラスより 吊り橋と月のトライアングル

運がよければ珍しい現象に出会えるかも?風がある分船室より寒いので、テラスに出る際は防寒対策をお忘れなく。

(※)夜の4便、深夜の1便では安全のため屋上「空のテラス」と4階「光のテラス」は閉鎖されています。その他天候状況により臨時に閉鎖する場合もあります。

足湯


足湯は「ホワイトイオン泉」使用。細かい泡が足元を包むと時は銀紙の海に溶け出し、自我を忘れるくらい気持ちよい。あれ、どこかで聞いたような。

上がる時は海風が容赦なく熱を奪っていくので、入ると決めたら乗船前にあらかじめ大きめのバスタオルを用意しましょう。服装によっては裾がお湯につかないよう洗濯ハサミを使って留めるのもありです。(※)

海に向いたテラスで足湯につかろう

(※)足湯が設置されている「海のテラス」はプレミア席(有料指定席)乗客専用です。

足湯コーナーの隣には「雲の湯」というお風呂もあります。

例の歌


もうひとつ忘れてはいけないジャンボフェリー名物。
出港と入港の際、案内放送のバックに流れるあの歌。

「二人を結ぶジャンボフェリー」

一度聴いたら忘れられず、下船後しばらく頭の中でループ再生してしまうという乗客は数知れず。私も「あおい」乗船によりめでたくそのひとりと相成りました。深夜便の愛好者の中には「強制的に起こされる曲」と認識している人も。

「二人を結ぶジャンボフェリー」、作詞作曲は愛知県在住のシンガーソングライター森香(もり かおる)さん、歌は速水仁奈(はやみ にな)さん。(※)この曲の楽譜が掲載されている雑誌「ゲッカヨ 月刊歌謡曲2010年8・9月号」(ブティック社)で、森さんは以下の通り語っています。

かれこれ10年くらい前に依頼されて作った曲。船の旅のロマンチックな気持ちと神戸高松間をつなぐということで、気持ちのつながりのようなものをテーマにコマーシャルソングという枠を外して作りました。

「ゲッカヨ 月刊歌謡曲2010年8・9月号」より引用

ということは2000年前後に作られた曲ですね。音楽的に言えば、作曲家筒美京平先生が手がけた1970年代初期ヒット曲(南沙織さんに書いた「潮風のメロディー」あたり)を想起させるポップな進行で、爽やかな風が吹き抜けていくような楽曲です。サビの♪どこまでもどこまでも~における音程の跳躍で速水さんは地声とファルセットを巧みに切り替え歌っていて、聴きどころです。

(※)ネットでは「早見にな」と記されていますが、森さんのSNS発言や文献資料によれば、本来はこの表記のお名前だそうです。

ピアノ

船内ロビーにはピアノが設置されています。フェリー用の船では日本唯一だとか。出港前と航行中、自動演奏で数曲流れます。私が乗船した日は中島みゆきさん「麦の唄」などが演奏されていました。例の歌もかかります。

カフェラウンジの係員さんに頼めばストリートピアノのように弾かせてもらえるらしいです。ストリートピアノならば煩わしいと思えばその場から離れられますが、船内は簡単に距離を置けない環境なのでチャレンジは難しいでしょう。かなりすいている日でもロビーには誰かしら人がいます。

ピアノとソファーの間のスペースはイベントに利用される場合もあるようで、ネットには神戸市・高松市・小豆島2町の観光協定締結の模様を伝えるニュース(岡山放送 2023年2月15日)があがっていました。

新船「あおい」の魅力、次回に続きます!



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