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傍観者から、当事者に引き釣り出された

先日、GoToイートの有効期限が切れそうなことに気づき、慌てた。

以前、オードブルを注文したお店がおいしかったことを思い出し、
今回もそのお店でオードブルを注文することにした。

オードブルを注文したお店は、夫婦で経営している。
いわゆる「個人事業主」だ。
"自分のお店を持つ"って、"自分の城を持つ"って感じでかっこいいなぁとは思う。
けれど、経営から営業、食材の調達や調理、すべてを自分でやらなければいけないのだから並々ならぬ苦労があるのだろうなぁとも思う。

家族のご飯を作るのだって大変だと思っている私には、縁のない世界だな…と思いながら、飲食店やってる人って何考えてるんだろう?と思って手に取ったのがこの本。

著者は小林せかいさん。
東京神保町に「未来食堂」というお店を開いている。

お店のシステムが斬新なため、メディアにも多く取り上げられているそうだ。知っている人は知っているかも。(私は知りませんでした)

50分、店の手伝いをすると1食が無料になる「まかない」。
壁に貼られた1食分を剥がして持って来ればただになる「ただめし」。
好みに合わせておかずをオーダーメイドできる「あつらえ」。
飲み物の持ち込みは自由。ただし半分はお店に差し入れする「さしいれ」。
メニューは日替わり1種だけ。
お店は店主のせかいさんひとりでまわしている。

「こんなこと考えるんだ~。すごいなぁ。」と傍観者になって読んでいた。
飲食店経営の面白さというか、難しさというか、そんなものを垣間見た気がしていた。

ところが。

後半の章で一気に当事者に引き釣りだされたのだ。
これまでは著者が飲食店を経営するうえで生み出してきた"システム"について語られてきた。
そのシステムがなぜ生まれたのか、ということにも触れられてはきたが
それはあくまで「どんな飲食店でありたいか」という「飲食店」ありきでの話だと思って読んでいた。

それが、この章では「アイデアはどう生まれるのか」「そのアイデアを実現するにはどうすればよいのか?」というもっと抽象的な話をしている。

これは「飲食店」だけに限った話ではないし、まして「個人事業主」に限った話でもない。
わたしたちが生活していく中で、どんなことにも置き換えられる話だと思うのだ。

私が言葉足らずで、非常に歯がゆいのだが、「これは"読ませる"本だなぁ」と思った。

そういえば、以前読んだ本にもこんなことが書いてあった。

複数人で話をしている時のあるあるだと思うが、なにかひとつの話題を集中的に話していると、その話題について行けない人が出てくるときがある。

そんなときは、その話題を抽象化していくと、会話が広げられるというようなことが書いてあった。

抽象化すると、もっと大きな論点で話ができる。
そうすると、傍観者だった私が急に当事者になるのだ。

こんな風に広げられると、私も入っていける。
私も考えなきゃいけないなぁなんて、思う。

飲食店、やる予定は全くないですが、とても面白い本でした。

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