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4歳の息子に「お友達の中で、誰が一番好き?」と聞いてみた

「エミちゃんや!」

冷蔵庫に貼ってあった女の子のマグネットを見て、息子が叫んだ。

当時、2歳だった。

保育園のお友達の名前と言えば、「カイト君」しか知らなかった私はとても驚いた。息子の口から女の子の名前が出るなんて。

エミちゃん、どんな子なんだろう。息子に聞いても「保育園の友達」としか言わない。送迎担当の義父に聞いても「わからん」と言われた。

エミちゃんの顔を認識したのは年少さんに上がってからだった。クラスのお友達みんなが映った写真を見る機会があったのだ。

息子に「エミちゃんってどの子?」と聞くと、「この子や」と教えてくれた。目のクリッとした可愛い女の子だった。

現在、年中さんの息子。ある日、こんなことを漏らした。

「エミちゃん、嫌ねんてねー」

「なんで?」

「叩いてくるから」

「なんで叩くんやろう?」

「ケンが足踏んでしまって、”ごめんね”って言おうとしたら叩かれた」

「そうか、タイミングが悪かったね」

「エミちゃん、すぐみんなのこと叩くから嫌や」

息子の言っていることがどこまで本当かわからないが、園でなにかあったら先生を頼るしかない。

「先生に相談した方がいいかもね」

とアドバイスした。

それにしても、エミちゃんって・・・活発な女の子なんだなぁ、と思った。

先月のことだ。保育園参観があった。

鬼ごっこをしていた子供たち。鬼であるエミちゃんはカイト君にタッチしようとしていたのだが、するりと逃げ交わされてしまった。

鬼ごっこ終了後、カイト君のもとに寄っていくエミちゃん。次の瞬間、バシーン!と大きな音がした。逃げられたことに腹をたてたのだろう、カイト君の背中を思いっきり叩いたのだ。

息子の言っていたことは本当だった。先生は慌ててエミちゃんを抑え込む。抑え込まれたエミちゃんは「ギャーッ!!!!」とさらに暴れていた。

「今日は保育園でなにして遊んだん?」「給食はなにやった?」「おやつは何食べたん?」と息子に聞くのが日課になっている。

先日、質問の延長で「保育園で一番好きなお友達はだれ?」と聞いてみた。

カイト君かな?でも、最近はハルト君とも仲良しみたいし。けれど、息子から出たのは思いがけない子の名前だった。

「エミちゃんかな」

「エミちゃん?どうして?」

「優しいから」

「でも、前に叩かれるから嫌って言ってたやん」

「ケンは叩かれんようにうまくやっとるから」

「そうなん?そっか」

「お母さん、心配しとった?」

「ん?うん。ちょっとね」

「大丈夫やよ、もう。今日、グループ分けがあって、エミちゃんと同じになれて嬉しかった」

「そうか、よかったね」

息子の中でどんな心の変化があったのかはわからないし、どううまくやっているのかはわからない。けれど、息子にとってエミちゃんは大切な友達なんだということはよくわかった。

「もう大丈夫や」

という息子がなんだか少し、大人びて見えた。

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