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おりこうさん?

「もう!なんも言わんといて!あっち行って!」

最近の息子(4歳)の口癖だ。

昨日も保育園から帰ってくるなり、そう叫びながら、義父をバシバシ叩いていた。

「お母さん、来て!」

半袖短パン姿(保育園着)で、「面白くない」という様子で雪を蹴る息子。

「寒いよ、家に入ろうよ。」と言ってもきかない。

「捕まえてやる!」と言って、腕をつかむとするりと逃げ出した。

「きゃーっ!」と言って走り出す。私も追いかける。

こんなに走ったのはいつぶりだろう。なんとか捕まえて、家に入った。

「手、洗ってお片づけやよ。」

「嫌や。なんもせんもん!」

そう言って、リビングまで走って行ってしまった。

「じゃあ、お母さんが全部するからね。お母さんが全部するんやから、半分こしようって言ってたお菓子、お母さん全部食べるもんね。」

「いいよ!別に。」

ふん。そっちがそうなら、こっちだって。全部片づけて、お菓子食べるし。

脱ぎ捨てられた靴下を洗濯カゴに。上着とかばんは洋服掛けに。

さぁ、お菓子お菓子。

息子はというと、手も洗っていないのに他のお菓子に手を出している。

「こら!手も洗ってないのに!」

「いいもん!手洗わんくてもいいもん!」

抵抗する息子の腕をひっぱり、洗面台に連れていく。

水を出し、ハンドソープを付けてやる。

「こんでいいやろ!」

ちょっと目を離した隙に、ハンドソープの手を壁に塗りつけている。

「ちょっと!なにしとる!」と思ったが、怒るのもバカらしくなり、黙ってタオルで壁を拭き、息子の手も一緒に拭いてやった。

その後、「ケンもお菓子食べる!」と言って聞かないので、もう一度ちゃんと手を洗わせた。

お風呂に入るころになり、ようやく一息ついた。

「はぁ、ケンってなんでこんななんやろうね。」

「なにが?」

「気に食わんからって暴れるの。でも、人のこと叩いちゃダメよね。」

何も言わない息子。

「ケンも前、エミちゃんに叩かれて嫌やって言っとったやん。エミちゃん、まだ暴れる?」

「暴れるよ。いつものことや。でも、家では”おりこうさん”なんや。」

「え?どういうこと?なんでそんなことわかるん?」

「先生が言っとったから。」

「先生が?ケンに?」

「ううん。先生が先生に。家ではおりこうさんやから、園では暴れるんやって。」

はっとした。そっか、エミちゃん、家ではおりこうさんなんだね。その分、園で発散しているのかもしれない。

「ケンは?園ではおりこうさんなん?」

「ううん。」

「え?家ではおりこうさん?」

「ううん。」

へへへと笑う息子。私も一緒になって笑う。

「なんやー。ケンは家でも園でもおりこうさんじゃないんかぁ。」

「そんな会話をしたんやよ。」

その夜、夫に話した。

「なんやそれ。大丈夫なんかね、それ。」と、笑う夫。

「大丈夫なんじゃない?わからんけど。園でも家でも”素”ねんろ、ケンは。その方がいいんじゃない。ためこまなくて。」

大丈夫だと思いたいだけかもしれない。そろそろ子育て5年目になるが、なにが正解かなんてわからない。

でも、自分の感情をちゃんと出す場所ってやっぱり必要だと思う。まだ子どもだから、セーブできていない所はたくさんあるけど。

それに、家でも園でもお利口さんじゃない所があるって自分でわかってるっていうのは大きいんじゃないかと思う。

これも、親である私がそう思いたいだけかもしれないけれど。

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