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可視化される熱量#002:地域での創造的コミュニケーション1/5(価値とキャリアのパラダイムシフト)

先日(2016.12.08Wed)に日本橋茅場町にあるCAFE SALVADOR BUSINESS SALON(※1)で「地方ビジネス最前線3/4-地方のまちが可能にする、人生の実験と創造-」が開催されました。前回のコラム(※2)で書いたように「チャレンジの場としての地域の可能性」をゲストの若新雄純さんにお話いただいたことを元に、感じたことや思ったことを《価値とキャリアのパラダイムシフト》と《事前には想像できないからこそ行う》、《ローカルという定義》、《人に喜ばれることとは》、《3次元と1次元では見え方が違う》、《まとめ》と何回かに分けて書いていきたいと思います。

現在特に人口集中している首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)では日本の人口の約28%相当にあたる3,500万人強の人々が生活しています。人口割合については一極集中という言葉では簡単に説明はできないのでおいおい考察してみます。

前説が長くなりましたが、今回の大テーマは「地域での創造的コミュニケーション」です。なぜ地域で創造的コミュニケーションが必要となるのかの本論に行く前に、「人はなぜ生きるのか」をまずは考えてみたいと思います。


「満たす時代から、溢れる時代へ」


若新さんはこの言葉から話してくれました。

高度成長期の日本は、モノをつくり8,000万人を超える国内内需と輸出で獲得した外貨に支えられ豊かになっていきました。仕事をし収入を得て、モノを購入し、また仕事をして収入を得る、そして豊かな生活を手にいれる。しかし、2016年の時点で若者(ここでは10代〜20代と便宜上定義します)と呼ばれる世代は、親や祖父母のおかげで生まれた時からモノに溢れています。なのでいままでの高度成長期の大多数が信じていた「豊かな生活」を求めるために生きてはいけないという壁にぶつかるのです。

そうすると、いい学校に行き、いい会社にはいり、いい給料を得ることに対してモチベーションを保つことができなくなる人たちが増えていきます。お金は大切です、日本は資本主義ですし...、ただ自分のなかではお金だけでは計れない「価値」のパラダイムシフトが起こっているのです。これは個人だけの話ではなく、高収入を得ている人達も含めてそれぞれの価値を求める方向に世の中全体がシフトしているのでしょう。

「価値」に対して色々なパラダイムシフトが起こると、当然「キャリア」についても変化が起こります。求める価値を満たすためにはある程度のお金が必要になり(目指す価値によっては大金)、何かしら所得を得る活動をしなければいけません。「仕事」をしなければいけない、またはしたくなる。そこで過去とは違う価値観を手にいれた若者達は「キャリア」についても考え方に変化が出てきます。

1990年代までは、多数の人が「キャリアアップ」を目指していたと思います。しかし、現在は社内ではそううまくポストも空きません。そうこうするなかで、会社の枠に縛られたくない人は、社外に飛び出し独立や起業をしていきます。そのうち学生時代で既に起業する人も増えてきました。しかし、果たして本当にキャリアアップをみんながみんながみんな求めているのでしょうか?。「自分らしく生きれればいい」や「こころが豊かになる暮らしをしたい」と思う人達も同じぐらい増えていきます。

キャリアを考えるときに、道脇裕氏(株式会社NejiLaw)(※3)の存在はとても興味深いと思います。道脇さんはまともに学校に行ったのが小学校5年生までだったそうです。「僕は今の教育システムに疑問を感じるので、自分の足で歩むことに決めました」(※4)と10歳の時に道脇さんは休学宣言をしました。大学も卒業はしていません、そして約2,000年の歴史を持つ「ねじ」に革命を起こしました。

一般的に知られているねじは、ボルトとナットに刻まれているネジ山の面やボルト頭部の座面と締結する面、ナットの座面と締結する面がトルクをかけることによって生じる摩擦力によって締結される、至極一般的でかつ人類の生活に欠かせない基幹技術や部品になります。その摩擦をかけるのに利用されるのが螺旋構造ですが、道脇さんが発明した「L/Rネジ」はその螺旋構造を利用して摩擦力を発生させるのではなく、機械構造を取り入れて締結させる革命的な構造をしています。


そんな、社会的インパクトを生み出した道脇さんのキャリアは全く一般的なそれと違っています。


既存の価値観と違う行動と生きる目的として設定しだした私たちは、でも人と共存していかなくてはいけません。「理解しない人とは付き合わない」という考え方があってもいいかもしれませんが、できれば理解してもらいたい時もあります。特に新しいことを実行しようとして一人ではどうにもならない時には。

そんな時にはどの様な破壊的コミュニケーションが必要になるのでしょうか?「地方ビジネス最前線3/4-地方のまちが可能にする、人生の実験と創造-」での若新さんのお話から次回も考えてみたいと思います。

※1 http://cafe-salvador.com/

※2 https://note.mu/likeblare/n/nf99a77ba76ae

※3 http://www.nejilaw.com/

※4 http://www.nikkei.com/article/DGXMZO76186450W4A820C1X11000/

TOP写真撮影:伊藤悠 画像加工:鳥羽真



「地域ビジネス最前線:教育を通じた地域の活性化~最後尾から最先端へ~」

日時:2016年12月14日(水)19:00〜21:30

ゲスト:藤岡 慎二(ふじおか しんじ) 氏

    株式会社 Prima Pinguino 代表取締役

住所:CAFE SALVADOR BUSINESS SALON

   東京都中央区日本橋茅場町1-5-8 東京証券会館1階

   茅場町駅8番出口直結 http://cafe-salvador.com/

参加申し込み:https://krs.bz/lokatsu/m/seminar?e_57=91&_ga=1.52057902.663110401.1474364427


鳥羽真(Shin TOBA)場のデザイナー・木造建築家/LikeBlaRe:主催

名古屋市生まれ。岐阜県立森林文化アカデミー木造建築スタジオ卒業。愛知学院大学情報社会政策学部卒業後、(株)八幡ねじにて技術営業職にて大手メーカー担当。退社後、岐阜県立森林文化アカデミー木造建築スタジオ、京都大学院生存圏研究所生活圏構造機能分野研究生、同研究所技術補佐員を経て、設計事務所勤務とコンサルタント事務所に参画、木造建築物の設計や滞在型の農園開発、首都圏での農作物の販売等に従事。2012年11月に独立。現在はデザイン事務所、Like bla re: 主宰。中央区の森環境ふれあい村推進協議会協議委員、NPO法人日本橋フレンド理事、任意団体石巻・川の上プロジェクト副運営委員、農林水産省6次産業化中央プランナー、独立行政法人中小企業基盤整備機構TIP*Sアンバサダー、厚生労働省委託事業地方人材還流促進事業事業推進員、ライフスタイルデザインユニットkitökiö(キトキ)等を歴/在任。





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